ハイドンの世界

第10回 ソナタ第50番 Hob.XVI/37 ニ長調

2007/07/18
SONATA No.50 Hob.XVI/37 Allegro con brio-Largo e sostenuto-Finale

この曲はハイドンをはじめて聴く人に、ぜひ聴いてもらいたいくらい、ハイドンらしさに溢れる曲です。1楽章はどこまでも明るい快活なフレーズが愛らしく、2楽章ではハイドンの作曲したミサ曲のような荘厳な雰囲気がとても美しいです。3楽章は冒頭にinnocentementeという楽語が書かれており、これは、素朴で無邪気な、といった意味合いを持ちます。ハイドンの書く曲の中ではとても珍しい表現ですが、私は、ハイドンの音楽そのものを表現したようなその楽語をとても気に入っています。1楽章と3楽章は、ハイドンが作曲したクラヴィーア・ソナタで一番多く使用した調性、ニ長調で書かれていますが、2楽章はニ短調で書かれています。ニ短調は、ハイドンがあまり使用しなかった調性で、そもそもニ短調のソナタは存在せず、2楽章がニ短調の曲は、この曲を含めわずか3曲しか残っていません。

ハイドン・ひとことメモ
「第10回 ハイドンの容貌 その1」
ハイドンは、一体どんな顔で、どんな体で、どんな姿をして生きていたのだろう...、と私はよく想像します。ハイドンの真正な肖像画は26あるとされていますが、この肖像画をめぐる疑問は、今現在もハイドン研究の課題となっています。1768年(ハイドン36歳)以後、ハイドンは多くの肖像画を描かせたといわれていますが、特に、トーマス・ハーディのものや、ジョージ・ダンスが描いた鉛筆画が有名でよく見掛けると思います。ハイドンの容貌は同時代に生きた人々の報告によって、細部まで伝えられていて、ヴァーツラフ・トマーシェク(ボヘミアの音楽家)は、ハイドンの身なりがきれいさっぱりとしており、小柄で、あばたの多いその顔には、いつもかつらが深くかぶせられていた、と形容しています。また、ハイドンの伝記にもハイドンの容貌について書かれているので、次回、書いてみたいと思います。
ソナタ第50番 Hob.XVI/37 ニ長調

第1楽章 ♪試聴 
第2楽章 ♪試聴 
第3楽章 ♪試聴 

前山 仁美(まえやまひとみ)

1987年3月22日生まれ。
1996年 ピティナ・ピアノコンペティションB級奨励賞。1998年 第15回教育連盟ピアノオーディションA部門入賞、同入賞者演奏会出演。2000年 ピティナ・ピアノコンペティションD級銅賞。2001年 第17回かながわ音楽コンクールユースピアノ部門中学生の部第1位、総合第2位、神奈川新聞社社長賞受賞。トップコンサートにて神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。2003年 第1回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。2004年 第5回ショパン国際ピアノコンクール in Asia、アジア大会奨励賞。第9回浜松国際ピアノアカデミー受講。ピティナ・ピアノコンペティションG級金賞、併せて東京都知事賞、讀賣新聞社賞、ヒノキ賞、王子賞、洗足学園前田賞受賞。第2回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。2005年 フランスのMoulin d'Andeにて行われたマスタークラス受講。アメリカにて行われたジーナ・バックアゥワー国際ピアノコンペティションYoung Artist部門第6位。第3回カワイ主催ロシアン・ピアノスクール in 東京受講、受講生選抜公開演奏会出演。
2006年 ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、聴衆賞受賞。併せて文部科学大臣賞、讀賣新聞社賞、ミキモト賞、王子賞、三菱鉛筆賞受賞。

幼少の頃より現在に至るまで江口文子氏に師事。モスクワ音楽院にて、パーヴェル・ネルセシアン教授に師事。これまでに、佐藤俊、日比谷友妃子の各氏に師事。

ハイドンの世界:http://j-haydn.blogspot.jp/

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