100のレッスンポイント

061.ピアノを弾くということ。大切な3K

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2011/02/04

今回から「レッスンと練習のポイント」に入ります。

ピアノを学ぶことによって「こんなにすばらしい事があるのか」と日々実感し、自信を持っていますので、この章は40項目に達しています。項目を読んでいるだけで、我ながら納得!です。しかしこれを文章にしていくとなると、回りくどいうえ独断と偏見を含んだ表現も交ざってしまいそうですが、がんばりたいと思います。

初めてピアノを習いに来るのが幼稚園の年少さんだったりすると(最近は低年齢化しているようですね)、自分から「ピアノを習いたい!」と言って学び始めることは少ないと思います。たいていの場合、ご両親の「心豊かな人間に育てたい」という気持ちから通い始めるのではないでしょうか?
音楽が心を豊かにする事は言うまでもないことですが、それと親しみ自分で演奏できたら更にステキなことですね。

指先を使う事は、「ボケ防止」にもよいということですから、脳の発達にも影響するに違いありません。「ピアノを弾く」という事は、楽譜を事前に見て、考えて音にし、その音が良い音かどうかを聴きながら、同時に次の音を考え出していくということです。足で操作するペダルも使いますので、瞬時に、とても早い信号が脳の中を行ったり来たりしているのだと思います。

「幼い頃から真剣にピアノを上手に弾く子は、必ず賢い!」「特に男の子は、ピアノの道に進む事ばかりを考えるのではなく、お勉強ができて心も豊かに育つために、ピアノを学ぶと良いです。」というような事をセミナーでも申しています(実際、それを聞いて習い始めた男の子が、ステキなピアノを弾き、賢く育っています!)。過去の弟子には東大生も多いですし、医者になった人もいることを考えると、これは正しいと思います。

このことには、ピアノを弾くという行為が脳に刺激を与えていることだというだけでなく、「毎日練習しないと弾けない」ため根気強さが身につくことや、時間がない中で効率よく練習しないと続けられなくなってくるということから鍛えられる、判断力や要領のよさが関係してくるのではないでしょうか?

実に、ピアノを学ぶという事はすばらしいことだと思います。

そして、ピアノを弾く時には大切な3Kを忘れないで欲しいと思っています。
まず、楽譜を見て、書いてある事を考える(K)そして、弾く。どんな音が出たか?聴く(K)。
この連載でも常に意識していますし、指導者であれば、生涯の中で一番使う機会が多い言葉かもしれない「聴いて!」(K)ですね。

ところが、もう一つの(K)を忘れて弾いていませんか?
最後の(K)は、「感じる」ということです。

自分の出した音や、音楽を聴いてどう感じるか?気分が良くなったか?幸せな気分になれたか?
楽しい曲を弾いてウキウキする事は当然ですが、悲しい曲も美しい音で再現し、その「気分」の音を聴いて感じ入る=感動する。それがピアノを弾く楽しみだと思います。

練習している時も常に、「音があっているか」を聴くだけではなく、美しく弾けた音を聴いて幸せになれる「音楽のすばらしさを感じたい」と考えてみてはどうでしょうか?
ピアノと向き合う時、常にステキな時間を送って欲しいと切に願っています。


池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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