会員・会友レポート

第12回ハンブルグ国際音楽春季講習会両方 に参加して〔前編〕/副島智子先生

2009/04/27
ハンブルグ国際音楽春季講習会両方 に参加して〔前編〕

[ リポート ◎副島智子先生]
(ピアノ教師)

修了演奏会にてピアノ演奏熱演。
修了演奏会にてピアノ演奏熱演


ピティナのインターネットサイトにて知った「第12回ハンブルグ国際音楽春季講習会」に参加しました。 

この参加は、私にとっては、色々な意味で人生の忘れえぬ思い出になりました。

私は、ずっと大阪でピアノ教師をしております。海外へは、音大生だった約20年前、当時の同級生2人とヨーロッパを観光旅行で廻った事が一度あるだけでした。随分昔の事で、私にとって「ヨーロッパ」は大変遠いものになっていました。

が、最近少々余裕も出来たので、また心機一転、「自分自身のリフレッシュ」、そして、「何か得るものと出遭うかも知れない!」、と思い立ち、思い切って参加をしてみました。

以下、報告させていただきます。

講習会会場のブラームス音楽院玄関(ブラームスの像)
講習会会場のブラームス音楽院玄関
(ブラームスの像)

講習会は、2009年3月9日―16日計8日間。場所は、ブラームスの故郷、北ドイツのハンブルグ。会場は、ブラームス音楽院(コンセルヴァトリウム)。講習科目は、ピアノソロ、ピアノ伴奏法、声楽、ヴァイオリン、クラリネット、フルート等管弦楽。
講師の方々は、ドイツ国立音楽大学教員及び、ブラームス音楽院教員、及びヨーロッパ一流の演奏家等。
講習会初日に自分の予定表をもらい、レッスン日時の確認。 個人レッスンだけでなく、受講生全員で受講する共通セミナーも多数あり、その予定も確認。さあ、スタートです。

個人レッスンは、講習会期間中一人4回付いていました。私は外国語が全くできないので大丈夫かしら、と少々心配でした。しかし、レッスン中は、通訳が付きっきりで上手に訳して下さり、よく内容がわかりました。また私の方でも通訳を通じて気軽に質問できるレッスンの雰囲気、これには非常にリラックスしました。
他のレッスンの見学も自由。せっかく来たのだからと、できるだけ見てまわりました。特に印象に残っているのは、声楽のレッスンです。ロンドンからいらした、「世界のテノール」アントニー・ローダン先生(元英国ロイヤルオペラ花形スター、ロイヤルアカデミー音楽院教授)の大らかで明るい声楽のご指導。お手本で歌われる先生の巨大な美声にびっくりしました。臨場感のあるレッスンでした。

熱心に聴き入る聴衆
熱心に聴き入る聴衆

共通セミナーは多彩で盛りだくさん、毎日ありました。それぞれのセミナーはすべて通訳付き、大変おもしろく、日本ではめったに得ることのできない見聞、体験、訪問の数々でした。それらは、とても自分ひとりのアレンジでできるものでない内容。個人でめぐる音楽の旅もいいでしょうが、こういう形(共通セミナー)を通して、「音楽の旅(研修)」に参加できたのはよかったと思いました。

3月9日 世界的蒐集で有名なチェンバロ・コレクション鑑賞 (ハンブルグ工芸博物館にて) 専門家による解説と見学ツアー。

ハンブルグの街の風景
ハンブルグの街の風景

10日 ハンブルグ市内観光と実地音楽研修セミナー「ハンブルグにゆかりのある音楽家の地を訪ねて」;ブラームス記念館、メンデルスゾーン生家跡、テレマンの墓、新ルネサンス様式の、華麗なるハンブルグ市庁舎内部見学、ブラームスが洗礼を受けたミヒャエル大教会では、そのパイプオルガンの荘厳な響き!も聴く。それぞれ専門家の解説付き。

11日 Prof.Dr.StevenPaul(元ソニー 著名音楽プロデューサー、音楽ジャーナリスト)による 講演 「CD販売世界のマーケティングとその制作、グラミー賞受賞時の背景」

スタインウエイ工場見学中
スタインウエイ工場見学中

12日 世界一のピアノメーカー・スタインウエイ 工場見学; 「世界の名器はどのように作られているのか?」; 専門家による解説と見学ツアー。

13日 ドイツ語の詩の発音・朗読・表現教育の名教師Prof ヴィンクラ-による「ドイツ語と詩と音楽表現研修セミナー」

14日 ドイツ三大オペラ ハンブルグ州立歌劇場にてオペラ「トスカ」を鑑賞。(世界一のバリトン、F.Grundheber氏の名演に酔いしれる!)

市庁舎の華麗な内部
市庁舎の華麗な内部

15日 音楽文化セミナー;ヨーロッパの各国の文化、音楽、生活やバックグラウンド、及び国際音楽祭、コンサート、オペラ各国別インフォメーション
留学セミナー;ヨーロッパ留学の現状と相談、(留学準備等の具体的対策、ドイツの各音楽大学現状、入試、諸事情等のお話。個別留学相談も別途あり)。

16日 受講者修了演奏会。ベヒシュタインホールにて、ドイツ人聴衆前で公開コンサート開催。修了証書授与。 

さて、私の受けたピアノ個人レッスンのお話。

共通セミナーのシーン
共通セミナーのシーン

講習会ピアノ講師の方々はいろいろなタイプの先生方が4名おられ、全員のレッスンを受講します。どの先生もすてきでしたが、その中で、私が印象に残ったアーリングスマン先生のレッスンについてお話します。

先生は元ハンブルグ国立音楽大学教授、15歳でハンブルグにてコンチェルトデビュー、パリでコルトーの元で学び、その後母校ハンブルグ国立音楽大学にて巨匠ハンゼンのアシスタントとしてスタート、教授活動を35年間されてきた方。 

私は、ベートーベンのピアノコンチェルトでレッッスン受講しました。

先生が何度と過去にヨーロッパ中で演奏されてきたお得意の曲と伺いました。第2ピアノを先生が弾いて下さいました。

レッスンでは、ベートーベンの音楽において、或いはこの曲で一番重要な考え方、テクニックのエッセンスを説明されました。わかりやすく、私にはどれも新鮮なアドバイスでした。

修了演奏会後の打ち上げパーティー
修了演奏会後の打ち上げパーティー

それにしても、先生のピアノ、粋で見事なこと。先生は、ドイツ人ですが、お身体が華奢で身長155CM位、私も先生と同じ位の体格。力でバンバン押すタイプでなく、自然で流麗な、決してきばらない奏法で、魅力的なピアノでした。

一級のオーケストラのようにすばらしく多彩な音色をピアノで出してくださり、それが何か自分にのりうつってくるような気がしました。気持ちが洗われるようなすばらしいレッスンでした。

後編に続く


ピティナ編集部
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