100のレッスンポイント

071.まちがいを弾かない

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2011/04/22

忙しい毎日。
近頃の子供たちは、本当にお稽古事が多いです。
「少しでも子供に良い事を!」と思い、習い事をさせておけば安心と思うのでしょうか。
そんな中、ピアノは毎日の練習を伴うので、子供たちにとっては不人気になる場合もあります。
保護者の方々の中にも、安易に「楽しければ良い」という感覚の方が増えたように思います。

ピアノは、毎日練習することによって弾けなかったものが弾けるようになり、美しい音を自分で出せるようになり、嬉しいという感覚が毎日持てます。教育は1対1で受けられます。
すばらしい「ピアノ」というお稽古事の価値を、もう少し認識して欲しいものです。

とはいえ時間のない事は変えられません。
効率の良い練習を行うことで、楽しくピアノのお稽古を続けて欲しいものです。

さて、「効率の良い練習」を行う上で肝心な事が「間違いを弾かない!」ということです。
効率の良さを目指す方ばかりでなく、「たくさん練習するにも関わらずあまり上達しない人」にも、是非実行して欲しいです。

私は脳科学者というわけではありませんが、長年生徒を見ていて分かる事もあります。
一度間違えた部分では、脳の仕組みか運動神経のせいなのか、なぜか同じ間違いを繰り返します。
注意して1度で直せた場合はたいてい直りますが、間違いに気付かないまま1週間練習してしまったような場合、なかなか悪い癖が取れません。

貴重な練習時間の中本当に残念なことです。
せっかく練習しても「無駄」どころか、マイナスになってしまうのですから。

では、どうするか!?

簡単です。
最初に「間違いを弾かない」事です。
脳(あるいは指)は、間違いを覚えてしまうこともあれば、当然、正しいことを覚えることもあります。最初が正しければよいのです。

進歩していくためには「練習してやっと弾けるようになる曲」が自分のレベルに合った曲ですので、初めからすらすらとは当然弾けません。

早く弾きたいからといって、間違い、止まりながらいきなり両手で弾いてしまうのではなく、最初から正しい事を弾くために、片手で、ゆっくりと余裕を持って弾き始めるとよいです。
余裕がある分、書かれている指番号や、強弱記号、表情記号も全て注意し、表情も考えて弾いて欲しいです。

そのあとに両手の練習をする。
上手くいかなければ、短くして「2小節だけ」あるいは「ワンフレーズだけ」弾きます。 テクニックの章でお話ししましたように、最終的には2音だけ取り出せば、音のいい加減さも、クリアーできると思います。

 

「間違いを弾かない」というとき、それは音のことだけではなく、表情を考えるためのスラーや、弾きやすい指使いを考えること、当然、書かれている記号を正しく演奏すること(そのためには理解していること)も含まれます。

「正しく」弾くと、作曲家が考えた色々な想いが聴こえてくるはずです。
それを積み重ねていくことが、最も効率が良く確実に上達する方法だと思います。

ただ、確実ではあっても無表情に練習してしまうと、後で表情を加えるという2度手間になります。「片手でゆっくり」の時も、必ず音楽的という事は意識させたいものです。

少し進歩したら、「どの時代にかかれたものか」といった様式感も考えに入れます。バロックの曲を、ロマン派のように弾くのもやはり「間違い」だと思います。
今、最も「正しい」状態が、最も「美しい」事だと思います。
最短距離でそれを目指し、美しい音楽を自ら楽しめる毎日だとよいですね。


★エピソード

今はピティナ・コンペティションのシーズンです。
年に1度自分の力を試し、一年間のピアノの取り組みを反省する良い機会です。
課題曲を弾いてくる初めの時には、まず楽譜に書かれている、速さ以外の全てを、正しく弾いてくる事にしています。音はもちろん正しく、強弱記号はともかくオーバーに、どのくらい「f」かという事は別にして、ともかく「強く」弾く。書いてある事を全て、確実に、意識して弾いてみる事が、まず最初の取り組みです。そこを後回しにしては、結局正しく弾けるようになってからの時間が少なくなってしまいます。
最初を丁寧に!
間違いを弾かない事が大切だと思います。


池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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