100のレッスンポイント

013.ミスタッチをしない!

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2010/02/26
♪試してみよう
「鍵盤の真ん中を弾く」ことを心がけながら分散和音を弾いてみましょう。手首を適切に移動して、(指が)自然に鍵盤の中心を弾けるよう意識してみて下さい。

手の小さな人がミスタッチしないで弾くには、とても大変な努力を伴うことだと思いますが、逆に、大きな手の人も同じかもしれません。

以前、アンジェイ・ヤシンスキー先生の指を真近で見たときは驚きました。ほぼ鍵盤と同じ太さ。それでもミスしません。なぜ?

そう質問すると、先生からは逆に「鍵盤の(幅の)真ん中を弾いていますか?」と問われました。

自分の指先に意識を持ち、常に、指が鍵盤の真ん中に当たっていたら、はずれない。ヤシンスキー先生の指だと、少しでもずれると隣のキーを一緒に弾いてしまうそうです。なるほど!

そこに、注意力が必要ですね。

普通の指の太さの人、特に女性の指なら、指の中心が鍵盤の中心をとらえれば、まだまだ余裕があります。隣のキーに触れることは、まずありえないと思います。

手の小さな人は、届きにくいとき「はずしてしまうかも」と思う緊張で硬くなり、思うところに指が進まず、ミスタッチをしてしまうことがあると思います。指先は緊張させ、腕などは脱力できている状態で、狙った幅の中心に指が進むと、ミスタッチはしないのではないでしょうか。言うのは簡単ですけどね(^0^)

まだ小さな手の人が、よくオクターブを目いっぱい広げた状態で弾こうとしますが、広げることで力が入って自由が利かず、かえってミスタッチをしてしまいます。伸びきったゴムのようにならず、必要に応じて伸びると良いと思います。

いろいろな理由で、ミスタッチが生まれますが、一瞬に通り過ぎるので、自分に甘く、聞き逃しているうちに、平気になっていくことが、ありませんか?不思議に、外れたところは次にも外れることが多いです。手が、覚えてしまうのでしょうね。是非、冷静に、リラックスして、中心に指先が来ているか、注意してみてください。

ミスタッチの在る無しだけが、コンクールや試験の結果を決めるわけでなく、音楽的な感動する演奏であればと思いますが、本当に完成度が高い演奏というのはミスタッチも当たり前に無い状態まで到達しているものでしょう。計り知れない努力と共に!

★エピソード

霧島音楽祭(鹿児島)で、ダン・タイソン氏のレッスンを生徒が受けたときのことです。彼は、とてもミスタッチが気になり全て指摘されます。その部分を弾いてくださり、どうしてこれが外れるのだろう?と。私が聴いた(生徒が用意してきた)どの曲もほとんど完璧に、美しい音で弾かれていましたが、時たまミスタッチすると、その場で、すかさず、何気なく、あたりまえのように練習されていました。人に指摘するだけでなく、ご自分にも厳しく、脱帽でした。


池川 礼子(いけがわ れいこ)

武蔵野音楽大学ピアノ専攻科卒業。武田宏子氏・吉岡千賀子氏に師事。バスティン・ メッソードの講師として全国各地で講座を行う一方、地元鹿児島ではピアノ指導法研 究会を主宰。生徒育成においては、ジュニア・ジーナ・バックアゥワー国際コンクー ル第2位輩出のほか、長年にわたりピティナ・ピアノコンペティションにて高い指導 実績を全国にアピール。特に1999年度は、ピティナ全国決勝大会のソロ・デュオ・コ ンチェルト部門に計7組の生徒を進出させ、ソロF級で金賞、コンチェルト初級で優 秀賞などを受賞した。導入期から上級レベルの生徒までまんべんなく育て上げる指導 法は、全国のピアノ指導者の注目の的となっている。ピティナ正会員、コンペティシ ョン全国決勝大会審査員。ステーション育成委員会副委員長。

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