会員・会友レポート

ハンブルグ春期講習会参加リポート/磯貝亜美さん

2007/06/01

ドイツ音楽海外訪問記
第8回ハンブルグ国際音楽春期講習会に参加して

リポート◎磯貝亜美さん(音大生)

2007年3月10日~17日開催された「第8回ハンブルグ国際音楽講習会」。場所はブラームスの故郷でもある北ドイツの街ハンブルグ。ピアノ・伴奏法レッスン、セミナーの数々、由緒あるハンブルグ市内見学、留学説明会など、充実した8日間の受講リポートを頂きました。ここにご紹介いたします。

ハンブルグ市庁舎

豊富なセミナーとレッスン、そして一流の講師陣!

 私は海外でピアノを勉強するのは初めてでした。ドキドキして飛行機に乗り、空港へ到着すると、そこは、空気が涼やかな外国でした。夜タクシーで宿舎へ到着、明日から始まる講習会の事を考えて、ちょっと興奮しました。
 次の日朝は、宿舎を出て、近くの商店街を歩き、殆ど何もみえなかった昨日の夜とは違う、活気ある爽やかなドイツ朝の顔がありました。パン屋さんには、人が沢山、私も他のドイツ人達に混ざって、黒パンサンドイッチとコーヒーをいただきました。ハンブルグへ来たのだ!という実感がわいてきました。
 講習会会場は、ハンブルグ生誕の作曲家ブラームスにちなんで名付けられた「ブラームス・コンセルヴァトリウム」でした。(いわゆる日本で音楽大学にあたるムジークホッホシューレ)講習会初日に自分の予定表をもらい、レッスン日時の確認、そして他の共通セミナー等にも目を通します。
 私のピアノ個人レッスン4回の他にすごい!数と種類のセミナーがありました。日本を発つ前にプログラムは聞いていましたが、いざ、これらを前に、この8日間ですべてのセミナーをこなせるのかしら、と一瞬たじろましたが、せっかく来たのでがんばろう!と思いました。私はピアノ受講者でしたが、他に声楽、ヴァイオリン、管楽器等の受講生が会場にいました。各自自分のレッスンに合わせて、練習室で練習したり、他の人のレッスンを聴講したりしていました。


ピアノレッスンは、自然な流れの中で細かい個所も丁寧に


個人ピアノレッスン指導を受けているところ


世界の巨匠、ノーマン・シェトラー先生を囲んでドイツ料理をいただく

 講師の先生方は、ブラームス・コンセルヴァトリウム教員、ドイツ国立音楽大学教員、他ヨーロッパ一流の演奏家です。現役で演奏をしていらっしゃる先生に、ヨーロッパ本場の音楽を習う!、期待でワクワクしました。ピアノの先生で印象に残っているのは、スクマノヴァ先生(ブラームス・コンセルヴァトリウム)。先生は、ヨーロッパ各種音楽祭出演、リサイタル等、ご自身活発なステージ活動をされています。
 レッスンでは、ショパンのソナタを弾きました。どんなレッスンかしら、と初めは少々緊張しました。が、お会いした最初の印象同様、もったいぶった所が全くなく、正直でさわやかな雰囲気が終始あり、すぐに先生のレッスンにとけこめました。レッスンは日本人の通訳の方がつきっきりで通訳して下さったので、助かりました。が、私は時々、勇気を出して、ドイツ語通訳の方なしで、ブロークン英語で直接先生とお話ししてみました。
 こちらの先生のレッスンで印象に残った事は、コセコセと細かな所をつついて行くのではなく、自然体の、気持ちのよい流れの中で、細部に至るまで丁寧に、模範演奏(音がすてきでした、日本でなかなか聞けない)を交えて教えていただいたという事でしょうか。テクニック、音楽、演奏表現、と、大変タイミングよく、わかりやすかったです。


伴奏法のレッスンも受講

 ソロのレッスンの他に、珍しい伴奏法のレッスンも、受けました。伴奏法ピアノ受講生は、前もって振り当てられたソリスト(声楽の方)と組んで、実際に曲を伴奏し、そのデュオ演奏の中で指導されます。
 伴奏楽譜は、前もって日本に送られてきて、それをさらってきて、こちらで声楽の人と合わせてレッスンに臨みました。伴奏法の先生は、ドイツ、ヨーロッパで活躍の伴奏ピアニスト、ファイト先生(ドイツ国立リューべック音楽大学、巨匠フィッシャー・ディスカウ他の伴奏者)でした。経験豊かな音楽指導で、おもしろくて、これもためになると思いました。
 ファイト先生は、受講生の熱心な聴講をとても歓迎され、時々、皆でピアノを囲み、「伴奏研究会」みたいな雰囲気でレッスンされました。私も一緒に聴講しました。


修了演奏会にて。ピアノ・デュオ演奏の受講生

 「知らない楽譜を見たときに,まず何をするか。テンポの手がかりは、どうつかんで行くか」からお話はスタート。そのレッスン受講生は、単純和音を、分散和音みたいにずらせて弾いてしまう変な癖を再三直されていました。R.シュトラウスならそれも良いけど,と一言つけ加えられたりして。とても、上手に、新鮮に、相手を傷つけず、しかも「先生」ぶらず(と申し上げては失礼ですが)、私も楽しくなり、伴奏の授業に惹きこまれて行きました。


ドイツ留学のアドバイス


レッスン会場となったブラームス音楽院。庭の緑も見える

市庁舎内を見学

それから印象的だったのは、音楽家ゆかりのハンブルグの名所を回った事でした。ブラームス、テレマン等の音楽家が、より身近に感じられ、感動しました。また私自身が音大卒業後にドイツ留学をめざしているので、そのセミナーが役にたちました。ドイツ留学に関する情報とインフォメーションの詳しいレクチャーがありました。

ドイツにはどんな音楽大学・音楽学校があるのか、各音大の入試の詳細、願書出願の方法、先生とのコンタクト方法、レッスンの受け方、具体的に準備する曲、留学生活の知識等。また、個人別ドイツ留学相談も受けました。日本で得られない多くの情報を得ることができました。
実際ドイツへきて、講習会を受講しながらこちらの様子を見てみる、それから留学の事も考えられるのだと思いました。過去に、講習会受講生等関係より、何人もの日本人が激戦のドイツ国立音楽大学入試に合格され、本格的留学をされている由。私もがんばってみよう、と思っています。


その他、こんなセミナーがありました!

他にも私が参加したセミナーはまだまだ多数ありました。でも、この紙面にその全セミナーのレポートは無理なので、以下、主なものの内容紹介しておきます。

(1)情熱的な女性、ヴィンクラ-教授の、ドイツリートを使ったドイツ語発音、解釈のセミナー

(2)留学相談、ヨーロッパの音楽諸事情

(3)オペラ 「トスカ」を、ハンブルグ国立オペラ劇場にて、全員で鑑賞


名器スタインウェイ工場を見学、その合間に皆でコーヒー・ブレイク


オペラのワークショップにて


ハンブルグ市庁舎から、市庁舎広場の眺め


受講生の皆さんと

(4)「スタインウエイ工場見学」 世界の本拠地ハンブルグの工場で、名器スタインウエイ・ピアノがどのようにして出来上がるのか、一つ一つの工程を丁寧に説明してもらって、記念のおみやげももらって満足!

(5)現地のお客様も交えての公開「講習会修了演奏会」、すばらしいドイツの伝統建築の華麗なホール、可愛らしい修了証書もいただきました。

(6)街のどこからでも見える、ハンブルグの中心教会、バッハも弾いていたザンクトミヒャエルにて。世界一のパイプオルガンの壮麗な響き!に、声も出ませんでした。ブラームス記念館など音楽テーマの見学セミナー。

(7)ハンブルグ国立オペラ劇場首席コレペティトーアのスクエア先生によるプロのオペラ・ワークショップ

(8)かつて、世界の歌劇場を廻り、今は、名教師ローダン先生(ロンドン)の声楽デモ・レッスン「ヨーロッパの本格的な声と歌い方とは?」。

(9)壮麗なドイツ伝統建築、ハンブルグ市庁舎見学。そのりっぱな豪華さにびっくりしました!

(10)世界的に有名なウイーン元国立音楽大学のシェトラー教授の個人レッスン、全員受講できたのはよかった!

 すべて通訳付きでよくわかりました。受講生の仲間は、大変いい人達で、わきあいあいとしていました。皆で一緒に受けるセミナーが多いので、すぐに仲良くなり、お互いのレッスンを見学し合ったりもしました。

 講習会ヘルパーの日本人の方々も暖かく親切だったです。短期間で、いろいろな体験ができました。私の初めての外国でのピアノと音楽のお勉強、大変満足しました。
 ハンブルグは、神戸の街に似ていると思いました。港があって、インターナショナル、きれいな所でした。そして、ブラームスを弾いたら、これからずっとハンブルグを思い出す気がする私です。


ピティナ編集部
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