【実施レポ】ピアノ教本、くらべてみよう ‐歴史と特徴‐(山本美芽先生)

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2017/01/31
ピアノ教本、くらべてみよう ‐歴史と特徴‐
文・黒川直子(ピアノ講師)

日程:平成29年1月18日(水)
会場:大阪カワイ梅田 "ジュエ"

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2017年1月18日(水)大阪梅田にあるカワイ梅田コンサートホール"ジュエ"にて 音楽ライター・ピアノ教本研究家の山本美芽先生による「ピアノ教本、くらべてみよう~歴史と特徴」という題のセミナーが開催されました。

当日開始40分前に会場入りしたのですが、ステージ上の机には、キチンと分類分けされたあまたの教則本・曲集、そしてホワイトボードには項目別のキーワードが書かれた色画用紙がこれまた縦3枚横3枚ビシッと貼られとても見やすく、すでに準備万端整えられていました。配布されたレジメは、4枚両面印刷され理路整然見やすく目を通すだけでもセミナーの流れ・ポイントがうかがえ、始まる前からワクワクしてしまいました。

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セミナーは、山本先生の自己紹介から始まり本題へ。一番最初にお話しされたポイントは、
(1)ピアノ教本の生まれた順
(2)各教本の特徴
(3)生徒本人と家庭環境、の3つについてセミナーの大きな流れを説明されました。

まずは(1)ピアノ教本の歴史について欧・米・日と年表化されて比較検証することからです。なんとなく頭でわかっていたつもりでも年表化されるとよりはっきりと傾向が見て取れます。

(2)は、各教本の特徴について。相対読譜・全調・対位法、ミドルCや3の指からの学習始め、歌がついていたり連弾になっていたり、と種々様々ですが、実際の教本から抜粋して演奏してくださり、具体的に体験することができました。そしてここにも(1)と関連して歴史の流れを感じることができました。

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(3)以上のことを踏まえて一番大切なことは、ピアノを学ぶ生徒たちに何をどのように与えていくのか、です。どの教本も特徴があり、わかりやすく順序よく構成されていますが、 山本先生のおっしゃったのは、『本人の能力と家庭での練習環境』に合うものを選択する、ということでした。本人の能力(教本との相性)は日々のレッスンのなかで話し合い・感じ取ることができますが、家庭での練習環境は実際に目にすることは先ずありません。生徒本人やご家族のタイムテーブルに左右される、またそれに合った練習プログラムの提案教本の使用が大切であると改めて気付かされました。

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準備・紹介された教本・曲集は30冊以上あったと思います。そのすべてに目を通され弾いてこられたからこその説得力があり、先生ご自身もっとお話しされたい内容があるのではないか、と感じられる充実したセミナーでした。
今回の続きをぜひ大阪でしていただきたいです。そして、山本先生が最後におっしゃった『絵ではなく音の美しさ(かわいさ)で教本をえらんでほしい』ということ、一つの基準にさせていただきます。深く感銘を受けた私は、早速教本を数冊買い込み帰途についたことは言うに及ばず、です。


★次回のセミナーのご案内★
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山本美芽

やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。  2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。  2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
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黒川直子(ピアノ講師)

同志社女子大学学芸学部音楽学科音楽学専攻卒。小学生のころより合唱団に複数所属、音高では声楽専攻。音楽中心の生活から大学卒業後は一転、製造メーカーに勤務。経理・営業事務・役員秘書等を務める。社会に出ることで音楽業界を外から眺める。結婚・出産を機にピアノ教室を始める。ピアノ指導に音楽史や他の楽器経験(古楽器・弦楽器)を活かし、多角的レッスンを目指す。京都府向日市在住。

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