ルイのピアノ生活

第53回 スチューデントコンサート/曲:いろいろ

2007/11/09
【ビデオ】
「第7回スチューデントコンサート」より 曲:いろいろ 
  第一部(10m33s) |第二部(8m46s) |第三部(10m20s) |第四部(8m04s)
※執筆者ホームページより
 

ピアノ習う目的はなんでしょうか。コンクールに受かる、音楽学校へ入学する・・・これは音楽の技術を磨いたり、知識をつけたり、先生や仲間と出会ったりするための貴重な場にはなるでしょうが、最終的な音楽の目標ではないと思います。
神からの贈り物である美しい「音楽」に触れる事自体が幸せで、それに近づくためにピアノという楽器を選び、ピアノを通して自分に向き合い、真剣に取り組む一方、音楽の素晴らしさを周りに伝えるために表現する。この内向的・外向的な両方の要素を通して人間としてもバランスが保たれ、もっと深く追求することで更に自己が磨かれていく。ピアノに限らず、これが音楽、または芸術の意義ではないでしょうか。

先週、生徒達の「スチューデントコンサート」を開催しました。1年半に一度の会ですが、今年でもう7回目になります。今回は20名が演奏してくれました。生徒は音楽学生やピアノの先生も多いのですが、その他に会社員、看護士、大学生、主婦・・・音学歴も色々です。自分の日常とは違う世界に住む人たちの音楽を聴く事は、お互いにとても刺激的で、いつもとは違う観点から音楽を学ぶことができます。例えばいつも試験、試験で、どうしても競争の要素から逃れられない音楽学生たちが、素晴らしい技術でのびのびと表現をする会社員の人の演奏を聴いて「眼からうろこ」の状態で愕然としたり、また音楽学生たちと同じ舞台に立つ事で、自分の通ってきた厳しさや苦労や達成感を思い出し、身が引き締まる思いのピアノの先生・・・といった具合に。でも、それぞれの音楽を集中して聴いているうちに、肩書きや年齢などの垣根が取り払われて、やはり音楽の前では皆平等にひとりの「音楽家」なのだと誰もが気づきます。それぞれが音楽をやっている事に誇りを持っていますし、真剣さは同等だということに気づきます。

演奏にはそれぞれ差がありますが、生徒たち全員に共通しているのは音が美しい事でしょうか。この日、調律師さんが「音が皆きれいで驚きました」とひとこと言って、会をずっと聴いていてくれました。調律師というのは音の「専門家」「ドクター」ですから、褒められ「健康ですね」と言われたようで、とてもよい気分になりました(笑)

「美しい音色」というのは画家にとって「美しい色」であり、詩人にとっての「美しい言葉」です。歌手にとっての「美しい声」です。音楽家として美しい音色を追求することは最も重要なことだと信じて、レッスンの中では一番大切にしています。でも美しさへの感性はそれぞれですから、皆が皆同じ音を持っているわけではありません。例えば、和声的なバランス感や、空気を振動させる感覚を意識するようにレッスンしますが、それぞれの音への感性と、指や身体の大きさは生徒によって様々。細くて透明感のある音も、太くて暖かい音の人もいます。もちろん色々な音色を表現できればベストですが、それでも音色は個性のひとつです。私の師であるブロンズ先生は音の魔術師のようにぞくぞくするようなppやエネルギッシュなf、そして曲を通して一瞬たりとも音色の乱れのないピアニストです。レッスンで「音色を大切に、自分の音をよく聴く」と言い続けているのは明らかに先生の影響です。自分の出す音色自体は先生のものとは違っても、大切にしている内容は同じです。 少々脱線してしまいましたね。レッスンに関してはまだまだ言いたい事がたくさんありますので、また別の連載で書くことにします。

「発表会」という言葉が生徒が先生の言う事をきいて、完成した曲を発表する場、というようなイメージが私にあるので、あえて「コンサート」という言葉を選んでいます。「発表会で弾く」か「コンサートで弾く」かでは、弾き手側に責任感というか、真剣味が加わると思います。それに聴いてくれる人たちに対しても、この日の為に努力を重ねて磨いてきた演奏を「楽しんでもらいたい」というメッセージも伝わる気がします。今回は2階席の後ろで最初から終わりまで(3時から8時過ぎまで!)聴く事ができました。本当に素晴らしい「コンサート」だったと聴き手として生徒達ひとりひとりに心から拍手を贈りました。

今回のビデオは第7回スチューデントコンサートから10名の演奏をそれぞれ少しずつご紹介します。時間の都合等で全てご紹介できないのが残念です!

それでは、また!

ルイ・レーリンク


ルイ・レーリンク

オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。

NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。

ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp

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