ピアノステージ

Vol.07-2 イタリアのバロック音楽~二部形式ソナタ

2008/06/30
アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ(1678-1741)
アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ
(1678-1741)

ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)
ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)

 バロック期は、鍵盤楽器の出現の時代です。はじめは声楽の伴奏に使われた鍵盤楽器でしたが、楽器の表現力が豊かになると、室内楽曲や管弦楽曲とならんで、「器楽曲~ソナタ」というジャンルを築き、声楽曲と同じくらい重要視されるようになりました。
 この時代の管弦楽も、素朴なものから性能を上げ、今日の形に近づきました。イタリアのクレモナの出身のアントニオ・ストラディバリは、現代でも珍重されるヴァイオリンの名器を完成し、チェロや他の弦楽器を製作しました。器楽の時代の到来です。ヴィヴァルディの「四季」も生まれました。
 イタリアのチェンバロの名手ドメニコ・スカルラッティの555曲におよぶ「ソナタ」は、現代のピアニストにとっても重要なレパートリーです。
 「ソナタ」といっても、二部形式。つまり2つのテーマを組み合わせた一楽章の小品というところで、三部形式の「ソナタ形式」が登場するのは、ハイドンモーツァルトの古典期になります。スカルラッティは555曲のソナタの中で、通奏低音とメロディーによるホモフォニーの曲、ポリフォニーの曲(猫のフーガ)、両方の組み合わせなどを試みています。自らチェンバロの名手でしたから、トリル、連打、音の跳躍、左右の手の交差など、華麗なテクニックを取り入れ、後のピアノテクニックの先駆者でもありました。
 イタリアのナポリ生まれ、ポルトガル、スペインと、スカルラッティの住んだところは、南の国で天気のよい、お日様の光がさんさんとふりそそぐ明るい街でした。天真欄間に明るく、技巧的には華やかな曲が多いわけです。
 フラメンコに通じる情熱的な曲や、スペインのギターの響き、アチャカトゥーラ(衝突の意味)による不協和音を使った強烈な表現には、スペインの影響が感じられます。中には短調のしんみりした曲もあります。多彩な表現は、イタリア出身のツィポーリガルッピなどとともに、古典派に影響を与え、クレメンティのソナチネ(小さいソナタ)や練習曲につながっていくのでしょう。

D.スカルラッティ/ソナタ K.380出版:Peters 出展楽譜:Scarlatti Sonaten II
A 1~4小節
明るいホ長調のシ(H)からファ(F)まで下降してくるテーマ。なんと明るくて優雅で、一度聴いたら忘れられませんね。ところがこのテーマは。再現されることはなく、(繰り返しはありますが)、どうやら、序奏のようでもあります。
A 1~4小節
B 9~22小節
ポロネーズのようなリズムは、繰り返し使われて、この曲の気分を浮き立たせます。16分音符は軽くはねて、1拍目、3拍目を軽く落とすように、リズムの弾き方を統一しましょう。
B 9~22小節
C 41~48小節
ロ長調(5度上)で終る前半に続き、譜例Bのリズムにシンコペーションを加え、展開部の感じです。左手は全曲を通じて4分音符の通奏低音が多く、ヴィオラ・ダ・ガンバに乗って、チェンバロの音が明るく響くイメージでしょうか。
C 41~48小節

ピアノが誕生する前の鍵盤楽器とは?
ピアノという楽器の試作品が発明されたのは今から300年程前。箱の中に張られた弦を、爪や鳥の羽ではじいて小さい音を出す。プサルテウムに、このころ鍵盤がつきました。クラヴィコード、チェンバロ(ハープシコード・クラヴサン)、ピアノフォルテ......どんな音がするのでしょう?
クラヴィコード

クラヴィコード

バロック期以前(ルネッサンス期)に誕生した楽器。鍵盤を押すと、鍵盤の奥に縦に埋められた金属製のタンジェントという部分が上がり、弦に触れて音を出すという仕組み。音量が非常に小さく、鍵盤を押してバイブレーションを掛けると微妙に音が揺れる。
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チェンバロ

 チェンバロ

バロック期当時一番主流だった楽器。クラブサン(仏)ともハープシコード(英)とも呼ばれる。発弦楽器で、クラヴィコードに比べ、楽器サイズも音量も大きくなる。鳥の羽軸でできたプレクトラム(義爪)で弦をはじいて音を出す。音に強弱がつけられない。一段鍵盤よりも、二段鍵盤になっているものが多かった。(二段鍵盤を使用することで音量も上げることができた。)
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フォルテピアノ

フォルテピアノ

フィレンツェのメディチ家所属のクリストフォリ(1655~1731)が、「フォルテもピアノも出るチェンバロ」を発明。はじめは、ギターに近い音色だったのが、ドイツやイギリスでも改良されて、広く使われるのは、ハイドンモーツァルトの時代になる。19世紀に改良が加えられて、今日の現代ピアノが完成する。

Vol.7 INDEX


2008年6月30日発行
特集 現代ピアノで探るバロック音楽の世界
イタリアのバロック音楽~二部形式ソナタ
フランスのバロック音楽~クラヴサン曲
ドイツのバロック音楽~ポリフォニー
・2008ピティナ・ピアノステップ 継続表彰コンサート
・イベント情報~もっとバロック音楽を学ぼう!楽しもう!

ピティナ編集部
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