みー子さんのピアノアレコレ

第04回 「ソルフェージュってなぁに?」

2009/03/26
ねーねー、ふさ子ぉ。今日さ、放課後アイス食べいかない?
ごめんねぇ、みー子ちゃん。あたし今日、ピアノのレッスンなんだ。行く前に少し練習しなきゃ!ソルフェぜんぜんやってなかったし。
ソルべ? え、だったら、アイスと似てるし、ソルベ食べ行くでもいいよ。
ち、ちがうよみー子ちゃん。ソルフェージュ! ピアノのレッスンで、これ歌うんだよ。
なにこれ・・・「ソルフェージュ」・・・初めてみた。え?ピアノのレッスンなのに、歌なの?へんなの。しかもこれ、歌詞ついてないじゃん。
歌っていうか、ドレミで歌うの。
ふ~ん・・・でも、この楽譜、ピアノのよりかんたんじゃん。こんなのやって、なんか意味あんの?
え・・・意味っていわれても・・・。わ、わかんないけど、先生やれっていうんだもん。
へぇ。へんなの。みー子は歌手になるわけじゃないから、ピアノだけでいいもんね。そんなの歌ってるくらいなら、アイスでも食べてるほうがいいや!
あ、あたしだって・・・あんまり歌うの得意じゃないけど・・・でも、いいの!やらないと怒られるから!じゃあね、みー子ちゃん!あたしもう行くから!
ちょ、ちょっとぉ!・・・あれ。なんか怒っちゃったかな・・・ま、いいや。ソルトだかソルベだか知らないけど、みー子には関係ないもんね。・・・でも、なんでピアノの先生が歌をやれって言うんだろう・・・?
・・・
ただいまぁ!キーマン先生!
やぁ、みー子さん!今日はまっすぐピアノのお部屋に向かうなんて、めずらしいね。そんなに練習がしたかったんだ!
いや・・・あのねキーマン先生。ちょっと、気になることがあって。
どうしたの?
ふさ子のやつ、アイス食べにもいかないで、ソル・・・、フローマジュみたいなの、練習するんだって。ピアノの先生に歌わされてるらしいよ。なんでだろう。
あ、ソルフェージュのことだね!みー子さんも、そろそろやろうか。
えっ!どうして?だいたい、ソルフェージュって意味わかんないし。
ソルフェージュっていうのはね、 楽譜に書いてあることを、音の名前、つまりド、レ、ミできちんと歌う練習のことだよ。
歌い方練習??まって、キーマン先生。みー子はそれいらない。だって、みー子は歌手になる気はないもん!
そっか。でもね、この歌い方練習っていうのは、ピアノがもっと上手になるための基礎トレーニングのことなんだ。
基礎トレーニング??
そう。水泳選手はいつでもプールで泳いでるわけじゃないよね。腕とか足を強くするために、プールの外で腕立てとかランニングもしてる。それが基礎トレさ。
う~ん。それはわかるけど。でも、ふさ子の楽譜を見たら、ピアノのよりもかんたんそうだし、ゆびを動かすわけじゃないし・・・あれがどうしてピアノのトレーニングになるの?歌とピアノは全然ちがうよ!
そのとおりだね。歌は自分の体を使うんだから。声だと、ピアノみたいにすご~く高い音や低い音は出せない。ものすごーく速く、音をどんどん変えて歌うのも大変。
うん!ピアノだとすっごく速くタタターッて音を変えたりできるけど、声でやるのはむずかしいよ。
それに、息を使ってるから、途中で息つぎもしなくちゃいけないよね。
うん!ますますピアノとの違いが出てきちゃったよ!
そうだね。実は、違いがわかればわかるほどいいんだよ。
ええっ?
つまりね、ピアノは、鍵盤を押せば、出したい音がパッと出せる。でも声だと、本当は
う~ん・・・
よく曲の途中で、低~い音から高~い音にジャンプする時があるよね?ピアノだったら簡単かもしれない。でも歌ってみると大変。ちゃんと頭の中で、次の音を準備しないと、着地失敗ってことになる。
オンチになっちゃう!
そう。音から音へと飛ぶときには、実はそういうエネルギーが、かかっているんだね。
音のエネルギー?
そう。走り幅飛びだって、飛ぶ前には、助走がいるよね。音楽だって同じ。音が飛ぶときには、ちゃんと心の中でエネルギーをためて、次の音にきれいに着地しなくちゃ。
そっか。そうしないと、うまく歌えないんだね。
ピアノでも同じことをするんだよ。声で歌ってるときみたいに、エネルギーをためたり、着地に気をつけたりしなくちゃ。
ええ!そうなんだ!!
そうやって出てくる音や音楽は、エネルギーがあって、まるで生きてるみたいに響くんだよ。すてきな音楽になること間違いなし!
そっか!歌みたいにピアノを弾くってことなんだね!エネルギーのある音楽なんて、ちょっとかっこいいな!
体を使ってわかることはたくさんあるよ。ソルフェージュで声に出して歌うと、楽譜を見ていろんなことが自分で考えられるようになれるんだ。
いろいろが、自分で?
そう。楽譜はまるで地図みたいなもの。もしも山登りをするまえに、地図で山の高さがわかっていたら、きちんとした靴をはいて、食料の準備もするよね。
うん。
たくさん歌ってみると、楽譜が地図みたいに読めて、どうやらここの音の山は大変そうだ、ここは息つぎをしないと、きっとあとがもたないぞとか、わかるようになるんだ。
すっごーい!!歌う基礎トレで、いろいろわかるようになっちゃうんだ!みー子もはやくソルフェージュ、やってみたいかも!
おっと、気分がノッてきたようだね!その調子ですすめてみよう!きっとピアノの演奏も素敵になってくるはずだよ♪
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取材・絵と文:飯田有抄

プロフィール:音楽ライター、翻訳家。1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒、同大学院音楽研究科修士課程修了。マッコーリー大学院翻訳通訳修了。ピティナ「みんなのブルグミュラー」連載中。

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