会員・会友レポート

<ドイツ音楽海外訪問記>ハンブルグ国際音楽春期講習会に参加して/重永まゆみ先生

2006/03/01

<ドイツ音楽海外訪問記>
第6回ハンブルグ国際音楽春期講習会に参加して
[前編][後編]

リポート◎重永まゆみ先生


港の町、ハンブルグ
ピティナの会報誌にて知った「第6回ハンブルグ国際音楽講習会」。北ドイツの大都会、ブラームスの故郷、ハンブルグ。期待に胸膨らませて大阪から参加しました。結果、期待を裏切らない大変充実したもので、先日帰国し、興奮まださめやらない状態です。とりあえず以下ご報告させていただきます。

前編

本格的な伴奏法を学びたい!

講習会は、2006年3月5日―12日の計8日間。会場は、ハンブルグ市内にあるブラームス・コンセルヴァトリウム。講習科目は、ピアノ・ソロ、ピアノ伴奏法、ヴァイオリン、声楽が行われました。各自の専攻分野レッスン受講の他、別の科目のレッスン聴講も可とのことで、私は積極的にいろいろな科目を聴講しました。講師陣は、ブラームス・コンセルヴァトリウム教員及びドイツ国立音楽大学教員、及びヨーロッパ一流の演奏家等が務められました。


白鳥が美しい湖

講習会にて

今回の私の目的は、ソロもですが、「伴奏法を学ぶ」という事にも興味がありました。「伴奏法」という、日本では稀で特殊な分野、これもソロと平行して勉強をしてみたいと思いました。音楽講習会は、多々ありますが、伴奏法を本格的に教える講習会は、きいた事がありませんでした。伴奏法のレッスンですが、これは、伴奏法ピアノ受講生は、前もって振り当てられた歌い手と組んで、実際に歌曲を伴奏し、その実践の中で指導されます。歌曲中ピアノ部分のみの指導も同時にされます。

ピアノの講師は、トップクラス伴奏ピアニストのファイト先生(ドイツ国立リューべック音楽大学勤務、フィッシャー・ディスカウ他の伴奏者)やブラームス・コンセルヴァトリウムのロシア人講師スクマノヴァ先生他。先生方のご活躍、ご経歴はそれぞれ北ドイツでも顕著。現在多くのステージ活動され、実際の豊かな経験とエネルギーをお持ちの先生方のご指導は大変新鮮でした。


ソロのレッスン、オペラのワークショップも

ソロのレッスンもすばらしかったです。ここヨーロッパならではの勉強法。多様多彩な音色を出す、音楽演奏表現の説明と具体的にその演奏もして下さる等、先生方の、本物の音楽蓄積のある熱心なお教えは特筆すべきものでした。少しでも各自の演奏がよりよいものになるように、自分の指導が意味があるように、と、一生懸命のご姿勢には、暖かいものが感じられ、感動致しました。

他に声楽は、Londonからお迎えした世界的なテノールで名教師のアントニー・ローダン先生(英国ロイヤルオペラ)。そして、ハンブルグ国立オペラ劇場付きシニア・ピアニスト、スクエア先生御指導のオペラ・ワークショップ。(名ピアニスト、スクエア先生にも、私は実際に色々なピアノ演奏の助言をいただく事ができ、光栄でした。)
講習会は、個人レッスン4回付き。ただし私自身は、自ら希望し、声楽受講生レッスン時のピアノ伴奏をさせていただき、同時にそちらの方のレッスンも数多く受講。これも大変勉強になりました。
各レッスンはすべて通訳付きですが、先生方は英語もご堪能で、ドイツ語、英語どちらでもレッスンが受けられました。


後編

オペラ鑑賞や、ブラームス音楽院大ホールでの修了演奏会も

加えて、以下の如く、講習生全員受講参加する共通セミナーが盛りだくさんありました。

1、ドイツ語発音・表現教育の名教師Prof ヴィンクラ-による「ドイツ語とリートの研修セミナー」 

2、「世界の大テノール、ローダン先生とスクエア先生による本場のオペラ・ワークショップ」;ピアノ専攻受講者は、ヨーロッパの本格的コレぺティピアニストによるオペラのピアノ演奏法研修。

3、ハンブルグ国立オペラ劇場にて鑑賞セミナー「オペラ サロメ」 

4、ハンブルグ工芸美術博物館(世界的に有名なチェンバロのコレクション)にて、研修セミナー 「チェンバロの歴史、楽器、その音楽」

5、ドイツの著名伴奏家・講師ファイト先生(ピアノ)の演奏と講演セミナー 「世界の偉大な音楽家との共演、ステージと演奏のお話」 

6、講習会受講者公開コンサート (一般のドイツ人も含む聴衆前での公のコンサートにて演奏。ブラームス音楽院大ホールにて。)及び、修了証書授与式

7、北ドイツ最大の、ザンクトミヒャエル教会(ブラームスが洗礼受けた教会、テレマンが音楽監督歴任)にて日曜ミサ見学


ブラームス博物館前にて

8、ハンブルグ市内観光と見学研修セミナー「ハンブルグ縁の音楽関係の場所を訪ねて」 (ブラームス記念館、17,18世紀の街並、ミヒャエル教会、テレマンの墓、ハンブルク市庁舎)

9、ハンブルグ市立美術館にて、世界の名作の鑑賞、美術と音楽のセミナー研修

10、「留学相談、ヨーロッパ各国の音楽インフォメーションや音楽祭・演奏会のご案内」講義セミナー

11、「世界の大テノール、ローダン先生へのインタビュー、歌、音楽と人生」


講座にて

12、ドイツ国宝屋敷とショパンハウス縁のピアノ (お屋敷でサロン音楽会とお茶会);ブラームス時代のサロン音楽伝統文化体験セミナー;この講習会の大きな特徴の一つです。これは、ブラームス時代の、いわゆるヨーロッパの歴史伝統サロン音楽を、当時の雰囲気の中で受講生が演奏を体験。この屋敷に置いてあるグランドピアノは、ポーランドのショパンハウスに置いてあるものと同型。ショパン使用のピアノのコピー。和やかな雰囲気の中、楽しませていただきました。ちなみに、このお屋敷の隣には、ハイネ(ドイツの大詩人)の住んだ家(お屋敷)があり、ハイネの記念碑がたってます。今年2006年は、ハイネ没後150周年記念年でもあります。

こうして、講習会の日々は忙しく刺激的に、あっという間に過ぎて行きました。ブラームス・コンセルヴァトリウム音楽大学の周辺は、ハンブルグ一の高級住宅街。きれいでおしゃれな商店街、並木道をゆっくり歩いて、毎日すがすがしく講習会に通いました。


期間中には、ドイツ留学相談も


受講生と先生で記念写真

今回受講生は、合計24名。中には、もう3回も参加されているリピーターの方、かつて留学されていた方、また、初めて外国訪問の音大生の方々も結構いらっしゃいました。この方々は、講習会のセミナー「留学相談」もめあてに、将来のドイツ留学の下見も兼ねていた御様子。皆さん熱心で、お互いのレッスン聴き合ったり、共にお勉強。気持ちのよい方ばかりでした。

この雰囲気をつくるべく、講習会をお世話するスタッフ(通訳、事務局等)の方々が大変親切でした。受講生の各々のお勉強が充実したものになるよう、きめの細かなサポートがなされていました。他の大手の講習会にはない、暖かい手作りの講習会の感を受けました。ピアノの勉強と共に、「ヨーロッパ音楽文化の体験」のできる魅力的な講習会であったと思いました。

ドイツ一美しい街と言われる、緑、湖、港の街ハンブルグ。街も講習会もすばらしい思い出として、私の記憶にしっかり残る事でしょう。

この講習会は、次回は、今夏8月2日―9日に開催される予定。全費用は約19万円(全宿泊費、通訳付き個人レッスン4回&講習会全セミナー費含む)というリーズナブルな料金。皆様にぜひお勧め致します。
(問い合わせ先、Fax&Tel; 0728538200 (重永) E-mail; Ymargaritoff@aol.com)


ピティナ編集部
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