ピアノステージ

Vol.02-4 ピアノのある生活(2)太田健介さん

2006/11/30
ピアノのある生活
東京大学大学院総合文化研究科で日々研究に取り組む。子供の頃からサッカーや卓球に打ち込み、卓球では県私学大会3連覇の実力を持つ。受験のためにピアノを中断したが、大学入学と同時にレッスンを再開。現在は大学へ行く前の朝30分がピアノの時間。好きなピアニストはホロヴィッツ。
ピアノのある生活

今年度のピティナコンペティションのグランミューズ部門(A1)で、第1位に輝いた太田健介さん。今回は太田さんの指導者である相澤聖子先生にご同行いただき、『ピアノ』をめぐるお話をうかがった。

ピアノのある生活(2)

『実験』とピアノ

 現在太田さんが研究しているのは、《超伝導体》を使った実験。実験の準備をし、結果を分析し、学会で発表、論文を書く...という日々を送っている。この《超伝導体》は世界中にも研究者が多く、広い可能性を秘めた分野だ。例えば、今とは全く異なった機構のパソコンが出来るかもしれない、など大きな理想がその先にはある。「いろいろ障害もあるし、実用化までの道のりは長いかなぁ。理想とかけ離れた実験結果が出ることもあるんです。」と苦笑する。小さい頃から理科の実験や物理がすき、でも勉強は嫌い。今やってる研究は、趣味に近いのかもしれませんね、と笑う。「今は実験がとても忙しいし、練習時間は少ないけれど、自分が充実しているとピアノも充実するように思います」と自己分析をするが、大学院を卒業したら、ピアノとどうつきあっていくのだろうか?「卒業・就職しても、ピアノは続けたいですね。ピアノを弾くことを第一に考えて職業を選んだりはしませんが、本業の仕事も充実した中で、ピアノを弾き続けられたらいいですよね」。

『受験』とピアノ


コンペで演奏したカプースチンは、自ら選曲した。大学院の隣の研究室でかかっていて、友人から勧められたのが最初のきっかけだった。「レッスンでは、もっと自由に弾きなさい、と形を崩していきました」と相澤先生。当初は真面目に弾きすぎていたが、レッスンを重ねるうちに、自身が楽しめるようになってきたという。

 太田さんが相澤先生にピアノを習い始めたのは小2の時。「半年くらいたった頃から、『感性のある子だな』と思っていました。彼は気持ちを音に託すタイプなんですよ。最初にピティナのコンペを受けた時だったかしら、他の子が彼と同じ曲を弾くと、彼は客席にいるのにその曲に合わせて体が動いちゃうのね。審査員の人たちも笑っちゃって」。本当に素直でいい子でした、と相澤先生は微笑む。
早くから太田さんは、「音楽への道へは進まない」と宣言していた。「でも先生は勉強を気にかけたりはしない。どんな時でも容赦がなかった(笑)」と振り返る。「相澤先生は真剣ですよ。愛情に溢れていて、僕たち生徒に魂をぶつけてきてくれる」。プロを目指す人向けのレッスンで先生に怒られ、泣きながら帰る我が子を、ご両親は「次は頑張ろうね」と常に励ましてきた。どんなに厳しくても先生を信頼し、ついていった太田さんとご両親。「真剣さは、必ず通じるものなんですよね」と、相澤先生はおっしゃる。

Vol.2 INDEX


2006年11月30日発行
Stage+人(すてーじん)(2)
様々なホールやピアノとの出会いがインスピレーションを生む
関本 昌平さん
ステージが育てる不思議な力(2)
教室の日常に仕掛ける大小さまざまなゴール
ジェーン・バスティン先生
宮澤家の3つの教育イデー
目指すのは「時間・空間を超えた教育」
宮澤功行先生&陽子先生
ピアノのある生活(2)
忙しいほうが、自分自身もピアノも充実しますね
太田健介さん
目指せ、ステージの達人(2)
Q&A~「本番までに準備できることは?」
杉谷昭子先生
ピアノ教養クイズ(1)
「ピアノの歴史と構造」編
岳本恭治さん

ピティナ編集部
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