<ピティナ50周年を振り返る>2010年代~組織編

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2016/09/08
ピティナ50年を振り返る
組織編
◆ 組織編
音楽による社会貢献が進む

2011年の東日本大震災を受け、各地でのチャリティコンサートや楽器寄贈、演奏の派遣など、音楽を用いた復興支援が被災地および全国各地で行われた。「被災地へピアノを届ける会」(実行委員長・庄司美知子先生)は現在も精力的に活動を続けている(294号p46-47)。またこの流れを受けて2012年より「ピティナCrossGiving」が始動。指導者賞受賞者からの賞金寄付や個人的な寄付に加え、ピティナによる同額の寄付金マッチングにより、希望額に達するとプロジェクトが実現される。対象は3分野(育英・慈善・公共財)で多様なプロジェクトが登録されている。またこれとは別に、「ピティナ・ピアノルームシェアサービス」が2014年より開始。同年コンペ決勝時には40名の会員による118件のルームシェアが実現した。音楽による社会貢献は着実に広まっている。

映像・音源を世界に発信

コンペ決勝、入賞者記念コンサート、公開録音コンサート、トークコンサート祭りなど、ピティナでは多くの音源を配信している。開始から8年となる2016年現在、約9000点の音源を公開しているピティナyoutubeチャンネルは、再生回数が1億回を超えた。またチャンネル登録者は4万人を超えている(326号p47)。なお指導セミナーや音楽総合力ワークショップ映像などの学習コンテンツは、e-learningサービスで視聴可能となっている。

公開録音コンサート→ピアノ曲事典に音源提供

2010年春より、ピティナ公開録音コンサートが開催された (286号p9)。未登録の作品を中心に公開録音方式で行うコンサートで、第1回は金子一朗氏(2005年グランプリ)が出演した。入場料は無料だが、終演後に聴衆自身の判断によって支援を頂くという新しいシステムが定着した。これまでに150以上の公演が行われ、多くの録音音源がピアノ曲事典に登録されている。同プロジェクト経由を含め、ピアノ曲事典への最多提供数は赤松林太郎氏の322曲(2016年9月現在)。なお現在、ピアノ曲事典には1574名の作曲者、約20,000の楽曲、約12,000の音源、2110の解説文が掲載されている。その包括的な取り組みにより、より有意義な活用法を見出すため、アンケート調査も実施(215号p43)。包括的な取り組みにより、ピアノ曲事典と学校クラスコンサートは"This Is MECENAT"2014、2015に認定され、社会的な認知も得ている。

よりきめ細かい会員サービスに

ピティナ・マイページがオープン。会員だけでなく、コンペやステップ参加者などピティナのステージに参加経験のある方(ID保持者)はすべて使用可能になった。マイページからの申し込みや参加・指導履歴も閲覧可能になり、よりピアノライフがイメージしやすいインターフェースに。また先生紹介サービスでは、レッスン室画像、発表会情報、生徒の声などの補足情報を盛り込み、より多角的な視点から自分に合うピアノ指導者が選べる配慮も行われている。また全国各地の支部・ステーションが情報公開・共有する「ピティナコミュニティ」もますます活発に (324号p31)。

調査研究事業の充実化

2015年に「ピティナ・リサーチ・アソシエイト」が立ち上げられ、音楽業界に従事する者として、ともに課題を調査・研究・発信していくために、大学生・大学院生を対象に募集した(326号p46)。昨今では、ピアノ曲事典副編集長としても活躍する音楽学者に、育志賞が授与されるなど音楽と社会のつながりは深まってきている(上田泰史さん・320号p46-47)。またオンライン連載記事をもとに書籍化された例として、『100のレッスンポイント~名曲が弾けるまでのヒントとして』(池川礼子著、音楽之友社)、『ハーバード大学では「音楽」で人を育てる』(菅野恵理子著・アルテスパブリッシング)などがある。

一般財団法人福田靖子賞基金が創設

ピティナで育った若く才能あるピアニストが世界で活躍するためにと、受賞者に奨学金が提供される福田靖子賞オーディション。その趣旨に共感し、寄付をして下さる方が増えたことを受け、2010年に一般財団法人福田靖子賞基金が創設された(291号p66)。音楽教育の将来を託されたこの財団の助成により、海外渡航が年々増えている。

音楽業界をともに盛り上げる動き ~楽器店同士の交流促進

2013年には団体会員(賛助団体)の交流会が行われ、21団体が出席した(308号p7)。またピティナ事務局を担当する楽器店による情報交換会も開かれ、2014年には全国最大規模470名の会員が所属する船橋支部より、運営に関する成功事例などが紹介された(318号p7)。

音楽業界をともに盛り上げる動き ~ホールとのコラボ

2014年度より、大阪ザ・シンフォニーホールとの提携により「シンフォニー・ブランチコンサート」が始動。第1回目には2003年度グランプリ関本昌平さんが出演し、700名以上が来場した。コンサート前には次回出演者(2004年度グランプリ後藤正孝さん)によるプレセミナーが開催され、終了後にはアフターパーティも催されるなど、平日午前11時からの数時間を有意義に活用する企画となっている(318号p40)。

音楽業界をともに盛り上げる動き ~出版社とのコラボ

ヤマハミュージックメディアからはトップ指導者20名を取材した「生徒を伸ばす!ピアノレッスン大研究」ムックが発売(2010年)。また「『赤とんぼ』編曲オーディション」も共同開催し、合唱や管楽器とのアンサンブルを含む16種類の編曲集が同社より楽譜出版された(310号p19)。月刊ピアノには「栄光をつかめ!これが私たちの"音楽甲子園"」と題したリポート記事が掲載(310号p27)。またムジカノーヴァとは「コンペティション課題曲指導のヒント」が別冊付録になるほか、定期購読会員による懇親会も開催されるなどコラボも多い(310号p26311号p7)。

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