ピアノ曲MadeInJapan

◇エッセイ「和ピアノへの道」4 現代音楽へのギモン

2007/12/25

雅楽への恋心から、13年間続けてきたピアノを辞め、東京芸大楽理科にて現代音楽に目覚めた私は、そこで現代音楽漬けの生活を送ります。CDやコンサートで聴くのも現代曲、雑誌や美術館で見るのも現代アート、そして副科ピアノのテストで弾くのも武満徹。今思えば、偏った学生生活だったかもしれません。


卒業論文も、もちろん現代音楽について書きました。指導教官の船山隆先生から渡されたテーマは、日本人作曲家「一柳慧」 。その作風の変遷について、大量の資料を手に必死に書いたのを覚えています。現代音楽の楽譜を本格的に"分析"したのも、その時が初めてでした。混沌とした音楽でも、裏では技法が使われていたり、それなりの美学があったり...。先輩に手厚くご指導いただきながら、複雑な楽譜を"読解"した経験は、今でも役に立っています。


ですが現代音楽を真面目に研究する中で、今度は反対に"技法"や"美学"など、音楽自体からは少し離れた問題にばかり関心がいくようになり...。そのうちハタと思ったのです。「私は一体何を研究しているのだろう...」。そしてそのギモンが、私だけの問題ではなく、現代音楽界全体の問題でもあってきたことに、うすうす気づき出したのでした。

 

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今回の音源「変奏3」は、12音技法という作曲技法(→詳しくは連載第7回「12音主義」へ)が使われた作品です。


松平頼則作曲 『盤渉調「越天楽」によるピアノのための主題と変奏』より「変奏3」
(mp3、外部リンク著者ホームページへ)


雅楽「越天楽」をテーマとしたこの変奏曲も、ここまでくると随分現代的(?)に聴こえますね。なお作曲者の松平頼則は、12音技法と雅楽をミックスさせたこの独創的な作風が評価され、世界的にも名前を知られるようになりました。


須藤 英子(すどうえいこ)

東京芸術大学楽理科、大学院応用音楽科修了。在学中よりピアニストとして同年代作曲家の作品初演を行う一方で、美学や民族学、マネージメント等について広く学ぶ。04年、第9回JILA音楽コンクール現代音楽特別賞受賞、第6回現代音楽演奏コンクール「競楽VI」優勝、第14回朝日現代音楽賞受賞。08年、第8回オルレアン国際ピアノコンクール(フランス)にて、深見麻悠子氏への委嘱・初演作品が、日本人として初めてAndreChevillion-YvonneBonnaud作曲賞を受賞。同年、野村国際文化財団、AsianCulturalCouncilの助成を受け、ボストン・ニューヨークへ留学。09年、YouTubeSymphonyOrchestraカーネギーホール公演にゲスト出演。現在、現代音楽を中心に、幅広い活動を展開。和洋女子大学・洗足学園高校音楽科非常勤講師。
ホームページ http://eikosudoh.webcrow.jp/

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