ルイのピアノ生活

第77回 慰め/シューマン:3つのロマンス作品28の2番

2008/12/18
♪ 演奏
シューマン:3つのロマンス作品28の2番  ♪動画:(4,33s)
 

明日から新しいCDの録音が始まります(記:2008年/12/12)。

今回のCDのタイトルは「慰め」。なぜこのタイトル選んだかと言うと、音楽が人の心を慰めてくれると信じているからです。3ヶ月前にヌキちゃん(猫)が亡くなった時にも音楽は僕の心を慰めてくれました。音楽にはその不思議な力があります。

音楽を聴くと時々鏡を見るように感じませんか?
作曲家が音楽で語っている事=丁度今、自分も経験している・心の中に感じている事に聴こえませんか。
作曲家達の多くは特別すごく難しい事について音楽を書いたわけではありません。逆に私達誰もが感じられる事を音楽で表現してくれました。

ショックな事があると、自分が今感じている事をなかなかうまく理解できない時があると思います。心の中では色々な事が変化して動いていて、とても複雑な感じ・・・。「何か」を感じているが・・・よく分からない・・・言葉でうまく説明できない。作曲家は我々が感じているこんな複雑な気持ちを音で表現して五線に残してくれました。

画家は絵で感動を描きます。
どこかの遠い所の大きな滝や、なかなか登れない山からのすごい眺めもよいですが、「普通」の物の中にある美しさを見せられる画家はすごいと思います。誰も見向きもしないような小さな枯れかかったお花。そしてそれを見て切なさ・・寂しさ・・恐れなど同時に複雑な事を感じさせてくれる。
すごい美人をそのまま完璧にきれいに描いてもあまり面白味がないかもしれません。でも「普通の人」を描いた作品は身近なだけでなく、「美」は完璧な身体や顔よりも、普段の表情やしぐさの中にあると気づかせてくれます。

作曲家も普通の事を音楽で表しました。美しい風景、日常の幸せ、嬉しさ、怒り、悲しさ、寂しさ。それを聴くとホッとすると思います。誰か自分の悩みを分かっている人が側に居てくれると感じます。

ヌキちゃんが亡くなって心の中はまるでジェットコースターみたいでした。
どうして居なくなったの、という怒りや
うそ、うそと死を受け入れられない気持ちや
どうにかもう一度だけ会いたいという叶わぬ願いや
幸せな時間への感謝や
やっぱりもう二度と戻ってこないという絶望・・・。
でも、音楽を聴いていると心が自然と穏やかになって行きました。
音楽が心を慰めてくれました。

明日からCD録音です。
傷ついた心を慰めてくれる優しい作品を集めました。
たくさんの人の心に響くCDになるとうれしいです。

頑張って録ってきます!

それでは、また!

ルイ・レーリンク


ルイ・レーリンク

オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。

NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。

ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp

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