ピアノステージ

Vol.03-2 ピアノのある生活(3)林智雄さん&古澤洽一さん

2007/03/31
ピアノのある生活
「1941年5月5日、林家のベ
ランダで友達と。最上列左
端が林さん、右端が古澤さん。
団塊の世代の人達に、『こんなじいさん達でも弾けるのなら』と励みにしてもらいたい
阿吽の呼吸で一台のピアノを奏でる77歳コンビの姿は、普段仲良く談笑する様子と同様、実に自然だ。先日ステップの5回継続表彰を受賞したばかりのお二人の目標は決して大曲制覇ではなく、ただ楽しくピアノを弾き続けることだという。70年来の「竹馬の友」のデュオ結成に至った経緯や、音楽との関わりについてお聞きした。

初ステージで思わず会社員時代の癖が・・・

ブラームスのワルツを練習中。なかなか手に
入らない楽譜だが、古澤さんが輸入楽譜のお
店で発掘してきたそう。

12年前、65歳という年齢でデュオを結成した林智雄さんと古澤洽一さん。幼稚園から旧制中学校(現在の中学・高校)までずっと同級生、大学からは違う道に進み、林さんは銀行員、古澤さんは鉄鋼関係の会社員として定年まで勤めた。デュオ結成は、林さんの奥様でもある林苑子先生門下生の発表会に、「せっかくだから二人で出てみない?」と誘われたことがきっかけとなった。

小さい頃から家にピアノがあり、音楽や音楽家に囲まれて暮らしてきたお二人だが、デュオ演奏はこの発表会が初めてだったという。特にそれまでピアノのレッスンも受けたことがない古澤さんにとっては、人生初のステージ演奏は緊張の連続だった。「演奏後にピアノの前に出てきて、演説や講演の後みたいに『(ご清聴)ありがとうございました』と言いながらお辞儀するんですよ(笑)」(林さん)。


「生活の一部として、自然にピアノに触っています」

それからは、発表会やステップなど、定期的にステージ演奏してきた林さんと古澤さん。

「もともと二人は仲が良いのですが、連弾をするようになってからは、コンサートや曲が間に介在することによって、別の楽しさや繋がりが生まれた。僕らの周りには音楽を聴く人はいても自分からやろうという人はなかなかいないから、古澤さんのように同じ感覚で音楽を楽しめる人がいることは、本当に幸せです」(林さん)

「僕はもともと音楽好きで林さんや奥さんともよく演奏会に出かけたりするのですが、自分で弾く時はあまり学術的ではないんです。愉快な音楽が好きなので、我々の生活の中で自然に溶け込めるような曲を自然に選んで弾く。幼稚園からずっと一緒なものですから、弾く時に相手が考えていることも全部感覚でわかってしまう。家族ぐるみの付き合いの中で、自然にピアノを一緒に触っていた、という感じですね。」(古澤さん)


異なる演奏スタイルから生まれる、最高のアンサンブル

「戦争中はピアノの音も自由に出せなかったから、
今自由に弾ける幸せを感じる」と 林さん。
戦争の辛さもともに経験した二人だからこそ、絆
も深い。

目標は?とお聞きすると、「これから定年を迎える団塊の世代の人達に、『こんなじいさん達でも弾けるんだったら、自分たちも』と思っていただければ(笑)」と答えてくれたお二人の演奏ついて、林苑子先生はこう分析する。「デュオって全く同じスタイルである必要はなくって、私から見ると二人は非常に違うんですよ。古澤さんは静かに弾いてくださって、リズムも安定していてとてもセコンドに向いています。プリモの主人はフルートの経験があるからメロディを歌うのが大変上手。しかも、幼友達の阿吽の呼吸でいつも上手くアンサンブルが落ち着いて、とても良いコンビだと思います」
「今後も年間2回はステージに出たい」という林さんと古澤さん。是非これからも、最年長デュオとしてその暖かい演奏で観客を楽しませていってほしいものだ。

Vol.3 INDEX


2007年3月31日発行
教育の未来を考える(1)
今は子どもがどんどん自分でやりたいことを設定していく時代
寺脇研さん
ピアノのある生活(3)
竹馬の友によるデュオ 「団塊の世代の人達に、励みにしてもらいたい」
林智雄さん&古澤洽一さん
<ピアニスト>が育つ家庭の3つの視点
何も禁止されなかったからこそ、自然と道が開けた
根津昭義さん、栄子さん、理恵子さん
ステージが育てる不思議な力(3)
親はどう対応?~3つの心構えとは~
渡部由記子先生
調査レポート(1)
どうすればピアノを続けられる?
~中高生の「継続」と「両立」に必要な5つのキーワード~
ステージえとせとら(2)
ピティナ40周年記念コンサート ほか

ピティナ編集部
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