<ピティナ50周年を振り返る>1980年代~指導者育成編

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2016/06/15
ピティナ50年を振り返る
指導者育成編
◆ 指導者育成編
①夏季セミナーで最新テーマを
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さらなる指導力研鑽を目指し、コンペ終了後には夏季研修全国大会が行われるようになった。具体的な楽曲研究から音楽教育の心得まで、幅広いテーマが扱われている。当時も今も、本質的なテーマは変わらない。「音楽の喜びをお友だちと」(岩崎淑先生、72号 p16~21)、「幅広い音楽教育を」(嵐野英彦先生)、「音楽の基礎教育を考える」「 ピアノの芸術的表現を探求する」(86号p14-17)など。楽曲研究では「ベートーヴェンのユーモア」のアプローチも面白い(98号 p3)。

②指導者検定開始!

演奏力の検定だけでなく、指導力の検定も! 1979年より、当時としては画期的な指導者検定が始まった (78号 p17)。カテゴリは "実技"、"理論"、"音楽史およびレパートリー"、"教育学"の4つ。これは形を変えながら続いており、現在は"教える"、"聴く"、"弾く"、"書く"、の四技能をバランスよく身につける「ingプログラム」として広まっている。

③バスティンメソードが本格普及へ
バスティンメソード教材

「アメリカの合理的かつ総合的な教育法が、これから多くの人に理解され支持されていくのではないか」(113号p14 村杉宏先生)という通り、各地では研究グループが増え、会報にもその研究成果が度々報告されている。またバスティン認定講師養成講座も開催された。

④日本モーツァルト音楽コンクール創設、ピアノ伴奏部門も
123号p6画像

1985年に日本モーツァルト音楽コンクールが創設された。大きな特徴の一つは「ピアノ伴奏部門」の設置で、これに惹かれて出場した人も少なくない。第2回大会では8歳~38歳まで幅広い年代の参加者が出場したことが記録されている。モーツァルトの解釈を深めるため、モーツァルト研究第一人者の海老澤敏先生が「音楽家にとってなぜモーツァルトなのか?」と題して講演している(123号p6-9)。

⑤リベラルアーツ的思考
142号p14画像

"リベラルアーツ"という言葉こそ出てこないが、音楽が壮大な世界観とつながっていることを知る人は、音楽をより深く捉え、広く発展させることができる。クラウス・ヘルヴィッヒ先生によるバッハ講演からも、肥沃な思想の土壌から、音楽解釈が生まれていることが伝わってくる(141号p4-7142号p12-14) 。これは音楽の本質であり、今あらためて注目したい点である。

⑥指導者育成に対する意識が、教育機関にも波及

音楽指導を的確に行える人材を育てようという動きが、教育機関にも波及し始めた。1980年には、東北音楽学校に指導者育成コースが設置された(83号 p15)。

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