【実施レポ】音楽指導者のためのライティング1日カンヅメセミナー(山本美芽先生)

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2017/04/03
音楽指導者のためのライティング1日カンヅメセミナー
文・中塚三貴子(ピアノ講師)

日程:3月5日(日)
会場:名古屋国際センター

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山本美芽先生をお招きし、「音楽指導者のためのライティング1日カンヅメセミナー」という題で講座が開催されました。

ピアノ指導をする上で、生徒の保護者との連携が重要だと感じることは多い。 しかし、指導者が「当然」「常識」と考えていることは、必ずしも保護者にとっての常識ではない。このギャップからくるコミュニケーション不全が、場合により教室運営や指導に悪影響を及ぼすのだとしたら、「保護者目線」を知るということは指導者にとって大変重要なことだといえる。

今回、音楽ライターの山本美芽先生をお迎えし、この「保護者目線」をテーマにライティングのセミナーが実施された。通常3回に分けて行う内容を1日に凝縮して受講することで、脳みそのフル回転を行い、しっかりと考える良い経験となった。

まず、指導者が伝えたい教室や指導の「方針」を指導者サイド・保護者サイド両方の視点で見てまとめるという作業を行った。私は自身がピアノを習う子を持つ母親でありながら我が子の指導者でもあるという複雑な立場であるため、逆の視点を普段から持とうと心がけてはいるが、それでもどうしても指導者的視点が強くなる傾向がある。保護者は我が子の成長を一番に考えており、「我が子にとってベストかどうか」が一番の関心事である。その気持ちに寄り添った声かけや伝え方が必要だと感じた。

次に自分の指導の良い点を抜き出し、各受講者が自分の「キャッチコピー」を作成した。 このワークでは、教室や指導について客観的な視点で見直す、ということが最も大切なことである。この作業を経て出てきた受講者のキャッチコピーはいずれも、明日からすぐ教室HPや保護者へのお便り、チラシなどに使えるほどの素晴らしい出来栄えとなった。

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午後のワークとして、宮下奈都さんの「羊と鋼の森」からの要約を行った。 要約は文章を書く上で最も重要なスキルの1つであり、「要約ができれば、ブログ記事やお便りが書きやすくなる」という利点がある。話の要点がまとまらず「先生の話はわかりにくい」と言われたり、お便りをどの視点で書いたらよいか悩んで筆が止まる、本当に伝えたいことではないことが伝わってしまうという悩みが多いため、書くときも話すときも要点をしっかり掴んで行うことが重要だとワークを行って実感した。 次に、小学校学習指導要領の音楽科の内容を読み、文章の伝え方などについて学んだ。小学生のレッスンでは学校の音楽の授業の内容を知った上で指導することも重要と痛感した。

指導者はピアノ指導や教本研究のみを行っていればよいという時代は終わった。指導の本質を伝えるための「コミュニケーション能力」としての文章力や話す技術を磨くことも怠らないことで、レッスンや教室運営が楽になる。独習するときは自分の課題がどこにあるのかが分かりづらいし、一人で全てを学ぶことは難しいので、このようなセミナーで演習を行ったり、ほかの受講者と意見を交換し合うということを行うことで、楽しみながら有効に学べると感じた。今回学んだことを教室HPやブログ、お便りなどで活用していきたい。


★次回のセミナーのご案内★
シンポジウム ピアノ教本、使いこなそう 第3回

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山本美芽

やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。  2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。  2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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中塚 三貴子 / なかつか さきこ(ピアノ講師)

名古屋芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒。生涯学習音楽指導員B級、全国生涯学習音楽指導員協議会愛知支部正会員(役員)
2007年よりあま市にてピアノ教室「ぴあのすく-るSan's」を開設。幅広い年代の生徒が在籍し、最も人数が多い小学生の保護者から「お話が楽しい」「相談しやすい」と好評を得ている。教室の柱として保育ピアノ指導にも力をいれ、保育士試験対策、学生や現職者のピアノ指導を行う。また、生涯学習音楽指導員として協議会支部活動や自主企画コンサートも行う。

あま市甚目寺観音さんから徒歩3分のピアノ教室 「ぴあのすく-るSan's教室ブログ」


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