<ピティナ50周年を振り返る>2010年代~指導者育成編

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2016/09/13
ピティナ50年を振り返る
指導者育成編
◆ 指導者育成編
音楽の総合的な学びを!

音楽をより総合的・包括的に学ぶことに対する意識が高まってきた。2010年より、音楽家・演奏家の自立をテーマとして、必要な知識や技術をあらためて見直すための「音楽総合力upワークショップ」が通年で開始された。またソルフェージュについても、演奏に結びついてこそ意味があるという考え方が広まりつつある(286号p13-特集1)。また「教養としての音楽教育」について調査研究(311号p36)や、「音楽家のための脳と身体の科学」や「体と心の作り方」など、科学者の見地からよりよい教育法が提案された(305号p5315号p52-53)。すべての要素が有機的に結びついてこそ、音楽は自然に奏でられる。

アナリーゼを幼少期から

アナリーゼへの理解と関心が高まり、幼少期から取り入れることの重要性も意識され始めた。「導入期から始める演奏のためのアナリーゼ」ではA2級レベルから上級のアナリーゼまでを紹介している(294号特集1p11-32)。ギロックやブルグミュラーなどのアナリーゼ指導例も(286号p41-46)。また2013年よりピアノ曲事典の新サービスとして、譜例の代わりに「楽曲概略図」の掲載を開始した。作品の全体像を示し、より演奏の実践に役立つような形で、解釈・アナリーゼの参考にしてもらうことを目指している(311号p37)。

継続的な研鑽のため、指導者ライセンス制へ移行

ピアノ指導者のより継続的な研鑽を目指し、2015年度から指導者検定が「指導者検定ライセンス」として生まれ変わった。全国数都市で開催された説明会では、ライセンス活用法紹介だけでなく、グループディスカッションを通しての交流タイムも設けられた。「事前に他の受験生と交流の機会をもつことで、学ぶ楽しさを見出せました。試験や勉強会の延長と捉えることで、仲間と楽しく学び続けることができると考えています」(岡野直美先生・324号p36)。

指導者同士がお互いに学び合う

学びは日常の中に、身近な相手のなかにもある。共に学び高め合う"ピアラーニング"の考え方が提唱された。一方的な知識の伝達ではなく、知識の共有を通して考察を深めていく。第1回ピアラーニングセミナーでは、講師経験のない先生が講師を務めて20分で発表した(308号p30)。また全国各地で開催されているセミナーにおいては、主催支部やステーション担当者がリポートを書いてピティナコミュニティに公開することで、 より多くの指導者と共有できる仕組みができた。受講者のリポートも一部共有されており、オンラインではすでにピアラーニングが始まっている。

第二指導者の様々な関わり方を模索

2015年度より、海外在住の第二指導者によるオンライン指導プログラム(POST)が始動した。自分の演奏をビデオ撮影して希望の登録指導者に送ると、1~2週間でアドバイスがもらえるというサービスで、演奏家の観点からの指導が得られると好評を博した。また指導者1人で生徒1人を抱え込むのではなく、2人または複数の目や耳に触れながら共に生徒を育てていくという考え方が広まりつつあり、第二指導者に関して様々な関わり方が模索されている。

アンサンブルの定義が拡大する

2014年より「アンサンブル・パーク」が開催された(アンサンブル・国際交流委員会企画)。セミナー・ワークショップ編と研修・交流編を通して、ベテランと新人など様々な世代の会員が交流し、学び、語り、ともに音楽を奏であう体験が好評を博している。音楽を通して人間・社会の成熟を実現するという意味で、アンサンブルはさらに広義に受け入れられていきそうだ(314号p36326号p52)。

レッスン環境への意識向上

2010年には「レッスン室にお邪魔します!」会報連載がスタートし、レッスン室の環境作りの工夫が紹介されている(286号p37)。レッスン室としてだけでなく、天井を高くしたり、人を呼べるくらいの広さやキッチンスペースを確保するなどして、人を呼べるようなサロン風のレッスン室も増えつつあることが伺える。

音大卒業生のキャリアが多様化

指導者になる道は一様ではない。中には一般企業への就職を経て、指導者になる例も少なからずある。音大で得た学びやスキルが一般企業でどのように活かされたのか、またその後指導者となった時にどのように社会人経験が役に立ったかなど、指導者の多様な道筋を紹介している(323号p44)。

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