マズルカを味わう

第27回 マズルカ第28番(4つのマズルカ Op.41より 第3曲 ロ長調)

2009/06/01
● 第3曲 ロ長調

〔A〕1~38小節・・・・・・オベレク
〔B〕39~54小節・・・・・ マズール
〔A'〕55~78小節・・・・ オベレク

 憂鬱な前2曲とは対照的に、まさに農民の踊りと言えるような活力みなぎるマズルカ。トニックとドミナントの和音のみで進行するシンプルな3部形式ですが、短いフレーズのめまぐるしい入れ替わりや転調などを楽しめる作品です。

 ショパンはこの曲について次のように言っていたそうです。

 ギターの合奏で始まり、幾組もの踊り手たちが頻繁に入り乱れ、方向を変えるから、演奏には特別の困難がつきまとう。最初の4小節とその繰り返し(9-12、21-24、29-32、76-78小節)はギターのプレリュードの要領で、少しずつ動きを速めて弾かねばならない。マズルカが始まるのは、やっと5小節目からなのだ。

 ショパンはこの第3曲でも前2曲と同様、マズールのクライマックスでフォルティッシモにまで到達してしまうほど、骨太な姿を見せています。別天地ノアンでの心身の充実ぶり、そして30歳前後の最も脂の乗った時期であったこと。これらが反映された作品41は、ショパンの意外な素顔を見ることができるマズルカと言えるでしょう。


佐藤 展子(さとうのりこ)

東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。ロンドン英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学。2001年第25回ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞グランプリ受賞。2002年日本フィルハーモニー交響楽団と共演。2004年、2005年アンサンブル信州in宮田と共演。これまでにヤマハ銀座店、越谷にてリサイタル開催。ピアノを神野明、加藤一郎、加藤恭子、播本三恵子、倉沢仁子、C.ベンソン各氏、室内楽を土田英介、迫昭嘉各氏に師事。現在、東京音楽大学ピアノ科助手。ピティナ主催「学校クラスコンサート」、ヤマハ主催「ピアノ名曲コンサート」で活躍中。

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