4.リポート

当日のレポート
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 近年、脳科学の情報が身近になるにつれ、脳科学の見地から、"ピアノ学習がいかに能の開発に有効であるか"という話題に注目が集まっている。音楽を感じ取る脳を育むことはもとより、ピアノ教育を通じて、生きていくために必要な様々な能力を育む素地が作られていくことは、すでに幼児への十分な音楽教育を施してきたピアノ指導者たちが、実証してきたことでもある。
 音楽学習の臨界期といわれる幼児期の音楽学習、とりわけ、1~3歳ごろの幼児に対し、ピアノ指導者としてどのようなアプローチをしていくことが望ましいのか、今改めて考え直していく機会として開催されたのが、「音楽を感じる心を育てる~導入期の能力開発&親対応の極意」である。名古屋(2月7日/日響楽器池下店)、大阪(2月10日/ドーンセンター)にて開催されたこの講座は、日本財団の助成事業「ピアノ教育のための親学特別講座」の一環で開催されたもので、会場に集まったのべ150名を超えるピアノ指導者たちに、講師の中田元子先生、石黒加須美先生の実体験に基づく説得力に満ちたパワフルな講演が展開された。

 1歳半からの幼児を受入れ、様々なメソードにオルフやリトミックなどを独自に統合したレッスンを長年積まれてきた石黒加須美先生は、入門時に2時間ほど保護者の方と面談をするという。レッスン見学ではなく、十分な対話の上に入門していただくことによって、保護者との良好な二人三脚が始まる。音楽を通じてどんな子どもを育てていきたいのかという熱い指導理念とともに、脳の重さやシナプスの量、前頭前野の役割といった、幼児期の能力開発の科学的な側面についても伝えていく。そして、母親の鼓動を聴きながら生まれてきた子どもにとって、音楽(拍感)がすでに掛け替えのない心地のよいものであり、その後の子どもの音楽的成長の可能性がいかに無限大であるかということを理解してもらうのだという。また、その時期の子どもたちの学習動機に絶大な影響を与える、親の「笑顔」や「ポジティブな言葉掛け」などを、日常のレッスンの中で巻き込んでいく様子も、リアリティをもって語られた。2歳児の母親は、2歳児の子どもと同じ精神状態になれるため、親にとっても音楽の基礎を学びなおすチャンスでもあり、その後親として音楽をどう捉えていくかのカギになるそうだ。石黒先生の指導の原点は、ご自身の子育てにある。幼児期は、「まだ自分1人ではできないだけで、実は何でも吸収できる時期である」ということの重みが、石黒先生ご自身の子育て体験の数々のエピソードを通して、ひしひしと伝わってきた。

 中田元子先生は、多数の演奏家を輩出しているが、その指導のベースになっているのが、25年間の相愛音楽教室での基礎指導教育の研究と実践の蓄積である。ピアノに入る前の、幼児へのリトミックや音感教育、読譜訓練の指導ポイントを、惜しげもなく披露され、一見、遊びのように映る導入レッスンにも、奥の深い指導プログラムが組み込まれていること、これらの1つ1つがピアノ演奏に結びつけていくプロセスを、幼児の心身の発達過程とともにわかりやすく解説された。その上で、中田先生が主宰する「大阪城ステップ」で、全国で初めて実施された「ちびっこフリーステージ」についても、紹介された。
 「ちびっこフリーステージ」は、幼児期のピアノレッスン、ピアノに入る前のレッスンを、ピティナ・ピアノステップという公開のステージに広げ、幼児教育の普及と教育のレベルアップを目指して提案されたものである。導入1にも至らない小さな子どもたちを、公のステージに送り出すことに留意すべき点も認識しつつ、「ステージに立つ=人前で自分を表現する」ことのできる力を育てるなど、たくさんの教育上の効果を発揮していきましょう、と呼びかけた。

 講座の前後に上映した、中田先生、石黒先生の発表会やステップでの幼児たちのステージの様子に、カルチャーショックを受けたという先生方の声も多く挙がった。ピアノ教育が担っていることの幅広さや奥深さと、そして、現状の数々の課題は導入期の指導方法次第でまだまだ解決していけそうだという展望を、会場全体で共有した2日間となった。


受講者のレポートより
講師になり早4年。さまざまな体験をするうちに、生徒をどのような方向へ進ませたらいいのか悩み、この講座を受講いたしました。コンクールブームで沸く最近のピアノ教育の中で、幼児でも難曲を弾きこなし、ピアニストの様な仕草、すり込みではないのか!?と自問自答し、本当に音楽を好きな子を育てるためにはあせることはない、土壌作りが大切だと背中を押された気持ちです。しかしながら、子育て経験のない私がこのような指導をしていくには、確固たる信念を持ち、親御さんに説明できる様にする事が大切だなと実感しました。中田先生、石黒先生の経験から出てくる言葉一つ一つに大変励まされました。
私は現在、年中以上の生徒さんしか教えてないのですが、少し勉強したリトミック使い、もっと低年齢の生徒さんにも、勇気をもって教えてみようかなという気持ちがわいてきました。中田先生、石黒先生お2人とも導入の幼いお子様へのご指導ですが、幼い頃からの脳の開発、ピアノを通しての人と心を育てるという素晴らしい仕事に誇りを持ち、さらに勉強を続けていきたいです。DVDを見せて頂いたことも とても参考になり、心に残りました。
ピアノによって心を育てる、何事にも向かっていける自立した人間を育てる、その手助けとなれる幸せな職業に自分が就いているという喜びを革新することができました。できない子どもこそ自らを伸ばしてくれる!!本当にそうですね。創意工夫し、私こそ、もっとピアノ講師としてまだまだ成長していかなくてはと強く思いました。
人間の年令別脳の発達グラフより、小さな子供の脳がこんなに早いスピードで成長していること、そこから幼児教育の大切さ、準じて母親と教師の役割がどれだけ大きいかがよく分かりました。その子その子に合わせた歩調で、「何ができたか」という点数の出る結果だけでなく、その子自身の持つ能力を見極め教育方針の1つの道しるべを取ることの大切さ、今後自分がどのような教師になっていったらいいのか、とても考えさせられました。
私は"感覚"からの指導を主にしていましたが、それをどこにつなげるかをきちんとわからずにしていたため、そのあと伸び悩む生徒が多い気がしていました。でもだからといって理論ばかりでは子供はついてこない・・・今日のお話をきいて、ヒントをいただけて大変勉強になりました。小学生高学年になると塾通いする生徒が増えてきています。忙しくてピアノをやめてしまう、あきらめてしまう生徒を1人でも少なくしていきたいので、導入期から音楽を楽しみながら、でもきちんとした"力"をつけてあげられる指導者になれるようがんばりたいです。
私も、0才児からの音感教育を勉強しています。小さい時期にいい音楽、いいものを与える(まっ白な幼児期)人間はずっと成長し続けられる!お母さんの愛のある言葉がけ、ぬくもりが一番大切。など先生の一つ一つのお言葉に感動しました。小さい時期の指導の重要さをひしひしと感じました。私のピアノ教室に来てくれるみなさんに、音楽大好き!音楽って楽しい!と思ってもらえるようお子様の伸びる力を信じて、頑張って指導していこうと思いました。
長い間の経験に基づいたお話で、楽しく、大変学ぶことが出来ました。 自分自身、豊かで音楽大好きな子どもになるようにとの思いを強くしました。視覚的にわかりビデオも大変参考になりました。
発表会のビデオは、実際の映像がみれ、大変勉強になりました。あんなに小さな子どもでも、しっかり弾かれていて、驚きました。あんなふううに、指導できるようになりたいです。
子供が"できない"と思ってしまったり、沈んでしまう。また教師もこの子はできないと思ってしまうような場面、私も近い状況に遭遇した経験があり、子供は黙っていても吸収しているストックしているという言葉がとても励みになりました。子供の為に今、何を吸収させてあげられるか考えるきっかけとなりました。ゲーム感覚で教えてあげたい指導法も盛りだくさんで勉強になりました。感覚で子供の感性を育ててあげたいです。音楽で人は変わるという言葉も心に残りました。
私自身ピアノの練習が好きだと思ったことはなく、レッスンに通って宿題を合格してくれば母が喜んでくれることで今日までやってこれたと思います。今日の話を聞いてもやはりポイントは母親だということが改めてよくわかり、今後私もお母様方にまず自分のレッスン形式を話、しっかり教室方針を理解してもらった上で、お母様と一緒に子供達を育てていかなくてはいけないと思いました。
譜読みや早く指を動くことに、とかくそちらの方に熱心になってしまいがちですが、3才児には何をさせてあげることが大事なのか?(もう一度原点にふりかえって考える良い反省材料となりました。)
今、中3の息子がおりますが音楽は大好きですが人前で演奏するのは苦手という理由でピアノをやめてしまいました。先生方と小さいときに出会っていたらきっとピアノをやめていなかったと残念に思いながら今預かっている生徒には音楽を好きになってピアノをいつまでも続けていってくれる子になってほしいと思いました。
何も書かれていないキャンバスに色をつける重大さをきちんと受け止めたいと思います。
ピアノを教える事は、つい演奏することを先走って教えようとしていた事に反省しています。 拍感、リズムがとてない子が多く、悩んでいましたが、ついつい後回しというかおまけのようにソルフェージュに取り組んでいた自分の責任だと痛感しています。今、リトミックを勉強中です。幼児のレッスンはピアノを弾くことにこだわらず、将来ピアノを楽しむための準備として楽しいレッスンができるよう努力したいです。
最近は幼児教室とか多く目にしますが、本当にどうなんだろうという教室も多いと思います。昔は習い事は6才の6月からなどと言われていましたが1、2才からの音楽体験は楽しそうだと思います。今はおじいさんおばあさんといっしょの家は少なく、孤独感を感じているお母さんも多いと思うのでMISTYの会などお母さんもいっしょに参加できる教室は大変(お母さんにとっても)良いことだと改めて思います。ついついあせってつめこみそうになるので、ゆったりと一回一回のレッスンを大切に行っていこうと思います。今日のセミナーを受けることができて、もう一度初心に帰って勉強をしていこうと思いました。ありがとうございました。
音楽を楽しむ子どもたちがステップに出たいけれどまだ導入1の課題曲は...と思い続けていましたが昨年ちびっこフリーステージを中田先生から始めてくださり、「これだ!!」と天からの助けのようでした。おかげさまで大勢の子どもたちがステージ上でとんだりはねたり楽しい経験をすることができて、この3月導入1で23ステップデビューします。今日のお話を聴いて親御さんに自信を持って話を勧めることができそうです。
「何を教えてはいけないのか?」という言葉には大変衝撃を受けました。今の子供達は小学校高学年位になるともう塾通い等で忙しくなるため(幼児の頃から毎日習い事に通っておられる方も・・・)、早く譜読みができるように、早く曲が弾けるように・・・と私自身もつい焦ってしまいがちですが、やはり個人差も大きくうまくいかず悩む日々でした。自分のポリシーをしっかり持ってそれをお母さん方に理解して頂くことが何より大切なのだと痛感しました。
1才と0才の息子を育てながらピアノ教室を自宅でしています。今日のお話は、自分の子どもにもピアノの生徒に接するときにも大変参考になりました。中でもお母さんが音楽を楽しむ姿を見せることが大事だというお話が印象に残りました。このことを生徒のお母様にもぜひお伝えして、指導者である私が親子でステージに立つ機会を作ったりしていきたいと思いました。もちろん、私自身も息子たちとそのような機会をもちたいと思います。
導入期の指導に悩み、ダルクローズリトミックの勉強に毎日通っています。先生がおっしゃったように遊びをどのように将来の目的を考えて発展させていくかが大切だと感じました。細かい楽譜のことを教えるまえにビート感、フレーズ感を体で感じて体験させることが必要ですね。勉強した知識や経験が子供達のレッスンに活かせるよう頑張りたいと思います。
ただ譜読みができたとか、ただ指が動いたという目に見えることばかりまわりの大人が頑張っていても子ども自身が楽しんで理解してやらないと意味がないし、子どもの能力も、のばすことができないのだと気づき、考え方が根本から変わったような気がします。お母さんが楽しいと思うことがとても大切でお母さんが楽しいのだとわかると子どもも楽しいという気持ちになることができこども財産になるので、親の考え方はとても大切であるとわかりました。親に、自分の音楽を通して人間の教育についてきちんと説明し、分かっていただけるよう努力し、ピアノを楽しい!学びたい!と思って子どもにピアノを弾いてもらえるよう、指導していけたら、と思います。
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