会員・会友レポート

モーツァルト生誕250年祭記念~スコダ氏を訪ねて/犬飼ヤンコウスキー和子先生

2006/10/01

<インタビュー>
ウィーンのモーツァルト生誕250年祭記念
パウル・バドゥラ・スコダ氏を尋ねて

リポート◎犬飼ヤンコウスキー和子先生
(ウィーン市立音楽院ピアノ科教授)


スコダ氏(右)と
2006年はモーツァルト生誕250年にあたる。ザルツブルグ・ウィーンは、世界中からの旅行者で賑わっている。また夏のザルツブルグ音楽祭では、モーツァルトのオペラ全22作品が上演されたそうだ。今回はウィーン在住30年に及ぶピティナ会員・犬飼ヤンコウスキー和子先生に、ウィーンを代表する世界的ピアニスト、Paul Badura Skoda氏にモーツァルトについてインタビューして頂いた。

モーツァルトの代表的な解釈者として


ウィーンの国立オペラ座の横カラヤン広場の大きなプラカード(雲になったモーツァルト!)。また街中では、モーツァルト紅茶やワイン、モーツァルトクリーム、モーツァルトハム、モーツァルトTシャツ、モーツァルトグーラッシュ(ハンガリー風シチュー)等、多くのモーツァルト商品が出回っている。
2006年よりオープンしたウィーン唯一のモーツァルトの住居。250年前の姿をそのままとどめている。(ウィーン1区・ドームガッセ)

―世界中でモーツァルト関連のイベントが開催されていますが、スコダ先生も今年はMusikvereinでモーツァルトのプログラムを演奏されましたね。かつてフルトベングラーとウィーンフィルでモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏されたこともおありで、モーツァルトの代表的な解釈者ということになっていますが、今年はやはりモーツァルトを弾くことが多いですか?

Skoda氏(以下S):もちろんモーツァルトヤーレ(年)にはいつもより、モーツァルトを演奏することが多いです。アメリカからヨーロッパ、そして日本まで、どこでも感激的な反響でした。

―モーツァルトファンが増えていいですね。私はもう30年以上ウィーンに住んでいてドイツ語やウィーン人の気質も分かるので、モーツァルトも人間として身近に感じられます。モーツァルトならではの人間性について話してくださいますか?

S:一言でいうのは難しいですけれど、モーツァルトはすごくセンシブルで、愛されることが必要でした。子供の頃には会う人にいつも「ボクのこと好き?」と聞いていたそうです。誰かが冗談にても「きらい」などと答えると、涙を出して泣きだしたといわれます。

モーツァルトの音楽は、いつも歌


photo:Louis Ouzer(NY)

―だからモーツァルトの曲は好かれるのですね。さて、先生は教育者としても有能な人材を世に沢山出しておられますが、ウィーン風なモーツァルト奏法についてお話しくださいますか?今年は国際コンクールの課題がモーツァルトの曲になったところが多くあり、国によって違う解釈が色々ありました。

S:ウィーンではモーツァルトの音符を正しく弾くだけではなく、彼の音楽を心で感じて表現するようにします。モーツァルトは信じられないような幅広い感情、まじめさ、悲劇的なところから、大きな生命の喜びまでといったものを表現しています。

―どの感情も作曲できるからオペラが得意だったのですね。35年の短い生涯に22のオペラを後世に残していますね。先生はモーツァルトの頃のハンマーフリューゲルも演奏されますね。

S:モーツァルトが自分の曲を弾いた時は、こういう響きだったのだろうということがよくわかります。澄んだシルバーな音、レジスターの違い、ダイナミックの差、特に中間部の気品のある歌うような音は素晴らしいです。


―先生はたいへん膨大なレパートリーをもっていられますが、モーツァルトは先生にとってどういう作曲家ですか?

S:モーツァルトを弾くことはいつも大きな喜びで、飽きることはないし、精神の糧というか、慰めみたいだと思っています。なにしろ美しさをもっているし、歌がある。いつも歌です。

―演奏旅行の準備にお忙しいところ、インタヴューに応じてくださってありがとうございました。

⇒ウィーン音楽事情リポート:「ウィーンの子ども達はどのように音楽を習っているの?」はこちら


ピティナ編集部
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