<ピティナ50周年を振り返る>2000年代~指導者育成編

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2016/07/28
ピティナ50年を振り返る
指導者育成編
◆ 指導者育成編
学び続ける指導者たち~まずは見て学ぶ

指導者自身が学び続ける姿勢を見せることによって、生徒が育つ。その考え方が全国的に広まったのは2000年代だろう。生徒とデュオを組んでステップに参加したり、 自ら室内楽を体験して新しい師匠と出会ったり、ポップスなど新しいジャンルに挑戦したり(特集「学び続ける指導者たち」245号p11-23、連載「私の勉強法」(238号p77)。また2007年にはアウトプット方式のセミナーリポート制度も導入され、1年後にはリポート提出者総数8280回、提出者2527名、20回以上提出者も現れる(275号p29-32) 。さらに2009年にはレッスン見学制度が開始された。(282号p57

同時に、ピアノ指導者のプロ意識についても議論されるようになる(「プロのピアノ指導者になるために」(225号特集)。ピアノ業界への提言として、当時広まりつつあったコーチングや、学習の場を多様な人々が関わるポリフォニーとして捉え直そうという最新動向などが紹介された。 後者では「これからの学習社会や知識社会を拡大していくには、リーダーたちが学習理論をしっかり踏まえることが大事」としている(225号p24-25)。

演奏を再開する指導者たち~コンペ・ステップにも挑戦!

学び続ける指導者の広まりと同時に、ステージに復帰する指導者も増え始める。2008年当時は「演奏活動はピアノ活動全体の2割以内」という指導者が過半数ではあったが、先生方の演奏が生徒の具体的な見本となるだけでなく、「弾き続ける姿勢」が生徒の学習意欲を高めるとして、コンクールやステップ参加も増え始めた。5ヶ月でステップに10回参加した方も。また6割以上の参加経験者が、ご自身の演奏会前には他の先生のレッスンを受けると回答している。(特集「ステージに立つ指導者たち」269号p11-26

企画するピアノ指導者たち~現場に根ざした創意工夫

発信の場が増えると、自ら創作や企画する指導者も増えてくる(262号p82-87) 。会員から生まれた作品が、オンデマンド型楽譜出版サービスのミュッセで発売されるようになった(266号p40-41)。子供が気軽に挑戦できるような室内楽やコンチェルトのアレンジ作品、子供のための優れたピアノ作品や教材など、現場を知る先生方ならではの創意工夫が見られる。

複数の視点を入れる~レッスン室の中で

ピアノはマンツーマンのレッスンがほとんどだが、指導側にも複数の視点があったほうがいいのでは、というチーム指導の考え方が提案された。「先生にはそれぞれ得意分野・不得意分野があり、上級になるほどそれぞれの教師の得意分野・専門分野が生かされ、また障害にもなってくる。私がかねてから考えているのは、複数でチームを組んで指導に当たる集団指導体制です。・・その輪を一歩進めて海外にまで広げることも可能です」(長谷川淳先生×クラウス・シルデ先生、244号p32-33

またティーチング&コーチングの考え方も提案された。生徒や保護者との日常的なコミュニケーションを円滑にし、またコンクールなどの大きな体験をした生徒に対しても、「どう本番に向き合い、どう結果を受け止め、次につなげていくか」など、相手の気持ちに寄り添った対話を通じてモチベーションを高めていけるように、その手法が研究された。 (「コンクールの結果をどう受け止めるか」(252号特集1 p9-23

また導入~幼児教育がより注目されるようになったのもこの頃。リトミックや演劇を取り入れた指導なども紹介されている(282号特集1 p11-)。

複数の視点を入れる~レッスン室の外へ

ピアノ指導はレッスンの中だけで完結するものではない。音楽鑑賞教育の観点から、あらためてピアノレッスンを再構築したり(「ピアノの演奏指導~鑑賞教育からのアプローチ(280号p9-29)」 、作曲家本人に会ってインスピレーションを得たり(「カプースチンに会って」238号p52-53) 、別の業界から学ぶことも多くある(「演劇界に学ぶ」265号p74-75)。また生徒とともにコンサートを聴く「鑑賞教育ツアー」を企画する先生方も。

アンサンブルへの取り組みが進む

アンサンブルへの関心と意識が高まってきた2000年代。2000年、アンサンブルピアノ研修会第1回が開催(221号p7)。会報でも「アンサンブルの魅力」連載がスタートした。連弾やアンサンブル教育の素地を築いた江崎光世先生の言葉より。「ピアノに向かった時からアンサンブルでレッスンを始めます。相手から学ぶことが非常に多い。お互いの良いところを敏感に吸収しあいます。・・連弾の基礎が整えば、できる限り感性が豊かな時期に室内楽にも触れさせてあげたい」(225号p58-59

一方、子供が弾ける適当な楽譜がないという問題も浮上。そこで編曲技法を学ぶ機運が高まった。2005年特集では、ピアノ指導者によるソナチネ2台ピアノ用編曲やバッハの七変化アレンジ、また現場のニーズを踏まえて指導者と作曲家が連携し、トリオ編曲版の出版へ至ったエピソードも紹介された。(248号特集1

学びを深める~アナリーゼや研究論文など

音楽を深く探究するためにはどうしたらよいのか。アナリーゼはその大切な一歩である(「アナリーゼで自分の演奏表現を見つけよう」273号特集 p11-29)。2007年からコンペ学習素材として課題曲のアナリーゼ譜が出版されたり、ステップでもアナリーゼ企画が行われるようになった。また紀要論文および研究リポートの募集も引き続き行われた(230号p114-115)。そして深く探究するピアニストの代表格である、クリスティアン・ツィメルマンによる講座がフェスティバル委員会企画で開催された。関本昌平さんを受講生としてのショパン・ソナタ第2番のマスタークラスやその後に行われたレクチャーは、1400名を超える聴衆に深い印象を残した(259号p25-29)。

身体つくりやレッスン環境への意識

ピアニストとしての身体作りや、レッスン環境・教室運営・広報・時間管理術など、ピアノレッスンの効果をさらに高めるための諸要素にも目が向けられるようになった。「ピアニストのための身体革命~ピティナピアノフェスティバル」(245号p3-)、「ピアノを弾く身体つくり」(266号p28-31 黒河好子先生)、「レッスン環境への配慮」(237号特集1)、「成功例に学ぶピアノ教室運営術」(254号p11-25)、「時間管理術」 (265号特集1 p54)「教室の方針をどう効果的に伝えるか?」(276号p30-37)などをご参照頂きたい。

INDEX
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