わくわくポピュラーガイド

第21回 稲森 康利さん

2012/08/31
稲森先生の
ステップ課題曲収録楽譜
プレイ・ザ・ジャズVol.1 CD付
プレイ・ザ・ジャズVol.1 CD付
■著者:稲森康利
■定価:3,150円(税込)
■販売:(有)中央アート出版社
※「星に願いを」(応用6課題曲、CD可


日本の歌 in ジャズ ピアノ CD付
日本の歌 in ジャズ ピアノ CD付
■監修:稲森康利
■定価:2,835円(税込)
■販売:(有)中央アート出版社
※「夕やけ小やけ」(応用7課題曲)、「赤とんぼ」(発展2課題曲)

プロ★ジャズ・ピアノ・スタンダード
プロ★ジャズ・ピアノ・スタンダード
■著者:稲森康利
■定価:3,675円(税込)
■販売:(有)中央アート出版社
※「追憶(The Way We Were)」(発展5課題曲)

♪上記課題曲のワンポイントアドバイス

どの曲も、クラシックにない響き(テンション感) を味わって。全体的に、バラード調の曲でも、イ ンテンポを感じて弾くことも大事です(クラシッ ク的なルバートはなし)。ルートを省略してある箇 所は、ビル・エバンスあたりから出てきたハーモ
ニゼーションです。
第21回は、ジャズピアニスト、ジャズ教育家として 著名な稲森康利さんにお越しいただきました!
稲森 康利さん
稲森 康利さん
(ジャズ・ピアニスト、ジャズ教育家)

いなもりやすとし◎静岡県出身。東京芸術大学中退。作曲を芸大教授・長谷川良夫氏に学ぶ。平岡精二クインテットに参加。フジテレビ小川宏ショーに6年間レギュラー出演。ハーブ・オオタのアレンジャー、コンダクターとしてアメリカ各地で演奏活動を行う。ピエール・カルダンに招かれてパリのエスパス・カルダン劇場に出演する。近年はジャズ教育に力を注ぎ、独自のイナモリ・メソッドを開発。楽譜、理論書など120冊以上の著作があり、東京芸術大学、千葉大学、バークリー音楽院、カリフォルニア大学バークレー校、アメリカン・リバー・カレッジなどでも使用されている。また10年以上にわたり山野ビッグバンド・ジャズ・コンテスト審査員を務めた。1991~96年、IAJE(国際ジャズ教育者協会)日本支部会長を務め、1992年にはIAJEアメリカ本部のAdvisory Councilに就任。元山梨大学講師。カワイグレード認定審査員。2002年より財団法人音楽文化創造音検委員。稲森音楽教室主宰。
ご趣味...カメラ。 中学生の頃、画家になりたいと思っていた影響で、
カメラは20 個ほど持っていらっしゃるとか。
現場で学ぶ
─ どうしてジャズやポピュラーの 世界に入られたのでしょうか?

私の兄が、静岡でNHKのビッグバンドオーケストラの指揮と編曲を行っていた影響が強いですね。兄はサックス、クラリネット、フルートを吹いていたので、僕も自然に吹けるようになったんですよ。和声学も中学1年から勉強していたので、高2からオケ編曲の手伝いもしていました。

また、戦後のアメリカ軍のラジオ番組(FEN)や、アメリカ文化センターのレコード、コンサートなどでも、ジャズやポピュラーをよく聴いたものです。ただ、ピアノを始めたのは遅くて、17歳頃から独学で学びましたが、まもなく仕事を始め、21歳の頃には著名な歌手の伴奏やショーの仕事をするようになりました。ですから、現場で実践的に、プロとして必要なことを試行錯誤しながら習得していったわけです。

─ その後のご活動は?

20代の頃はクラブやホテルで演奏していました。29歳で平岡精二クインテットに参加して、テレビ番組にも6年間レギュラー出演しました。また、ウクレレの世界的奏者、ハーブ・オオタ氏のアレンジャー&コンダクターとしてアメリカ各地で演奏しました。その後、帝国ホテルで演奏していたところ、丁度万博の関係で来日していたピエール・カルダン氏に声をかけていただき、フランスのセーヌ川沿いにある彼のご自宅や"エスパスカルダン"で演奏することにもなりました。

─ そのご経験を元に、ジャズ・ポピュラーの楽譜を120冊以上出版されていますが、40歳過ぎてから書かれたとのこと、すごいスピードですね。先生のアレンジは、ハーモニーが充実していて、何度弾いても奥が深く飽きることがないと定評があります。

僕は、ハーモニーが大好きなんですね。これを書き出すと面白くてしょうがない。編曲は楽しみながら作業しています。ピアノで音出ししながら書いていくのですが、頭の中で大体出来ているので、アレンジは早いと思いますよ。ジョージ・シアリングとミシェル・ルグラン、この二人の影響が大変強いのですが、リハーモニゼーションについては『ポピュラーピアノ奏法Vol.2』で、"ダイアトニックなハーモニゼーション" "クロマティックなハーモニゼーション"など11項目の技法を詳しく書いたので参考にしてください。


子どものジャズ
─ そのような中~上級者向けの楽譜が多い中、どうして今回子ども向けの『ジャズキッズ』(中央アート出版社)を出されたのでしょうか?

子どもの教育は大切ですからね。ジャズのアクセントやビート感を早いうちに習得して、アドリブらしい雰囲気も学んでもらいたいと思い、小学3年生くらいから使用できるように、やさしく書きました。CDが付いているので、耳から入るとノリが自然に身につき、またマイナスワン(ドラム、ベース)に合わせれば、ピアノトリオも体験できますよ。

─ 確かに音符も見やすくやさしいのに、響きは本物! ですね。今年度、ステップでも"アドリブ"が初めて採用されましたが、初めて取り組む方にアドバイスをお願いします。

クラシックの、"テーマとバリエーション"と考えていただくとわかりやすいと思います。『ジャズキッズVol.1』の巻末には、アドリブに入る前の、リズムトレーニングも掲載してあります(譜例参照)。
二人組みでメトロノームを使って練習してみてください。大人の初心者のレッスンにも使えますよ。

譜例
※別のリズムもどんどん使ってみましょう。詳細は本誌をご覧ください。
─ なるほど、これなら全くの初心者でも抵抗なく取り組めますね。続く2巻も既に発売、3巻も現在制作中とのこと、子どもたちが、当たり前のようにジャズを楽しむ時代にようやくなりそうで楽しみです。本日はお忙しいところありがとうございました。
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ピティナ編集部
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