ピアノステージ

Vol.01-3 <ピアノが好きな子>を育てる3つの秘訣  角野 美智子先生

2006/07/31
「ピアノが好きな子」を育てる3つの秘訣
「今日は、
  どんなやり方で練習する?」
「ピアノが好きな子」を育てる3つの秘訣

  「コンクール前でも遊ばせています」とおっしゃる角野先生。本当に自由にさせているという隼斗くんと未来ちゃんは、普通の元気な子供たちだ。常にピアノにかじりついているわけではないのに、昨年度、隼斗くんはJr.G級で金賞、未来ちゃんもB級(小4の部)で銀賞に輝いている。その秘訣は?角野家の教育方法を例に、家庭でできる《子供をピアノ好きにさせるコツ》を探ってみた。

秘訣1 小学校低学年 <遊び>の中から、音楽性を育む

角野美智子先生
「ピアノが好きな子」を育てる3つの秘訣
隼斗くんのノート。<ルーレットで出た目に従って、1なら各駅停車、2なら快速...とメトロノームの速さを上げる> <300マス作り、弾けたら塗りつぶす、弾けなかったら点を書き入れる>など、練習をゲームにしてしまう。

 我が家では、たくさんの《音楽遊び》をしてきました。
 ピアノをやらせようと思ったわけではなく、遊びがピアノにも通じたんです。大切なのは『発想の転換』基礎的なことを曖昧にして、ただ楽しければいいというわけではありませんが、普通のゲームや遊びからも音楽性が養えるのです。
 遊びの中で、いろいろな音楽を子供が興味を持つように聴かせ、《音楽の引き出し》を作ってあげることも大切です。それが積み重なると、新しい曲に出会ったとき、子供自身が「これはこんな感じだな」と容易に理解できるのです。わかればその曲を好きになれるし、こう弾きたいと自発的になれます。いろいろな音楽に触れさせて「この曲いいな」を増やしてあげてください。

秘訣2 小学校中学年 本人の主体性「こう弾きたい」を引き出す

ピアノのどんなところが好き?
「思っていることを
言葉よりも表現できるところ」

未来ちゃん
=未来ちゃんの主体性=
 入賞者コンサートの曲決めの時、とても気に入った曲があったんです。ちょっと難しすぎるかなと思ったんですが、未来が「弾きたい」と言うので弾かせてみることにしました。本人の気持ちが強いから、譜読みも一生懸命なんですね。その中で1カ所、どうしても弾けないところがあったので「来年にしようか?」と提案すると、「絶対にやだ、絶対やる」と言って、泣きながら練習をしていました。それをきっかけに、テクニックがぐんとついてしまったんです。自分で出したい音があるから、それに近づけようと努力した成果でしょう。

 日常生活とピアノレッスンを切り離して考えている方が多いと思いますが、その子のことを一番よく知っている家族だからできる<感性を磨くチャンス>は、家の中にたくさんあります。レッスンでは先生が薬で治してくれる。でも、漢方のように身体の中から音楽体質にするのは、家庭でなければできません。
 子供にとって、命令されて動くのはつまらないことです。自分で何かをやる意欲、ものごとを楽しいと思う気持ちがあれば、生き生きと取り組めるのです。家族の普段のはたらき次第で、子供たちは自主的・自発的になります。主体性を引き出すことができれば、ピアノに入り込んで弾けるのです。
 先生に注意されたことを自分では何も考えず、ただそのまま従う子がいますが、その時はよくても、本当の力は身に付きません。子供にどんどん意見を言わせ、何がいいのか、どう思っているのか、先生も家族も子供とコミュニケーションをとることが重要なのです。


秘訣3 小学校高学年 時間でなく『質』の管理をサポート

ピアノのどんなところが好き?
「キレイな音が出るところ」
隼斗くん
=隼斗くんの練習方法=
コンクールなどに向けての練習では、到達目標を示しています。ある程度のレベルまで到達するのに70%までは来たけれど、80%、90%、100%になるまではこれだけの日数がかかる、それには今の時期にはここまで出来ていなければならない...と具体的に示すのです。目標までの練習方法は本人まかせ。すると、隼斗も「やらなければいけない」ということがわかるから、必死で練習をしています。

 最近では、子供とのバトルもありますよ。特に、小学5年生の隼斗は自立が始まって、プライドも芽生えてきているんです。相手はもう大人、こちらが接し方を気をつけなければいけないんですね。もう善し悪しがわかる年齢ですから、ピアノの練習もあまり口出ししません。我が家では、1日何時間というふうに時間では区切りません。ノルマを決めて「ここまでできたら見せてね」と《検定》をしています。できたレベルを維持することも大変ですし、本人が責任を感じきちんと練習します。「できたら遊んでもいいよ」とメリハリもつけています。 コンペで光るのは《自分》があるピアノ。表現することが楽しい、ピアノが好きなんだ、と思って弾いていれば、その気持ちは出てきます。我が家では、目標のコンペに向けて努力したり、好きな曲だからきれいに弾きたいと思ったり、いいスタンスでコンクールとつきあっています。


『音遊びの一例』(小学校低学年向け)

<いろいろな童謡を音名で歌って聞かせる>=音程感を身につけることにつながります。
<『メリーさんのひつじ』を移調して弾く>=普段聞こえてくる音楽を両手で伴奏つきで弾くようになりました。
<キーボードでサルサやジャズ、サンバのリズムを流して、一緒に踊る/市販のダンスゲームのロックやディスコ調のリズムに合わせて踊る>=身体で感じたはずむようなリズム感は、必ず演奏に影響してきます。

Vol.1 INDEX


2006年7月31日発行
Stage+人(すてーじん)(1)
クラシックとポップス
コツをつかんで、表現力倍増!!
小原 孝さん
ピアノのある生活(1)
『相手に思いを伝えること』
それがピアノと授業の共通点
金子 一朗さん
<ピアノが好きな子>を育てる3つの秘訣
今日は、どんなやり方で練習する?
角野 美智子先生
ステージが育てる不思議な力(1)
ステージは子供を写し出す鏡なのです
江崎 光世先生
Enjoy Stage!!
弓削田優子先生&祐貴くん親子
根津昭義先生&栄子先生夫妻
ステージえとえとら
学校コンサート/丸ビルコンサート
目指せ、ステージの達人(1)
ピアノを弾くまでの自然な動きとは?
林 苑子さん

ピティナ編集部
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