ピアノとコーチング

最終回 ~お礼の気持ちをこめて~私とコーチングの出会い・娘とのこと

2009/01/15

090115ak1.jpgいつも「リエ先生のピアノとコーチング」をお読みいただき、本当にありがとうございます。

私のエッセイも、とうとう今回が最終回となりました。

毎回、先生方、お母様方、ピアノを学ぶ生徒さんの顔を思い浮かべながら、エピソードや体験を自由に楽しく書かせていただきました。また、旅先で「リエ先生のピアノとコーチング、読んでいますよ?」と声を掛けていただいた時は、心が躍るほどうれしく、ますます張り切って、エピソードを探したものでした。改めて御礼申し上げます。最終回では、お礼の気持ちを込めて、「私とコーチングの出会い・娘とのこと」について書いてみたいと思います。

出会い

それは、5年前のことです。娘の中学帰国受験を終え、NYに戻る飛行機の中で、私たちは、恩師の江崎光世先生から送られた「レイコ@チョート校」という本に出会いました。アメリカの名門ボーディングスクール(寮のある学校)チョート校で学ぶ16歳のレイコさんの体験記でした。「すごいねえ?会ってみたいね・・」すぐに、おみやげの日本食を車にのせてチョート校へと向かった私たちでしたが、残念ながら、レイコさんは不在でした。

しかし、チョート校を見て、娘はこう叫んだのです。

「お母さん。私もこういう学校で一人でがんばりたい!今まで英語と日本語の勉強で大変だった。感謝はしているけど、私も他のアメリカ人の子みたいに英語一本で勝負したいんだ!」

実は、日本の学校は決まっていました。でも、せめて後悔しないよう、チャンスだけでも与えようと思い、13歳で受験できる学校をボストンに見つけて、チャレンジすることになりました。

覚悟

090115ak2.jpg受験日当日、ボストンの空港の夜明け前の空には、信じられないほど大きな月が出ていました。

私はその月を見ながら、ああ、一人娘を手放してしまうかもしれないなあ・・そんな予感がしていました。もし合格したら、そのままアメリカの大学に行ってしまうかもしれない。その先、どんな国籍の人と結婚するのかもわからない。でも、決して文句を言ってはいけない。また、思いがけない事故にあって、二度と会うことができないかもしれない。でも、それも黙って受け入れよう。なぜなら、それは受験を許したということは、その先の事態も受け容れるということ。私たち夫婦の自己責任なのだからと覚悟を決めました。

一瞬、胃袋をぎゅっと捻じられたような痛みが走りました。

でも、足を踏ん張って立ち、娘とともに私も親として成長しよう。合格は、そのための喜びの別れだと、涙を見せないように唇をかみ締めました。

自分から変わると決める

ほどなく、ボストンの学校グロートンに合格が決まりました。そして、娘のコミュニケーションは、電話だけの日々となりました。

今までのような叱咤激励のやり方では、きっと娘をつぶしてしまう・・・・

実は、かなり前から、娘を飴と鞭で娘を操作してきたことに気づいていました。

でも私は、そんな気持ちにずっと蓋をし続けてきました。・・・というよりも、他のやり方を知らなかったのです。

難しい思春期、アメリカでの寮生活を一人乗り切るのは、どんなにストレスがかかることでしょう。

変わりたい!もっと、私自身が変わり、上手にコミュニケーションを取って、娘が本当に苦しい時、悲しい時に、真のサポートがしたい。

それの出来る親になりたい。

私は、心からそう思いました。

ショック

そんな時、出会ったのがコーチングでした。

コーチングという考え方、コーチと呼ばれる人たちを見て、私はショックを受けました。

● 相手を100%受け容れる
● 主役は相手
● 相手の中に答えがあると信じる

今まで、「私が教えたことをなんでやらないの」と、相手に強要してきた私。

真反対の方法があることを知って、愕然とします。

さらに、周りを幸せにしていく自信に満ち溢れたコーチの姿を見て、「ああ!私もこういう人になりたい!どうすれば、あんな人たちのようになれるのか、知りたい」と思いました。実は、コーチは、前回、前々回のエッセイに書いたようなコンピタンシーを元にコミュニケーションスキルのトレーニングをしている人たちでした。

信頼

私は、プロコーチを目指し、コーチ21という養成期間に入りました。

そして、娘、夫、両親、友人、そして初めて会った人にも、せっせと学んだことを実践し始めます。

ピアノの生徒さんには、今まで教えること一辺倒だったのをやめて、生徒さんの気持ちやアイデアにも耳を傾け、ちゃんと認めることにしました。

そしたら、変わり始めたんです。

なんと!みんなの本音が出始めたんです。

・・・ああ。今まで、私はこんなに大切な声を聞いていなかった。

偉そうなことを言って、相手を理解しているつもりでも、全く理解しようとしていなかったことに気づき、本当に恥ずかしく思いました。レッスンでは、生徒さんの声を聞いて、ニーズを解消することで、生徒さんのモチベーションが上がりました。更に生徒さんの意見を尊重し始めたら、自らどんどん練習してくるようになり、快適にレッスンが進められるようになりました。

090115ak3.jpgさて、娘との電話コミュニケーションでは、自分の態度を改め、100%今の彼女を受け止める。絶対に指示、命令をしない。脅さない。(これが1番難しかった)ことに務めました。今までの癖が出そうになったら、お腹に力を入れて、舌を噛みました。

やがて、「お母さん。ありがとう。お母さんの応援の言葉があれば、どこまででも頑張れる気がするの」

「私が、夢をあきらめそうになった時、それを思い出させてくれたのは、お母さん。勇気をありがとう」

そんな言葉をもらえるようになりました。

コーチングのセミナー出会ったピアノの先生の多くは、「生徒さんには出来るけど、我が子には出来ないんです」とおっしゃいます。

それは、指導への責任感と楽しさから、つい家族とのコミュニケーションが後回しになってしまっていること気づいている先生方です。

大丈夫。ちゃんと気づいているんだから。生徒さんに出来るんだから、ご自分の家族に出来ないはずはないと自分を信じてください。我が子を1番大切な生徒さん。または、親友だと思って接してみては、いかがでしょう。きっと、少しずつ信頼関係が変化していくのを感じていただけるはずです。私は、先生ご自身の日々安定した生活のバックボーンがあってこそ、笑顔でゆとりを持て、気持ちよいレッスンできるのでは・・・と思うのです。


現在、18歳になった娘は、アメリカの大学で学んでいます。時には、受け止めることが難しい出来事が起こります。でも、自分に出来ることは娘を信じて支えること。「絶対に成長を先取りしたり、つぶさない」という軸を自分の中に1本立てたので、びくともしなくなりました。

私は、これからも自らの成長のため、コーチングを学び続け、それを実践していくでしょう。

私の夢は「日本中のピアノを習う子供達を幸せにすること」

そのためには、幸せな先生方やお母様方も日本中に増やしたいと思っています。

これからも、あらゆる場で、皆さんを応援していきます。

姿を見かけたら、どうぞ気軽に声をかけてくださいね。

感謝をこめて  青木理恵

※レイコ@チョート校 岡崎玲子
http://www.amazon.co.jp/dp/4087201147/


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