ピアノステージ

Vol.11-2 祝・ピアノ誕生300年 II.ピアノ曲の世界旅行 アメリカ/日本

2010/03/01
ピアノ曲の世界旅行
◆ お話&演奏

ピアノが誕生して以降、西欧のドイツ~オーストリアを中心に、クラシック音楽の重要な一ジャンルとして、「ピアノ曲」の基礎が築かれます。そして時代の変化、各地の民族文化の影響を受けながら、ピアノ曲は多様化し、世界に広がっていきました。

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アメリカ
フォスター
フォスター●「アメリカ音楽の父」と称されるフォスター(1826-1864)。直接クラシック音楽を作曲していないが、ドヴォルザークなど他国のクラシック音楽の作曲家にも影響を及ぼした。
アメリカ
19世紀前期:北部は未開
        中南米諸国のスペイン・ポルトガル領から独立
20世紀後期:アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ(北米)、ブラジル、アルゼンチン(南米) 他
20世紀の音楽

19世紀中期のヨーロッパの革命運動以降、多数の音楽家がアメリカ合衆国に移住、ドイツ音楽から得た影響は大。20世紀には、通俗楽派、実験主義者、不確定音楽も含め、世界のあらゆる流派が存在してる。

ヴィラ=ロボス

ヴィラ・ロボス(1887-1959 ブラジル)
土俗的な要素と申請な叙情の徹底した追及者で、クラシックの技法にブラジル独自の音楽を取り込む。『ショーロ第5番(ブラジルの魂)』など。

ガーシュイン

ガーシュイン(1898-1937 アメリカ)
真の「アメリカ音楽」を作り上げ、ピアノで世界中に示す。クラシックとジャズを融合した「シンフォニック・ジャズ」の『ラプソディー・イン・ブルー』など。

ジョン・ケージ

ジョン・ケージ(1912-1992 アメリカ)
プリペアード・ピアノの創始者。前衛的手法をシェーンベルクから受け継ぎ、不確定要素など相違あふれる新技法。『メタモルフォーシス』など。

ヒナステラ

ヒナステラ(1916-1983 アルゼンチン)
十二音主義から出発し、民族的土俗的作風を強めたアルゼンチンの作曲家。『12のアメリカ前奏曲』など。

ピアソラ

ピアソラ(1921-1992 アルゼンチン)
「アルゼンチン・タンゴ」に、バロック様式の重厚さやジャズのクールさも加えた独自の音楽を開拓。『リベルタンゴ』など。

聴いてみよう!

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ガーシュイン:「ラプソディー・イン・ブルー」
アフリカからアメリカへの移民によってもたらされたジャズの発展も、鍵盤楽器の歴史上も忘れてはいけないでしょう。ラプソディー・イン・ブルーではヨーロッパのクラシック音楽とアメリカの民族音楽としてのジャズが見事に融合されています。スイングするリズムと喋り歌うような節回し、ピアノの超絶技巧、時にはちょっとした即興も交えながら、ピアノソロ編曲(短縮版)でお届けします。
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ジョージ・クラム:「マクロコスモスII」黄道十二宮による12のファンタジーより第1曲 モーニング・ミュージック/創世記(蟹座)
アメリカは、伝統あるヨーロッパの音楽から抜け出すような、アヴァンギャルドな実験音楽が常に盛んな国でもあります。その中でも特に個性を放つ作曲家、ジョージ・クラム(1929-)の作品より短い1曲をご紹介します。この作品ではピアノの中の指定された音域に紙を置き、その振動も音色の一つとして使われています。阿多足い音色の研究に没頭したクラムの神秘な世界を体験してみてください。
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ピアソラ:「リベルタンゴ」(編曲:黒田亜樹)
ピアソラ没直後、クラシックの名だたる演奏家が彼の曲を取り上げ、いわゆる「ピアソラブーム」がおこりましたが、その中でもとりわけ演奏率の高いのが「リベルタンゴ」。ピアソラはバンドネオン奏者としてもすばらしい腕前でしたが、彼の作品を演奏する時にはバンドネオンの蛇腹が日サボ上でチャッチャッチャと軋む、あの響きなしには表現できないともいえるでしょう。バンドネオンを含む単語5重相談のノリや味わいをピアノで演奏すること、またピアノならではの編曲の面白さを伝えることに挑戦してみます。

日本
ピアノが初めて日本に上陸したのは、シーボルトが来日した1823年。以降、明治時代の文化政策とともにい、ピアノ音楽が普及、ピアノ教育は大きく発展し、今や世界トップのピアノ生産国に。邦人によるピアノ作品も世界各国で演奏されている。
聴いてみよう!

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武満徹;雨の樹素描II─オリヴィエ・メシアンの追憶に─
武満徹 現代音楽の分野で、世界的に有名な日本を代表する作曲家。この曲は、尊敬し影響を受けたメシアンの、没年に書き上げた作品です。武満は、形をもたない「水」を、「音」との関係に重ね合わせ、「海」や「雨」などを多く描きました。日本の「雨」の風情を感じながら、水とピアノの音がどう絡みあい、その響きがどう伸びてどう移ろっていくかを、聴いていただきたいと思います。

時代を超えて、場所を越えて

「一人の人が一生のうちに体験できることや、行くことのできる場所は限られています。何かを長い間ずっと見守ったり、世界一周旅行を何回もしたりすることは、限られた人生の中では色々な制約があって到底できることではありません。
 でも、音楽に触れることで、私たちはその制約から自由になれます。音楽教育の意味も、そのことを教えるところにあるのではないでしょうか。音楽を通じて、時代を超え、場所を超え、─教育的にも、演奏会としても、とても意義深いものになるはずです。音楽に触れて人は自由になれること。この演奏会で皆様に感じていただければと思います。」(黒田亜樹)


⇒ピアノ300年記念コンサートの詳細はこちら


ピティナ編集部
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