ピアノ曲MadeInJapan

【こどものためのJAPANピアノ作品集10】 三善晃編曲 『オルゴール風ピアノ曲集』

2013/10/17
miyoshigakuhu.jpg去る10月4日に、作曲家・三善晃先生が亡くなられました。日本を代表する作曲家でいらした三善先生。今回ご紹介するのは、その三善晃先生による『オルゴール風ピアノ曲集』(カワイ出版刊)です。


三善晃先生のピアノ曲について
三善晃先生については、この連載でも、第一回に貴重なメッセージをいただいて以来、『ピアノソナタ』や『海の日記帖』など、数々のピアノ曲をご紹介させていただきました。三善ピアノメソッド等も含め、日本のピアノ教育界にこれほどまでに大きな足跡を残された日本人作曲家は、他にいらっしゃらないかもしれません。以下は、三善晃先生のピアノ曲一覧です。

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『オルゴール風ピアノ曲集』とは
今回ご紹介する『オルゴール風ピアノ曲集』は、2011年に出版されました。三善先生がピアノ曲集としてまとめられたものとしては、最後の作品集となります。内容は、日本人に馴染み深い作品を、先生が「オルゴール風」に編曲されたもの。ピアノのための編曲作品には、他にも『2台ピアノのための組曲 唱歌の四季』や『全調による 楽しいピアノ・デュオ』、『オペラ支倉常長 遠い帆 ピアノリダクション』がありますが、よく知られた作品をピアノソロ用にアレンジされたものとしては、唯一の作品集となっています。


『オルゴール風ピアノ曲集』の特徴
三善先生は、楽譜の前書きにて、以下のように述べられています。

《オルゴールのように》
母校の小学校での「授業」で、ピアノの最高音域がオルゴールのように響くことを知った。曲集のなかには中声のオルゴールも混ざっているが、音響の指向性は変わりない。純真に、大人も交えての集いなどでも楽しんでもらえたら、と思う。
 

この曲集では、子供の頃からの先生の憧れの音が、子供の頃から馴染んでいらしたいくつもの音楽に反映されていると言えましょう。オルゴールのように澄み切った音色の心癒される作品が14曲、この作品集には詰まっています。


作品集としての使い方
miyoshimokuji1031.JPG 目次をご覧ください。この作品集のラインナップは、「定番曲」(◎)「シーズン曲」(☆)「わらべ歌」(◇)の3種類に分けられるでしょう。「定番曲」や「 シーズン曲」などメジャーな曲では、三善先生ならではの美しいハーモニーや思いがけないメロディーの重なりが、また特に「わらべうた」では、鋭い現代的な響きが印象的です。以下YouTubeにて、「定番曲」より『Happy Birthday to You』を、「シーズン曲」より『ジングルベル』を、そして「わらべ歌」より「通りゃんせ」を、各々お楽しみください。














なお出版社のホームページには、この作品集について、「独奏用であるが、右手と左手をそれぞれ別な人が弾く連弾曲としても演奏することができる」とあります。レッスンや発表会のみならず、日常の様々な場面にて、多くの人々が楽しめる作品集と言えるでしょう。最後になりましたが、三善晃先生のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。


須藤 英子(すどうえいこ)

東京芸術大学楽理科、大学院応用音楽科修了。在学中よりピアニストとして同年代作曲家の作品初演を行う一方で、美学や民族学、マネージメント等について広く学ぶ。04年、第9回JILA音楽コンクール現代音楽特別賞受賞、第6回現代音楽演奏コンクール「競楽VI」優勝、第14回朝日現代音楽賞受賞。08年、第8回オルレアン国際ピアノコンクール(フランス)にて、深見麻悠子氏への委嘱・初演作品が、日本人として初めてAndreChevillion-YvonneBonnaud作曲賞を受賞。同年、野村国際文化財団、AsianCulturalCouncilの助成を受け、ボストン・ニューヨークへ留学。09年、YouTubeSymphonyOrchestraカーネギーホール公演にゲスト出演。現在、現代音楽を中心に、幅広い活動を展開。和洋女子大学・洗足学園高校音楽科非常勤講師。
ホームページ http://eikosudoh.webcrow.jp/

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