ピアノ曲MadeInJapan

【こどものためのJAPANピアノ作品集2】武満徹「こどものためのピアノ小品」

2009/03/31

前回の連載でご紹介した作曲家・武満徹。そのピアノ曲の中に、子供のための作品があるのをご存知ですか?

子供のための?大人のための?

武満徹作曲「こどものためのピアノ小品」は、《1 微風》 《2 雲》の2 曲から成ります。「こどものための...」とはいえ、その空気感といい、どこかジャズ風の節回しといい、大人でも充分に味わえるこの2つの作品。両曲とも1、2分の短い曲ですが、各々に世界があり、魅力的な作品です。



映像:宮森庸輔

楽譜について

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この作品は、1979年に、NHKテレビ「ピアノのおけいこ」(講師:井上直幸)の教材として作曲されました。現在楽譜は、ショット・ミュージックより出版されています(1,050円)。 難易度は、ブルグミュラー後半からソナチネぐらいでしょうか。複数声部の弾き分けや、rit.の雰囲気の出し方などは、大人でも難しいぐらいです(反対に、子供の方がすんなり表現できてしまうのかもしれませんが...)。現代曲の楽譜にはよくあることですが、この楽譜にも指番号は書き込まれていないので、レッスンで使用する際には、まず生徒さんの手と相談しながら、指使いを決めていくことが必要になってくるでしょう。


武満徹の調性音楽

武満徹は、いわゆる現代音楽畑の作曲家ですが、現代音楽以外にも、映画音楽やポップソングなど、様々な分野で魅力的な作品を残しています。この「こどものための小品」も、現代音楽というよりはポップソングに近い、調性音楽の一種。実は、この作品が作曲された1979年頃から、本業・現代音楽の方でも、'武満トーン'と呼ばれる、ロマンチックな響きや美しい旋律を用いるようになります。そしてそれらは次第に、多くの人の共感を呼ぶようになりました。幼い頃に、ジャズやシャンソンに憧れて、音楽を志したという武満徹。前回の連載でご紹介したような前衛的な音楽を経て、やがて'武満トーン'に落ち着いた彼の心のうちには、この「こどものための小品」のような、シンプルで美しい音楽が、もしかしたらずっと存在し続けていたのかもしれません。



須藤 英子(すどうえいこ)

東京芸術大学楽理科、大学院応用音楽科修了。在学中よりピアニストとして同年代作曲家の作品初演を行う一方で、美学や民族学、マネージメント等について広く学ぶ。04年、第9回JILA音楽コンクール現代音楽特別賞受賞、第6回現代音楽演奏コンクール「競楽VI」優勝、第14回朝日現代音楽賞受賞。08年、第8回オルレアン国際ピアノコンクール(フランス)にて、深見麻悠子氏への委嘱・初演作品が、日本人として初めてAndreChevillion-YvonneBonnaud作曲賞を受賞。同年、野村国際文化財団、AsianCulturalCouncilの助成を受け、ボストン・ニューヨークへ留学。09年、YouTubeSymphonyOrchestraカーネギーホール公演にゲスト出演。現在、現代音楽を中心に、幅広い活動を展開。和洋女子大学・洗足学園高校音楽科非常勤講師。
ホームページ http://eikosudoh.webcrow.jp/

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