海外の音楽教育ライブリポート/菅野恵理子

音楽が国際交流の懸け橋に ~MTNA & PTNA専務理事対談

2012/05/02
音楽が国際交流の懸け橋に
~MTNA & PTNA専務理事対談

今年3月のMTNA全米カンファレンス期間中に、MTNA・PTNA専務理事対談が行われました。
音楽が持つ力、そして国際社会において音楽が果たす役割とは?ここに一部をご紹介します。

PTNA専務理事・福田成康氏(以下福田):ご存じの通り、昨年3月に東日本大震災が発生しました。日本は大変な状況に陥りましたが、幸いピティナ会員は全員無事でした。他の地域に移住した方もいましたが、ピアノの先生方は指導スキルさえあればどこでも仕事を続けることができます。例えば会員の一人は東京に移住しましたが、現在すでに30人の生徒さんがいらっしゃいます。

MTNA専務理事・ゲイリー・イングル氏(以下イングル):深刻な状況においても、皆さんがご無事でいらっしゃることを知り、とても安心いたしました。


福田:昨年から多くの音楽家が被災地を訪れ、避難所等で演奏していますが、被災した方々のみならず、彼ら自身も音楽の力を改めて感じたようです。

イングル:ええ、よく分かります。2001年同時多発テロの後、ワールドトレードセンター跡地(現グランドゼロ)周辺では音楽が演奏されたり、集まった人々が一緒に歌ったりしていました。それがどれだけ人々の慰めになったか分かりません。国や人種、状況に関わらず、音楽はいつでも人と人を結びつける力を持っていますね。

福田:日本人は寄付の力にも目覚めたようです。昨年は会員から頂いた寄付金合計約137,500ドル(約1100万円)を、被災地支援を目的とする音楽団体に寄付しました。またピティナでは「クロスギビング(CrossGiving」」というプロジェクトを立ち上げ、相互に寄付しあう仕組みを作りました。

イングル:会員の力を結集し、お互いに助け合う仕組みを作るというのは、素晴らしい組織の力ですね。

福田:ありがとうございます。ピティナでは今アンサンブルにも力を入れ始めています。今年国際アンサンブル委員会を設立しました。アンサンブルは音楽を通じて共演者とコミュニケートできるのが素晴らしいですね。年次会のスピーチ(※)でも少し触れたのですが、日本とアメリカでピアニストを相互に派遣し、国際交歓演奏会ができないかと考えています。

イングル:そのご提案は、まさに我々の理念そのものです。実はMTNAが力を入れている活動に"Collaborative Music"がありまして、ソリスト二人が一緒に音楽を作り上げる機会を提案しています。またグローバリズムの考え方にも合いますね。我々は誰もが国際社会に与しているのですから、住んでいる国や人種と関係なく、人と人が繋がっていくのは自然なことです。ぜひ前向きに検討したいです。日本のピアニストがアメリカの曲を弾き、アメリカのピアニストが日本の曲を演奏し、最後に二人で4手を弾くというプログラムとか。

福田:それがまさに私が思い描いているイメージです。世界には約200の国や地域がありますので、様々な国との組み合わせができればと思っています。

イングル:いいお考えですね。私はユネスコ傘下(本部:パリ)のミュージック・カウンシル副会長を務めており、来週レバノンで行われる理事会に出席するのですが、現在アラブ諸国での音楽活動普及を目指しています。そのような国際音楽交流も進めていければと思います。本日は有意義なディスカッションができて嬉しく思います。

福田:こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いします。

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菅野 恵理子(すがのえりこ)

音楽ジャーナリストとして各国を巡り、国際コンクール・音楽祭・海外音楽教育などの取材・調査研究を手がける。『海外の音楽教育ライブリポート』を長期連載中(ピティナHP)。著書に『ハーバードは「音楽」で人を育てる~21世紀の教養を創るアメリカのリベラル・アーツ教育』(アルテスパブリッシング・2015年)、インタビュー集『生徒を伸ばす! ピアノ教材大研究』(ヤマハミュージックメディア・2013年)がある。上智大学外国語学部卒業。在学中に英ランカスター大学へ交換留学し、社会学を学ぶ。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会勤務を経て現職。2007年に渡仏し「子どもの可能性を広げるアート教育・フランス編」を1年間連載。ピアノを幼少・学生時代にグレッグ・マーティン、根津栄子両氏に師事。全日本ピアノ指導者協会研究会員、マレーシア・ショパン協会アソシエイトメンバー。 ホームページ:http://www.erikosugano.com/

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