ルイのピアノ生活

第18回 宿題ノート/曲:フランクの交響的変奏曲(ピアノと管弦楽のための)

2006/03/07
♪ 演奏
フランクの交響的変奏曲(ピアノと管弦楽のための)  ♪ 前半(9分56秒)  後半(6分34秒)
 

私は今年、音大や音楽高校を受験する生徒を4人かかえていました。でも先週まで次々と喜びの電話があり、4人とも試験を無事にパスして、希望の学校に入学することになりました。私も、ホッとしています。4人は性格や演奏はそれぞれ違いますが、皆が素晴らしいピアノを弾きます。指導者として、私はとても誇りに思っています。

私はこの4月、大学で教える事になりました。去年から、洗足学園高等学校音楽科でピアノ指導と授業を受け持つようになりましたが、今年からは洗足学園音楽大学でもピアノを教えます。キャンパスには幼稚園から大学まであり、天気が良い日に、ベンチに座っていると、中には、先生!と声をかけてくれる生徒、座って話しを始める生徒もいます。いつも色々な夢を持っている学生達を見ますと、皆が幸せな人生を送ってほしい気持ちでいっぱいになります。私にとって、とても大切なことです。皆がこれからもずーっと音楽を楽しむ気持ちを忘れませんように、音楽が仕事になっても、ならなくても、どんな形でも、いつも音楽と関わっていて欲しいな・・・皆の笑顔を見て、こんな事を考えています。

若い人たちを見ますと、自分の子供の頃を思い出します。ピアノを教えている時にも、生徒達と同じ年の頃、私は何をしていたか考えます。きっとどんなピアノ先生でも同じ事を考えた事があると思いますが、高校1年生の子にピアノ教えますと、自分は1年生の時に何を弾いていたか、そして自分の先生に何と言われたかを思い出そうとします。

私はものすごくもったない事をしました。音大生になった頃です。子供の頃から使っていた楽譜や先生が書いていた宿題ノートを、一切捨てしまったのです!音大生になったので、もう必要ないと思ったのです。しかし私はピアノを教え始めた時に、実際どうピアノを教えればいいか結構悩みました。その時、自分が受けたレッスンは基準になると思います。まずは自分が教わった事を参考にして同じように、自分の生徒を教えれば良いのです。多分、多くの先生はそうしているのではないかな?私の子供の頃の先生が書いた宿題ノートや、楽譜に書いた指使いなどを見てみたいです。先生の教え方を知りたいです!どんなペースで、どんな宿題を出していたか。どんな練習をさせたか・・・などを見たいです。

それだけではなく、自分がどんな生徒だったかも知りたいです。現在、指導する立場になり、ずいぶんえらそうに生徒達に色々言いますが、私は結構、不真面目な生徒だったような気がします。僕はいつもよく遊んでいたから、課題もなかなかやらなかったと思います。先生はきっと僕の宿題ノートに色々書いていたのではないでしょうか。怒りの文字で「来週までやらないと・・・・!」多分たくさん書いてありました。

私は生徒にあんまりえらそうな事を言わないよう、時々自分の子供の頃の録音を聴きます。自分の演奏を聴きますと、今の生徒たちがどんなに素晴らしい演奏をしているか感心します。生徒をもっと褒められるようになります。

今回の連載はもう18回目になりました!私はいつも最近撮ったビデオをここで公開していますが、この連載を半年以上を続けて書いていますので、読んで下さっている皆さんと少し仲良しになった気がします。仲良しですから、少し恥ずかしいですが秘密を公開します。高校時代の録音をここで初公開します!曲はフランクの交響的変奏曲(ピアノと管弦楽のための)の演奏はかなり未熟で、決して自慢できるものではありませんが、許してください!そしてオーケストラも皆生徒ですので・・・あんまり厳しく聴かないで下さい。

この曲は真冬に演奏しました。すごく寒い日でした。そして場所は教会でした。一般的には、古い教会には暖房がありません。ヨーロッパでは教会がコンサート会場となるケースが多いですが、冬はかなり厳しい状況での演奏になります。お客さんも寒い中で聴いてくれますので、演奏者もがんばって弾かなければ!でもお客さんはコートにマフラー、演奏者はそんな訳には行きません・・・。この教会もものすごく寒いでした!!オーケストラの皆は、手袋(指先が無い)をしていました。私は実は本番の前の夜、過度の緊張から?か夜中に親知らずが痛み始め、それで結構熱まで出て来てアスピリンをたくさん飲んで演奏しました。緊張と寒さと鍵盤の冷たさで、指はまるで「つらら」のようで弾くと白く息が見えました。

過酷な状況での演奏はいい経験なのですが、その時の本人は必死ですね。

それでは、また!

ルイ・レーリンク


洗足学園高等学校音楽科のホームページ
洗足学園音楽大学のホームページ


ルイ・レーリンク

オランダ出身。7歳からピアノを始め、15歳で音楽院入学。アムステルダム・スヴェーリンク音学院に於いてW・ブロンズ氏他に師事する。1996年音楽活動の為、日本に移住。「肩の凝らないクラシック」をモットーに各地で通常のコンサートから学校や施設のコンサート、香港等海外でも公演。九州交響楽団との共演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏と楽譜監修を行うほか、CD「夢」をリリース。個人/公開レッスンや音楽講座を行い、ピアノ・音楽指導にも意欲的である。洗足学園音楽大学非常勤講師、洗足学園高等学校音楽科講師として、「演奏法」の授業 、演奏家を目指す生徒のための「特別演奏法」の授業、ピアノレッスンを受け持つ。

NHK/BSテレビ「ハローニッポン」、「出会い地球人」
TBSテレビ「ネイバリー」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」他出演。

ピアノ演奏法のページ : http://www.senzoku.pianonet.jp も作成中
演奏者のホームページ http://www.pianonet.jp

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