ピアノステージ

Vol.08-3 10分でたどる作曲家の生涯(1)ピアノの詩人「ショパン」編 西原稔先生

2008/10/31
ショパン 10分でたどる作曲家の生涯(1) ピアノの詩人「ショパン」編 解説:西原稔

ショパンを演奏するにあたって
ショパンは「ピアノの詩人」と言われるように、ショパンの音楽は洗練されたパリのサロンの華やかな雰囲気を湛えています。しかし、ショパンの人生はとても緊張に満ちておりました。というのは、ロシアによるポーランド支配が過酷を極めていたからです。彼の作品にはどれもある意志の強さが感じられますが、それは失われた祖国復興の願いと、ロシアの支配への抵抗と結びついていました。
ショパンの創作の真髄は、ポーランドの精神とも言うべき「マヅルカ」に強く込められています。マヅルカはどれも小品ですが、凝縮された表現に満ちております。終生、書き続けた「マヅルカ」は、そのほかの作品の表現の源であったと言っても過言ではないでしょう。是非、一度「マヅルカ」の演奏に親しんでみてください。そこにはマヅルカの調べに寄せて、愛する祖国への限りない望郷の念が表現されています。
ショパンはピアノ音楽の創作にほとんどすべての精力を傾けました。そして彼が愛用したピアノはプレイエル製作のピアノでした。「香水のような香りのするピアノ」と彼が絶賛したこのピアノの音は、ショパンが語ったとおり、とても倍音が美しく、芳しい音の霧があたりを覆うようです。ピアノの音の美しさと倍音と残響の美しさを感じながら演奏することで、何か新しいショパンに出会うことが出来るかもしれません。

解説文はこちら

10分でたどる作曲家の生涯(1) 1810年   /誕生
1816年(6歳) /ピアノの習い始める
1817年(7歳) /作曲を初めて試みる
1822年(12歳)/作曲法を学びはじめる
1828年(18歳)/初めて外国に赴く
1829年(19歳)/高校を卒業~ピアノ協奏曲を作曲
1830年(20歳)/ワルシャワでデビューリサイタル
       ~ポーランド永久出国
1831年(21歳)/ワルシャワ墜落~パリ着
1832年(22歳)/パリの社交界デビュー
1835年(25歳)~1837年(27歳)/マリアとの再会~婚約破談
1837年(27歳)~1846年(26歳)/サンドとの生活(パリ~ノアン)
1848年(38歳)/最後の演奏旅行~病状が悪化
1849年(39歳)/パリで生涯を閉じる
西原稔西原 稔 プロフィール
にしはらみのる◎山形県生まれ。東京藝術大学大学院博士課程満期退学。現在、桐朋学園大学音楽学部教授。18,19世紀を主対象に 音楽社会史や音楽思想史を専攻。「音楽家の社会史」、「聖なるイメージの音楽」(以上、音楽之友社)、「ピアノの誕生」(講談社)、「楽聖ベートーヴェン の誕生」(平凡社)、「クラシック 名曲を生んだ恋物語」(講談社)、「音楽史ほんとうの話」、「ブラームス」(音楽の友社)などの著書のほかに、共著・ 共編で「ベートーヴェン事典」(東京書籍)、翻訳で「魔笛とウィーン」(平凡社)、監訳・共訳で「ルル」、「金色のソナタ」(以上、音楽の友社)「オペラ 事典」、「ベートーヴェン事典」(以上、平凡社)などがある。
ピティナ 読み物・連載:「ピアノの19世紀」連載中。

Vol.8 INDEX


2008年10月31日発行
Stage+人(5)
アクセスパスの新企画 子どもたちの憧れのピアニストインタビュー
横山幸雄さん
Stage+人(6)
様々なジャンルとのコラボレーションを通して、ピアノの可能性を試していきたい
西村由紀江さん
10分でたどる作曲家の生涯(1)
ピアノの詩人「ショパン」編
西村稔
・ピアノピアノのある生活(5)私のステップ遍歴
 岡嶋拓也さん吉岡正人さん菊田美和子さん
・弾いたあなたへ、聴く特典!「ピティナ・アクセスパス一周年」
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ピティナ編集部
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