ロン・ティボー国際コンクール レポート

1次予選3日目、圧倒的に素晴らしい日本男性2名

2007/10/23

1次予選3日目、22日(火)の演奏では、朝から登場した2人の日本人男性が、聴衆を魅了してくれました。

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金子三勇士(みゆじ)さんは、ハンガリーに10年住んだあと、日本に戻って東京音楽大学付属高校に在学中(2年目)の18歳。
ショパンでは、少し細めのキリッと引き締まった音を、ピアノから楽に引き出していきます。中低音域が良く磨かれ、丁寧に細部まで検討を加えた後がはっきりと見える演奏。ピアノの音という現象に真っ向から向かい合っていることに好感が持てます。
リストのハンガリー狂詩曲でも、コントロールを隅々まで聴かせ、少し落ち着きすぎというくらいに聴衆をじらした後で、コーダを鮮やかに弾き、たくさんのブラボーを浴びました。
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演奏後に話すと、非常に礼儀正しい好青年。
「自分としてはもう一息できたかな、と思いますが、まあボチボチでしょうか。気持ちよく弾くことはできました。ピアノは、新しい楽器のようで、少し重いけれどとても良い音がします。客席で聞いていると、高音域が少し聞こえ辛いように思いましたが、ステージではどの音域もバランスよく、非常に良く自分の音が聴こえて弾きやすい会場だと思います。」
将来が楽しみな大器です。

続いて登場は、2002年特級グランプリの、田村響さん。朝お会いすると、とても緊張した表情で心配されましたが、演奏が始まると徐々に調子を上げていきました。
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ショパンは、まろやかで優しく、細部にまで光が満ち溢れるような演奏。時に脆く、はかないけれど、詩的で繊細に紡がれていく音楽は、特にハーモニーの感覚に素晴らしいものを感じさせます。リスト「BACHの主題による幻想曲とフーガ」は、長く愛奏している得意レパートリー。ディナーミクの幅、弱音の質をもっと広げ、全体に楽に弾いてもよいのではと思わせるところもありましたが、ピアノをよく鳴らし、微細なコントラストまでゆるがせにせずに鮮やかにまとめ、これもブラボーを浴びました。
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「とても緊張しました-。終わってほっとしています。今日は左手がつりそうになるほど、手が疲れてしまって、やはりピアノが重かったということなんでしょうか。審査員の前に仕切りが置いてあるんですね。これだったら、ジャージで弾いてもよかったかな?(笑)」


ピティナ編集部
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