ピアノとコーチング

第03回 「優位感覚その2」

2007/03/02

今回はNY郊外に住むピアニスト、飯田さゆり先生のレッスンをレポート致します。

さゆり先生は、ピアニストとして活動される傍ら、駐在員の子弟、アメリカ人の生徒さんのご指導に当たり、数々のコンペティションで素晴らしい結果を出されています。
何よりも指導者として2人のお子さんをレッスンに取り組む真摯な姿には、心から尊敬させられます。
「音楽は素晴らしいものだ。それを自ら伝えたい」という先生の情熱が、難しいと言われるわが子とのレッスンを支えています。

さて、お嬢さんのローリーさん(12才)のレッスン、登校前の朝6時半から始まります。
レッスン室からは、音が繰り返しポツン・ポツンと聴こえてくるだけです。
極端に指の支えがないローリーさんのほとんどの練習時間を指の独立の為の打鍵のトレーニングに取っている為なのです。
1本1本の打鍵と筋肉の動きを確認する作業はまるで修行僧のようです。
時には、双方爆発し、泣きながらレッスンすることも!

それでも翌日から同じような練習が始まります。
気の遠くなるような根気の要る「手を作る」作業。
でも、それに取り組めるのは、毎日一緒に過ごす母親だけかもしれません。
さゆり先生のお母様がかつて、さゆり先生にしてくださったように。


ローリーさんの特徴
・絶対音感の持ち主。
・ 鼻歌をいつも歌っている。
・ 暗譜はステップごとに順番に記憶し、途中からの暗譜は苦手です。
・シャープやフラットのいっぱいついている読譜は苦手で、耳で聞いてすらっと頭に入れるタイプ。
・ 音楽の捉え方を分析してみると、頭の中にメロディがあり、それを追いながら指がついていく感じ。

以上の特徴から、優位感覚は聴覚系とわかりました。
今までは、弾くことに精一杯で、なかなか耳を活かすゆとりがなかったのですが、最近やっと手が出来上がってきて耳が開いてきました。
さゆり先生の「よく聴いて」という声に反応しようとしています。
「ローリーさんはダイヤモンドの耳を持っているのだから、一生の宝物してよく音を聴いてね」という私の言葉をとても嬉しそうに受け止めてくれたローリーさん。
これからが楽しみです。

【ビデオ1:ローリーさんのレッスン  WMV


次のレッスンは高木里沙さん(16才)の優位感覚を分析してみました。
運動神経が良く耳が良い事から触覚系と聴覚系のミックスだとわかりました。
学校でもダンス部で活躍し運動系が大好きです。
とにかくスポーツのように弾きたくてたまらない里沙さんは、譜読みの段階からイン・テンポ。ゆっくり楽譜通りに弾くということはありえません。
直感にすぐれ飲み込みが早いので、要領よくまとめまる半面、雑になりがちなので綺麗に整える事に苦労します。
さゆり先生のテンポに乗ったレッスンとそれに答える里沙さん。
頭で考えるというよりも体で反応しています。
ユンディ・リーの演奏を見た時も同じような運動神経のよさを感じました。
レッスンでは、「とにかく弾かせてほしい!」という気持ちを尊重しています。
やりたいことが一杯ある里沙さんに必要な今後の課題は、ターゲットを絞った目標設定と練習成果を自己分析する能力なのかもしれません。

【ビデオ2:高木里沙さんのレッスン: WMV


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