グランミューズ部門

グランミューズ部門入賞者記念コンサート出演者インタビュー
濱川礼さん
B1カテゴリー第2位
濱川 礼さん
東京都出身。電気メーカー勤務を経て現在大学教員。3歳からピアノを始め、大学時代はピアノサークルに所属。大学卒業後はしばらくクラシックピアノから遠ざかりジャズ系を演奏していたが、転職後、再開。近年は訳あって、左手の...特に知られざる曲を演奏し広めていくことをアマチュアながら自らの使命としている。ごく最近は作曲にも興味。2013年ピティナ・ピアノコンペティショングランミューズ部門全国決勝大会B2カテゴリー入選。2015年ピティナ・ピアノコンペティショングランミューズ部門全国決勝大会B2カテゴリー第2位。
当日の曲目
  • 濱川 礼:(左手のための)パトス島の夜

自作曲での挑戦 "自分らしさ"を追求

昨年度のB2カテゴリーに続き、2年連続での入賞となりました。感想を聞かせてください。

昨年度までB2カテゴリーで長年挑戦を続けてきましたが、初入賞を果たすと、次の目標を見失ってしまい、しばらくコンペに対するモチベーションを保てない時期がありました。そのため、今回の入賞はこれまで出場してきた中で一番意外な結果です。全国大会に進めることはほとんど期待していませんでしたし、ましてや入賞などまったく考えてもいませんでした。幸運の連続でした。

それは意外な答えでした。それでも今回出場を決めたきっかけはなんだったのでしょうか?

コンペで演奏した「横濱ノスタルジア」は、そもそも昨年の入賞者記念コンサートで披露するために作曲したのですが、披露するのが1回では勿体ないので折角なら同じ曲でコンペも受けてみようかなと。審査員の方々が、初めて耳にする作品に対してどんなコメントを下さるのかという点にも大いに興味がありました。自作でコンペは無謀ではという声もありましたが、結果はともかくチャレンジしたくなりました。

濱川さんならではの動機ですね。実際にはどんなコメントをいただいたのですか?

コンペでは演奏者の氏名が事前に審査員に明示されていません。そのためにステージの上に立っている演奏者が実は作曲者本人である、ということをほとんどの審査員は知らずに演奏を聴くことになります。勿論、評価して下さる審査員もいらっしゃいましたが、中には「もっと楽譜の指示通りに演奏するように」というコメントもありました。最初はコメントを見たときに思わず苦笑いしてしまいましたが、これは全くの至言です。作曲した時とは気持ちが変わっていることもありましたが、日頃の譜読みが如何に甘いかを改めて痛感しました。また元々プロレベルの方に演奏してもらいたいという気持ちで作曲したので、自分自身でも技術的に演奏が難しい箇所もあったからでもあります。「ラフマニノフも自作を楽譜通りには弾いていないから」と言った、偉大なるコンポーザー・ピアニストを引き合いに畏れ多くも少し安心するようなコメントも頂きました。どれもが貴重であり大変感謝しております。

2年連続の入賞ということについては、ご自身の中で何か今までと変わったことはあったのでしょうか?

2013年に初めて全国決勝大会に進んだことが、一つの転機かも知れません。それまでは審査員の評価をどうしても気にして上手に聴こえるように、自分を越えて弾こうとしてしまいがちでした。幸運にも決勝大会の大舞台を一度経験してからは、むしろ出来る範囲で如何に自分らしい演奏をするかということに関心が向き、練習方法も少しずつ変わってきました。例えば弱音も弾いている時は十分弱く弾いているつもりでも録音を聴いてみると全然弱く聴こえなかったりします。たとえ1小節でも気になるとその部分だけを何回も何十回も演奏しては録音の繰り返しで試行錯誤しながら確認しています。演奏している時と聴いている時に感じるギャップを埋めていくことで、自分の表現したいことに近づけていく、ということをやっています。まだまだ満足はできませんが、コンペとしては結果的にはそれが幸いしたのかもしれません。

今回のコンサートでも自作曲でのご出演となりますが、どんな曲なのでしょうか?

「パトス(Pathos)」とは例えば情熱とか熱情のような様々な感情の情念的な精神のことです。パトス島というのはあくまでも私が考えた架空の島で、人間の中にはいろんな感情が渦巻いている、ということを島の中での一夜として表現しています。悲しいと思っていても本当は嬉しいのかもしれないし、驚いているといっても本当は怒っているのかもしれない。そんな風に人間の心の中で様々な感情が複雑に入り混じる様相を、曲を通じて伝えられたらと考えています。

最後に、ピアノに関して今後の抱負を教えてください。

これまでは左手のための作品を作曲してきましたが、両手や連弾の作品についても現在構想を練っています。私の大きな夢は例えばコンペのグランミューズ部門で私の作品を演奏する人がたくさん出てくれることです。自分で演奏するためというよりは人に演奏してもらえるような曲を目指しています。ただしそのために妥協はせず、例え技術的に難易度の高い曲になってしまっても、自分らしい曲を書ければなと。それもまた、一つのチャレンジですね。

決勝での演奏

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