マズルカを味わう

第03回 マズルカ第3番(4つのマズルカ Op.6より 第3曲 ホ長調)

2008/01/03

** 第3回 マズルカ第3番 ホ長調 Op.6-3 **

作品6のマズルカは1830~32年作曲。ポーリーヌ・プラーテル伯爵令嬢に献呈。ショパンがポーランドを離れたばかりの頃の作品。
演奏されることは少ないようですが、リズムの特徴が飾ることなく生かされた、青年ショパンの情熱がほとばしる逸品です。4曲中3曲には非常に濃厚な色彩の短調を用いており、それらのハーモニーをピアノで実際に響かせたときには、身震いするほどの美しさを感じます。

第3曲 ホ長調

マズールとオベレクの華やかな作品です。
第2曲と同じ空虚5度の序奏。こちらはスタッカートと3拍目と2拍目で交代するアクセントによって、楽しげな踊りが始まる予感がします。バグパイプ風の低音の合図で、男女のペアが勢いよくマズールを踊り出します。マズールでは両手の和音がにぎやかに書かれ、特に右手の3度や6度の連続は技術的にも鮮やかです。8小節間の軽やかなオベレクが通り過ぎると、risvegliato(目覚めるように活発に)と指示された歌の要素が強いメロディが登場。ショパンはこの頃、イタリアオペラを頻繁に聴きに出かけており、「理想の存在」として熱をあげていたコンスタンチア・グワドコフスカ(*)やドイツのスターであったゾーンタークといった、素晴らしいソプラノ歌手たちの歌が影響しているのかもしれません。そのメロディが弱音になるときの左手のなんと美しいこと!一拍たりとも同じ色にとどまらず、半音階の下行に沿って息長く移ろってゆく素晴らしいハーモニーにため息・・・。それを弾く左手に神経をすり減らして、またため息・・・。


* ピアノ協奏曲第2番のアダージョのモデルとなった女性。
※マズール、オベレクについてはこちら

佐藤 展子(さとうのりこ)

東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。ロンドン英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学。2001年第25回ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞グランプリ受賞。2002年日本フィルハーモニー交響楽団と共演。2004年、2005年アンサンブル信州in宮田と共演。これまでにヤマハ銀座店、越谷にてリサイタル開催。ピアノを神野明、加藤一郎、加藤恭子、播本三恵子、倉沢仁子、C.ベンソン各氏、室内楽を土田英介、迫昭嘉各氏に師事。現在、東京音楽大学ピアノ科助手。ピティナ主催「学校クラスコンサート」、ヤマハ主催「ピアノ名曲コンサート」で活躍中。

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