みー子さんのピアノアレコレ

第08回 ポップスをカッコよく弾くにはどうしたらいいの?!

2010/04/09
あっ、いけない、もう5時。ハロー、みんな。ニャッチです!
タマヤです!
ジュリニャンでっす!ぼくら、3匹あわせてマタタビ隊!きゃ〜かっこいいー!!マタタビ隊、大好き!歌が上手なニャッチと、ちょっぴりキザなタマヤ、そしてオシャレなジュリニャン、みんな素敵!聞いてください、ぼくらのニューシングル、「愛のネコジェラシー」!もう最高!!やっぱりみー子はタマヤのファンかなぁ。この曲振り付けもむずかしいんだよね。ここで猫じゃらしと腰をフリフリして・・・まぁ!みー子ちゃん!なんですか、またそんな流行歌なんか聞いて!あ、ママ!見て見て、この歌すごくいい曲なんだよ。タマヤもかっこいいし!そんなアイドルにお熱になってもしかたがないのよ!それよりちゃんとピアノのお稽古なさい。夕食前に30分はお約束でしょ?!はぁい、ママ・・・(あーあ、ママにはマタタビ隊のよさがわかんないのかな)はぁもぅ困ったわねぇ。ちっともマジメに練習しないんだから。(そうだ!ヒラめいた!みー子はピアノでマタタビ隊の曲を弾けばいいんだ!そうすれば練習も楽しくなるし、ママにもおこられないよ!あったまいい!)〜数日後、おこづかいで「愛のネコジェラシー」の楽譜を買ってきたみー子〜さーてと!今日からみー子はマタタビ隊の曲をピアノで練習しちゃうんだから!タッカタッカ、タタータ、ウン、ウン、タカタン・・・あれれ?こんな曲だったっけ?なんかちがう気がする・・・どうして?みー子、ピアノがヘタになっちゃった?おやおや、みー子さん、どうしたの?弾きながら泣きべそなんて。 キーマン先生!みー子、あこがれのアイドルの曲がうまく弾けないの。この曲大好きなのに、弾くとなんだかおかしいの。この曲はポップスっていうジャンルの曲だね。弾いてみて何かがちがうって感じるのは、とってもいいことだよ。え・・・そうなの?でも何がちがうのかわかんないのよ。当然さ。みー子さんは今まで、クラシックのレパートリーをたくさん弾いてきたでしょ?ジャンルがちがうから、わからないのがむしろフツー。そう?落ち込まなくていいのか。ぜんぜん大丈夫!ではここで質問。こういうポップスの曲、聞くとどんな風に感じる?う〜んと、マタタビ隊の曲って、ノリノリな感じで、カッコいいよ! そう、そのひょ、拍子と、ビート?うん。拍子っていうのは、1小節のお部屋の中に入っている音符の数だね。4分音符が4つですよ、8分音符が6つですよ、とか。クラシックの演奏でも大切なお話。あ、それしってる。4分の4とか、8分の6ってやつでしょう?そう。で、ビートっていうのは、その拍子をどんな風に感じるかっていうことなんだ。拍子をどう感じるかがビート?うん。ビートには基本があるんだよ。4分音符が基本の4(フォー)ビート、8分音符が基本の8(エイト)ビートとか。うわ、なぁに、それ?みー子さんは、「裏拍」って言葉を聞いたことある?4ビートの曲は、1、2、3、4と拍子があったら、2と4のところを強くするんだ。それが4ビート。えええっ!それってクラシックの4拍子と全然反対じゃん!今までは1拍目が一番強くて、つぎに3拍目が少し強いってならったよ。2と4は弱くしなくちゃ、って。お、クラシックではそのとおり!ところが、ポップスやジャズなんかのビートだと、2拍目と4拍目を強くするんだ。それを「裏拍を感じる」っていうんだよ。そうすると、へぇ〜そうなんだ!ノリノリの正体って、リズムの感じ方なんだね!みー子はリズム感がわるいのかな?って思っちゃったけど、ポップスのビートを知らなかっただけだね。クラシックだって、バロック時代のバッハの音楽と、ロマン派のショパンの音楽だと、リズムはけっこう違うよね。それと同じように、ポップスにはどくとくのビートがあるってことを知ればいいんだ。じゃ、ビートになれるようにリズム練習からしようかな!お、その調子だよ!なれてきたら、ビートの強さは自分の好みでいいんだよ。心地よさを大切にね。ところでみー子さん、この曲、もとはピアノの曲じゃないよね?うん。もとは歌だし、それに大きなバンドがいつもマタタビ隊の後ろで演奏してるよ。そうだよね。だからこの楽譜はピアノ用にアレンジ、つまり編曲されているんだ。じゃ、もとの曲とは、どうしてもちがっちゃうの??それはそうだよ。でも、弾いているときに、もとの音楽を思い浮かべてるかな?あ・・・みー子、楽譜見て弾くのに一生懸命だったかも・・・大切なのは、もとの曲の雰囲気をよく知っておくこと。そうするとね、ピアノの楽譜には音符が1つのところでも、心の中ではドラムが4つ鳴ってるかもよ?あ、そうか!でも、心の中の音って、関係ないんじゃない?それがちがうんだな。もとの曲ではずーっとドラムがツクツク、ツクツクと鳴ったり、トランペットがドゥワッパーーー!!と元気に鳴っているかも。それを心で感じながら弾くと、4分音符のビートだって、イキイキするはずだよ!えええ!なんかそれ、ヒミツのワザっぽいね。名付けて、「おそるべし、4分音符!」だ。エッヘンすっご〜い!じゃあ、もとの曲をよく聞くことも、ダイジな音楽の勉強ってことで、またマタタビ隊の番組見なくっちゃ!!あれれ、コラコラ、ちゃんとピアノの練習もしてよ〜っ!
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取材・絵と文:飯田有抄

プロフィール:音楽ライター、翻訳家。1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒、同大学院音楽研究科修士課程修了。マッコーリー大学院翻訳通訳修了。ピティナ「みんなのブルグミュラー」連載中。

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