4.レポート

4.レポート

Vol.62 武久源造の鍵盤づくし 当日のレポートピティナ・ピアノフェスティバルVol.62 武久源造の鍵盤づくし 当日のレポート
開場前、多くのお客様が
開場前、多くのお客様が

 8月最後の日曜日である31日、その1週間前にピティナ・ピアノコンペティションが開催されたばかりの東京・晴海 第一生命ホールにて、ピティナ・ピアノフェスティバルvol.62「武久源造鍵盤づくし -君は音楽史を生かせるか-」が開催された。連日のにわか雨が懸念されたが幸い天候に大きな崩れもなく、500名を超えるお客様をお迎えする事ができた。

いらっしゃいませ、会員の先生方多数来場
いらっしゃいませ、会員の先生方多数来場
かなりお客様も集まりました
かなりお客様も集まりました
舞台上に並ぶ楽器郡
舞台上に並ぶ楽器郡
直前まで調整に余念のないスタッフ
直前まで調整に余念の無いスタッフ
休憩時間も調整に必死
休憩時間も調整に必死
楽器の絵は久保田さん作
楽器の絵は久保田さん作
華麗な装飾がほどこされたチェンバロ
華麗な装飾が施されたチェンバロ
アクションモデルを使って
アクションモデルを使って
チェンバロの蓋を開け閉めする山川先生
チェンバロの蓋を
開け閉めする山川先生
最後に久保田さんも
最後に久保田さんも

 来場者を真っ先に出迎えたのは舞台上所狭し、と並ぶ10台の楽器、会場のスタインウェイ・ピアノを除けば、全て当日にこの製作者である久保田チェンバロ工房のスタッフが搬入・調律・調整した楽器である。この他、休憩時には間近でゆっくり鑑賞して頂けるように、とロビーにも2台が展示されていた。
 最初の挨拶に出た播本枝未子フェスティバル委員長(当協会理事)からも、これだけの楽器を一堂に集めた企画は今後そう簡単に実現しない、との補足説明が なされた。紹介を受けて登場した武久先生、アシスタントの山川節子先生とともに、数ある楽器の間を縦横無尽に移動し、歴史的なエピソードをユーモアたっぷ りに紹介しながら、次々と流麗な演奏を披露してくれた。

演奏の様子も間近で見るように
演奏の様子も間近で見るように
播本枝未子委員長挨拶
播本枝未子委員長挨拶

 ひとくちにチェンバロといってもその国、地域、時代により様々な用途があり、それにより楽器の特質が変わり、ひいては音の特徴まで変化すること、などそ れらの内容を具体的な楽曲を実際に該当の楽器で演奏しながら紹介していく。来場者は日頃ピアノ演奏を仕事や専門の学業にしている方々が大半であったので、 歴史的な事例のみを紹介するのではなく、モダン・ピアノでの演奏も対比させててお話をして頂けたのは非常に有意義だった、と思われる。
 またチェンバロの蓋を開け閉めする事によって音量の調節をする、という現代ではちょっと見られない奏法や、アクションモデル(チェンバロとクリスト フォーリのピアノ)を使っての打鍵の違い、同じバッハのインヴェンションを全ての楽器で弾き比べる、などという楽しいプレゼンに興味をそそられた観客も多 かったようだ。特に後半に入ってからはバッハのインヴェンション、またモーツァルトのピアノソナタ(シュタインのピアノ、ヴァルターのピアノ)と現代のピ アノ指導者・学習者におなじみの曲をモダン・ピアノ以外の楽器の演奏で聴く、というまたとない体験により、多くの事を感じ取って頂けたと思う。

 最後は先生のシャコンヌの演奏を堪能した後、久保田チェンバロ代表の久保田彰さんをはじめ、若手のスタッフもすべて舞台上にお呼びしてその労をねぎらい、3時間の講座は幕を閉じた。


当日の使用楽器

【当日の使用楽器】
・イタリアン ヴァージナル:16世紀ヴェネツィアのモデル
・イタリアン チェンバロ:一段鍵盤17世紀のモデル
・フレミッシュ(フランドル地方の様式)二段鍵盤チェンバロ:18世紀のモデル
・ジルバーマン型クラヴィコード:18世紀モデル
・ジャーマン二段鍵盤チェンバロ:18世紀モデル
・クリストーフォリ考案の最初のピアノ:18世紀初頭フィレンツェ
・ジルバーマンによるドイツ初のピアノ:18世紀中頃フライベルク

スタッフも勢ぞろい、お疲れ様でした
スタッフも勢ぞろい、お疲れ様でした

・ジョン・ツンペによるスクエアピアノ:18世紀末ロンドン
・ヴァルターアクションのピアノ:18世紀末ウィーン
・近代のピアノ スタインウェイ社:20世紀アメリカ(参考)

<ロビー展示>
・フレミッシュヴァージナル(フランドル地方の様式による小型チェンバロ)
・ルッカースによる二段鍵盤チェンバロ(復元楽器)



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