会員・会友レポート

ハンブルグ音楽院春季セミナーを受講して/有賀美知代先生

2007/07/07

音楽とヨーロッパを堪能した旅
ハンブルグ音楽院春季セミナーを受講して

リポート◎有賀美知代先生(ピティナ指導者会員)


ハンブルグのシンボル、Rathaus(市庁舎)
ドイツ北部の都市ハンブルグで行われた、ハンブルグ音楽院春季セミナー。幅広い年齢層の学生や指導者が参加し、学長ハインツ・エヴァハルト・シュミッツ教授始め、ドイツ著名教授によるレッスンが行われた。また最終日には受講生・音楽院生とのジョイントコンサートも開催され、地元の聴衆へのお披露目の場となった。同セミナーに参加したピティナ会員の有賀美知代先生より、受講リポートが届いたので、ここにご紹介したい。

下は13歳から上は30代以上の指導者まで、幅広い年代集まる


アルスター湖。

 ドイツのハンブルクにある音楽院の春期セミナーに参加してきました。音楽とヨーロッパを堪能した今回の旅をレポートしたいと思います。

 私が今回参加したInternational college of Music,Hamburg(以下ICoM音楽院)は北ドイツの都市、ハンブルクの中心にあります。ブラームスやメンデルスゾーンが生まれたこの街にICoM音楽院は2003年10月に設立されました。

 設立してからまだ4年ほどのこの学校は外国人留学生専門の音楽院で、主にアジア諸国からの若い留学生を積極的に受け入れています。
学長のハインツ・エヴァハルト・シュミッツ教授は外国人留学生へ20年以上の指導経験を持ち、またDAAD(ドイツ学術交流会)と日本の文部科学省より奨学金を得て東京藝術大学楽理科で薩摩琵琶の研究をしたこともあり日本語が堪能な親日家です。春期セミナーの企画者のシュミッツ田辺敏子さんはシュミッツ教授の奥様でハンブルク音大の声楽科を卒業され、このセミナーの声楽関係の授業の通訳もされています。


ICoM音楽院の入っている建物。アルテ・ポストは120年前からハンブルグに建っている

レッスン室。レッスンはいずれも通訳付で行われた。

 2007年の春期音楽セミナーにはピアノ専攻や声楽専攻の、下は13歳の中学生から上は30代以上の指導者など幅広い年代層の参加者が集まり、それぞれのニーズに応じてハンブルク音大やリューベック音大、ワイマール音大の高名な教授陣たちのレッスンを受講しました。9日間の滞在の中で個人レッスンは3回受けられ、私はシュミッツ教授、フォック教授、グルッツマン教授の3人の先生方のレッスンを受けました。声楽コースの実技レッスンはクレムリング教授、リード解釈法はガーベン先生、フォネーティック(発音法)はヘンプリヒト先生が指導に当たられました。

 先生方は当然のこと、それぞれの音楽観を持っていられるので三人三様のレッスンはとても楽しい時間となりました。ですが、先生方が共通でお話してくださったことは、音楽とはテクニックに留まらず、ヨーロッパの音楽は言語と深い関わり関わりがあるということ。
レッスン中はメロディに歌詞をつけてフレージングや強調したい部分などを表現するなど、日本ではなかなか学べない方法で指導してくださいました。

2度目の参加、今回はピアノトリオに挑戦


ピアノトリオのレッスン風景。ヴァイオリンはICoM音楽院、チェロはハンブルク音大の学生さん。

ドイツ語のレッスンにて。

 実は今回が2度目の参加である私はピアノトリオに挑戦しました。歌曲伴奏やピアノ連弾、ピアノトリオはオプションで受けることができます。もちろん見学は自由です。ソロだけでなくアンサンブルの奥深さも勉強できました。

個人レッスンの他、先生方のコンサートや講演会、また2回でしたがドイツ語の講座も受けました。大学時代以来のドイツ語だったのでどのくらい理解できるのか不安でしたが日本で生活をされていたドレーベス先生(以前、長崎大学及び長崎外語大学で教鞭をとられていました)の授業は自己紹介の仕方、レストランでの注文の仕方などその時、私たちに必要なドイツ語をわかりやすく教えてくださいました。

また、レッスンばかりでなくハンブルクの市内観光や国立美術館、ブラームス記念館の見学など息抜きもしつつ、ヨーロッパの雰囲気を体で感じることもできました。

選抜メンバーと音楽院学生によるコンサートも


Lichtwarksaalというホールで行われたコンサート。

ハンブル最古の教会ミヒャエリス教会。立派な彫刻がお出迎え。

荘厳な教会内部。ここでマタイ受難曲を聴く。

 8日目には選抜メンバーとICoM音楽院の学生さんによるコンサートがLichtwarksaalというホールで行われました。このホールはブラームス記念館のそばにあり、この地域はブラームスが生きていた当時の外観が再現されています。
 このコンサートには一般の方も聴きに訪れ、ピアノソロ、ピアノ連弾、ピアノトリオ、声楽のそれぞれ選ばれた参加者は小さいながらも歴史を感じるホールで演奏するチャンスにも恵まれました。

 最終日にはハンブルクで一番古い教会であるミヒャエリス教会で「マタイ受難曲」を聴きに行きました。次の週がイースターということもありお客さんはいっぱい!
日本では教会でこの曲を聴くなどということは滅多にできない経験。厳かな雰囲気の中、聞き入ってしまいました。

 あっという間に過ぎていった9日間でしたがヨーロッパの音楽に触れ、生活に触れ、とて充実した毎日でした。私も含めほとんどの参加者がリピーターであるこのICoM音楽院には何度も訪れたいと思わせるものがあります。たった9日間でも丁寧に指導してくださる先生方、親日家であるシュミッツ学長の温かい人柄、そしてハンブルクという街。

ドイツで勉強をしてみたいと思われる方には是非お薦めしたい学校です。ちなみに次回のセミナーは2008年3月22日~3月31日の予定です。

 なお、現在10月からの留学1年コースを受け付けています。
 詳しくはホームページをご覧ください。


ピティナ編集部
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