2013

才能ある高校生以下のピアニストを発掘 第6回福田靖子賞は山﨑亮汰さんへ!
集合写真
集合写真

懇親会
懇親会の様子

第6回福田靖子賞選考会は8月23日・24日の2日間にわたり、3名の海外招聘審査員を迎えてレッスン審査が行われました(レッスン会場協力:昭和音楽大学)。審査員はボリス・ペトルシャンスキー先生、ロナン・オホラ先生、ジェローム・ローズ先生。また26日には最終審査会が行われ、各自レッスンの成果を見事に発揮し、大変レベルの高い競演が繰り広げられました(演奏会会場:台東区生涯学習センターミレニアムホール)。
その結果、福田靖子賞に山﨑亮汰さん(中3)、優秀賞に桑原志織さん(高3)、奨励賞に小林海都さん(高3)、東海林茉奈さん(高2)が選ばれました。終演後は審査員、選考委員、保護者の方々とともに懇親会が行われ、リラックスした雰囲気の中でそれぞれ交流を深めました。ここに当日の様子をリポートします。(選考委員:江口文子先生、二宮裕子先生、播本枝未子先生、松﨑伶子先生、福田成康理事長)

⇒入賞者の演奏ビデオはこちら

【1】レッスンの様子

最終審査会で素晴らしい演奏を披露した9名の皆さん。それに先立ち、8月23日・24日の2日間にわたって、3名の海外招聘審査員を迎えてレッスン審査が行われました。その様子をリポートします。(入賞者に続き、最終審査会の演奏番号順に掲載)

<福田靖子賞>山﨑亮汰さん×ローズ先生
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57『熱情』第2・3楽章
内省的な第2楽章、情熱的な第3楽章と、長いフレーズで捉えて音楽を表現した山﨑さん。ローズ先生はこの曲には多くの解釈があるとした上で、第2楽章も内省的ではなく、『熱情』らしく開放的な表現にしてはと提案。また「左はロシア正教会のバス歌手のように深く堂々とした音でしっかり支えましょう。左に美しさがあるのです」と、左の和声を意識するようにアドバイスされました。また第2楽章末尾ppからff、そして第3楽章冒頭にかけての曲調の突然の変化について「緊張感と興奮を保ちながら突き進む感じで。心の情熱のうずきを出しましょう」との指摘に、山﨑さんの演奏もだんだんと熱を帯びてきます。最年少ながらその才能あふれる演奏に「まだ14歳?若いサムライみたいだね!」とローズ先生。
<優秀賞>桑原志織さん×オホラ先生
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調 Op.58 第3・4楽章
意志と情熱ある演奏に「指だけでなく頭でもよく考えられており、音の質も良く、真に心のこもった演奏ですね」とオホラ先生も感心。さらに表情の豊かさと大きな曲の流れをつくるために、様々なアドバイスが出されました。「一つ一つの音よりもフレーズを聴くことを大事にして下さい。言葉にしても、意味は単語ではなく、文章の流れにあります。またショパンのスラーはとても大事で、『ショパンが曲をどう作りたかったのか』に関わっています」と、曲の文脈を読み取ることを重点的にレッスンされました。第4楽章ではクライマックスへの運び方、緊張感の持続と高揚感の演出、休符にも性格があること等、やはり曲の流れをいかにつくるのかをアドバイス。フレーズの取り方一つで曲の流れが変わる、そのことをしっかり理解した様子が伺えました。
<奨励賞>小林海都さん×ペトルシャンスキー先生
シューマン:交響的練習曲 Op.13
大曲に真正面から取り組んだ堂々たる演奏に「素晴らしい!」と感嘆したペトルシャンスキー先生。レッスンはまず主題の捉え方から。「前半は客観的に『人生とは何か・・』と語っているように、後半はより主観的かつ個人的な心情の吐露なので、よりリリカルに。これは現代に至るまで多くの作曲家に見られる楽曲構成であり、この曲も例外ではありません」。またテンポの取り方や表情のつけ方など、変奏と変奏の間の関係性も意識しながら、曲想の違いを濃く描き出していきます。楽譜に書かれてあることを守りながら、そこから想像力を膨らませる、基本に忠実ながら多彩なアイディアに彩られたレッスンで(「スフォルツァンドはロシア正教会の屋根のように」等)、小林さんの演奏にもより豊かな表情がついてきました
<奨励賞>東海林茉奈さん×ペトルシャンスキー先生
プロコフィエフ:トッカータ ニ短調 Op.11
明朗で開放的な音が魅力的な東海林さん。良いところが沢山ありましたよ、という言葉に続いて、ペトルシャンスキー先生はこの曲の機械的かつ悪魔的な性格、アイロニー(皮肉)などを強調するようにアドバイスされました。そのため冒頭のテンポを最後まで保つこと、モーターのように感情を入れずに弾くこと、「プロコフィエフはアクロバットのような難しいメカニックな動きが好きだった」)、鋭い響きを出すための腕の使い方や指づかい(「サッカーで足を真っ直ぐに伸ばしたまま蹴るように」)、コーダにおける最高音の出し方(「トカゲが瞬時にハエを捕まえるような素早い動作で」)、アイロニーの表現(「意地悪な魔法使いのおばあさんや悪魔のように」)など、終始想像力に溢れるレッスンでした。
杉本沙織さん×ペトルシャンスキー先生
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲Op.42
感情の襞に入る繊細な感性を生かしてこの難曲に向きあった杉本さん。ペトルシャンスキー先生はディナーミクのつけ方、テンポの取り方などの基本を踏まえることで、いかに楽想が豊かに膨らんでいくかを指導されました。例えばTempo di minuetto(第3変奏)やAllegro(第5変奏)などは、焦らずにテンポをゆっくりめに設定した方が厳格さやドラマティックな面が強調されること、また強弱は例えばpはppにならないこと、dim.の記号を起点に音量を小さくしていくとフレーズが正しく取れること。こうした細部の楽語や記号に気を配ることで、本来の曲想が浮き彫りになり、繊細さの中にも様々な表情が生まれていきました。
尾城杏奈さん×オホラ先生
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調 Op.58 第1・2楽章
3名の先生全員にショパンの指導を希望した尾城さんは、ショパンへの憧れが詰まったソナタ3番の演奏。オホラ先生はそれをより美しく仕上げるために、耳でよく聴くことをまず提案されました。「耳があなたの司令塔で、指は家来です。耳がピアノから様々な可能性を引き出し、指先でそれを鍵盤へ伝えること」。またショパンらしい旋律の美しさを際立たせるために、左右を分担して弾き「マリア・カラスがベルカントで歌っているような右と、優れた伴奏者の左」を体感させ、さらにアルフレッド・コルトーが左を見ないで右を弾く練習をしたエピソードを紹介。尾城さんの反応の速さで、1時間後には曲に美しい流れができていました。
平間今日志郎さん×ローズ先生
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調Op.81a『告別』
知性ある堂々とした演奏に才能を感じたローズ先生。「冒頭のフレーズは何を意味していますか?」「ルドルフが去っていく、です」「ではそのストーリーを語るにはどうしたらよいでしょうか。まず長い旋律のラインを感じ取ること、そして心の痛みの表現を考えていきましょう」。そんな会話を交わしながら、レッスンが進められていきました。第3楽章でもメロディラインを意識すること、またユーモアを感じさせるフレーズなど、細かい部分の表情づけも。本人の演奏を尊重しつつも、隣で先生が模範演奏を示しながら、さらに雄大な表現へと導いていきました。
尾崎未空さん×オホラ先生
アルバン・ベルク:ピアノ・ソナタOp.1
澄んだ美しい音でベルクのソナタを弾いた尾崎さん。オホラ先生はこの曲を現代曲ではなく、高ぶった感情で始まる冒頭、ブラームスのような厚みある内声などから後期ロマン派と捉え、温かみとウィーン・フィルのような華やかさをもって弾くようにアドバイス。曲全体の流れを捉えることを重視し、フレーズを長く取ること、その中で強弱をどうつけるのか、また静けさにもクライマックスがあることに気づかせてくれます。「音とディナーミクに対する感性がとても繊細ですね。テンポとリズムにも同じ繊細さを持つとさらに良くなりますよ。テンポにも性格があり、それが楽想を決めるのです」。指示されている3つのテンポを明確に弾き分けると、みるみる表情が変わっていきました。フィナーレは「できる限りの美」を追求してレッスンは締めくくられました。
中村優似さん×ローズ先生
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻第13番 嬰へ長調 BWV858
徳山美奈子:ムジカ・ナラOp.25
可憐さと情感がある演奏の中村さん。ローズ先生は時代背景や他の楽器を例に挙げながら、さらに表情を豊かにつけていくレッスンをされました。バッハでは彼の愛したクラヴィコードの構造原理から奏法を考えること、長いフレーズはヴァイオリンなどの弦楽器や木管楽器を想定することなどをアドバイス。さらにフーガは「自分ならば美しいプレリュードと対比させて、もっとエネルギーと喜びに満ちた表現にするでしょう」と隣で模範演奏され、中村さんもそれにインスピレーションを受けて、より自由闊達な表現に変わっていきました。『ムジカ・ナラ』はレチタティーボのごとく、もっと自由に語るように表現することを提案。メロディにより豊かな起伏が生まれてきました。
※レッスン通訳:加納裕生野さん(オホラ先生)、深川美奈さん(ペトルシャンスキー先生)、千田直子さん(ローズ先生)
【2】入選者9名にミニインタビュー
  ~「どのように曲を選んだのか」「普段はどう過ごしている?」

素晴らしい才能をもつ9名の皆さん。最終審査員会では、中高生とは思えぬほどレベルの高い競演が繰り広げられました。どのような思いで曲に取り組んだのでしょうか?また普段はどのように過ごしているのでしょうか?演奏終了後にミニインタビューを行いました。(入賞者に続いて演奏番号順に掲載・カッコ内は質問)

<福田靖子賞>山﨑亮汰さん・中3
選曲について
リストのメフィストワルツ第1番、ショパンのエチュードOp.10-1, Op.25-11は自分が弾きたくてやらせて頂きました。ベートーヴェンの熱情ソナタは先生が勧めて下さいました。
ジーナ・バックアゥワー国際コンクールのジュニア部門優勝から1年。どのような勉強を重ねてきましたか?
テクニックはもちろん、音楽を磨くということを重点的に取り組んで、音楽の幅を広げることを意識していました。
曲全体を見通した演奏に感じましたが、楽譜を読む習慣は?
曲の冒頭、最初にどう入って、それからどうドラマを作っていくのかを意識しています。
今年高校受験ですね
今は週5~6日塾に通っています。ピアノは学校から帰ってから塾までの間に練習しています。
練習の仕方を工夫している?
以前はゆっくりの練習をしていましたが、今は通しの時間を多く設けて、本番と同じような練習をしています。
練習の変化は音楽にも影響していますか?
全体的なドラマはゆっくりの練習だけでも生まれないので、全体を通してやると分かってくることがあります。
好きな教科は?
英語は勉強していて楽しいです。数学など、頭を使う教科が好きです。
<優秀賞>桑原志織さん・高3
優秀賞のご感想
優秀賞をいただいて、とても光栄に思っています。福田靖子先生の名に恥じないよう、これからも一層努力していきたいと思います。
選曲に関して
今年の春頃から学校の実技試験用にラフマニノフのソナタを練習していてこの曲が大好きになり、選考会でもぜひ弾かせて頂きたいと思いました。師事している伊藤先生と相談して、それとは全く雰囲気の違うリスト『小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ』を組み合わせました。タイトルの情景が目に浮かんでくるようで大好きな曲です。
練習以外で勉強したことは?
ラフマニノフに関する本を色々読みました。一柳富美子著『ラフマニノフ』、ニコライ・バジャーノフ著・小林久枝訳『伝記 ラフマニノフ』、ユリイカの『特集 ラフマニノフ』など。リストの『伝説』を弾くにあったっては、聖書をよんだり、一昨年ヤマハ銀座で聴講した渡邊健二先生の「リスト生誕200年記念講座」が大変興味深かったので、その資料を読み返したりしてイメージを広げました。
レッスンで印象に残っている言葉は
オホラ先生にショパンのソナタ第3番第4楽章をみて頂いた時、アジタートをテンポではなく和声感で作っていくアドバイスを受けて、とても感銘を受けました。
好きなピアニスト
沢山いますが、特にホロヴィッツとアルゲリッチ、師匠の伊藤恵先生です。
好きな教科
音楽教科では聴音の授業、普通教科では数学、理科、古文です。
次の目標は?
ラフマニノフのコンチェルトをオーケストラと共演できたら嬉しいです。
<奨励賞>小林海都さん・高3
選曲について
シューマンの交響的練習曲は、中3の時に人前で弾いたり、何回かにわたってじっくり取り組んできた曲です。それだけ内容があって難しいけれどやりがいがあります。
以前とは取り組み方が変わりましたか?
中学生時代はまだ自分自身でまとめきれる力がない部分もあり、先生のお力を借りることが多かったです。今回は3年おいて色々な面で成長したので、自分なりにもっと表情豊かにしたいなど積極性が出てきたかなと思います。
スクリャービン『炎に向かって』を組み合わせた理由は?
ドイツ的なしっかりとした音楽の後に、全く異なる音質や音響的な効果でありながらオーケストラ的な響きを探求したという点で、2つの対照的な曲を組み合わせました。
次の目標は?
コンクールが一段落したので、新たにレパートリーを増やしていきたいです。少し集中して勉強する時間を取りたいと思っています。
音楽以外で好きな教科は?
体育、特に卓球、バレーボール、バトミントンが好きです。球を打つのが気分転換になります。
憧れのピアニストは?
巨匠と言われるアラウやルービンシュタインなど、一世代前の演奏に惹かれます。でも若い演奏家の中でもポーランドのアンデルジェフスキさんは、演奏会に行った時、並大抵ではない研ぎ澄まされたこだわりや、会場の空気を自分の世界にする凄さを目の当たりにして、それ以来魅力に感じています。
<奨励賞>東海林茉奈さん・高2
選曲について
全て自分の弾きたい曲で組みました。
新しい曲想への取り組みは?
デュティーユのソナタはあまり挑戦したことがなかったです。フランス音楽も今まであまり弾いたことがなかったですが、これは面白い曲だなと思いました。プロコフィエフのトッカータも初めてでした。でもショパンが一番難しかったです。感情が襞のように変わるのを表現して伝えるのが難しいと思いました。
今回練習以外で勉強したことは?
『ショパンの響き』(ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル 著)という分厚い本を読みました。
好きなピアニストは?
ラファウ・ブレハッチと上原彩子さんが好きです。
普段の過ごし方は?
普通高校の音楽科に通っています。平日は学校の宿題は家で済ませるようにして、あとはテスト前に集中して勉強します。帰宅してから疲れて寝ることもあるので、遅い時間から練習することもあります。休日は朝ごはんを食べてゆっくりしてからピアノに向かいます。
杉本沙織さん・高2
選曲について
『コレルリの主題による変奏曲』は本番で弾きたくて選びました。ドビュッシーのエチュード『反復音のための』は凄く好きなので、楽しんで息抜きで弾けたらと選びました。
コレルリ変奏曲はどんなイメージを?
色々なCDを聴いたのですが、ロシアの風景が浮かんできました。そこでロシアの暗いイメージや森の中を思い浮かべようと試みたのですが、ペトルシャンスキー先生から「自分は欲しくてたまらないけど手に入らなくて苦しんでいる」イメージを提案され、それに変えようと思いましたが難しかったです。
同じような心境になったことは?
今日のようなステージで弾くと、もっと綺麗に響く音が欲しいけれどなかなか出せない・・と思います。
大曲を選ぶことが多い?
いつもは小品が多いので、コレルリに挑戦しようと思いました。1年くらい勉強しています。
普段の過ごし方は?
ピアノを優先させたいのですが、音楽高校ではないので勉強も多いです。教科は生物が好きです。
憧れのピアニストは?
ラファウ・ブレハッチと先輩の田村響さんです。
尾城杏奈さん・高1
選曲について
小さい頃から憧れていたショパンのソナタ第3番を弾きました。スクリャービンのエチュード2曲(Op.42-3,42-4)は4分くらいの短い曲ということで選びました。
3人の先生にレッスンを受けて一番心に響いたアドバイスは
オホラ先生が仰っていた「よく耳で聴いて下さい」です。
練習以外で勉強したこと
色々な音源を聴きました。あと中学生の頃に演奏会で聴いたルーカス・ゲニューシャスさんのソナタ3番が良かったです。
ピアノ以外で好きな教科は
体育です。
普段の過ごし方
朝6時の電車に乗って1時間半かけて学校に早く行き、1時間くらいピアノ練習してから授業を受け、帰宅後にまた練習しています。
尾崎未空さん・高3
選曲について
ベルクのソナタに興味があって勉強したいと思い、それを最初に決めました。構造が複雑な曲だけど楽譜を見ていると面白くて取り組んでみたいと思いました。あとはプログラムの中で変化が出せるように、メンデルスゾーン=ラフマニノフのスケルツォ等を入れて自分も聴いている方も楽しめるようにしました。
ベルクを弾くための勉強は?
他のベルクの作品を聞いたり、オペラを観たり、ベルクについて調べたり、その時の社会状況を調べたり、先生が話をしてくださったりする中でイメージを膨らませていきました。
レッスンで特に心に響いたアドバイスは?
沢山のアドバイスを頂いたのですが、オホラ先生の「ディナーミクは繊細にやっているけれど、テンポなど他のことも全て同じレベルで考えなくてはいけない」ですね。
普段の練習は?
学校がある日でも練習を優先してはいますが、だらだらしないである程度の時間の中できちっとできるように気を付けたいなと。それぞれ集中した時間を作ることに専念しています。
2年前と比べて勉強の仕方は変わりましたか?
大人っぽくなったねと言われることも多くなって、大人の演奏に近づいていく時期だなと思っています。
憧れのピアニストは?
昨年ハワイのアロハ国際ピアノフェスティバルでケヴィン・ケナー先生の演奏を聴いた時、何層にもわたって色々な音が出ていて、弾いたことない曲だけど惹きこまれていきました。自分もそのようなアプローチをしたいと思いました。
平間今日志郎さん・高1
選曲、プログラムの流れについて
スクリャービン『幻想曲』は必ず弾きたいと思いがありました。これが派手な曲なので、最初は明るくて長すぎない曲をとバッハ平均律から長調の曲を選び、そこで重さを軽減して、ベートーヴェン『告別』へという流れにしました。これはCDで初めて聴いた時から憧れていた曲です。ベートーヴェンのソナタは今まで5曲くらい弾きました。
レッスンで印象に残ったアドバイスは?
どの先生も細かく教えて下さったのですが、ペトルシャンスキー先生に「スクリャービン(の演奏)は精神面がまだなっていない」と言われました。心には残っています。
今後自分なりにどう取り組んでいきたいですか?
もっとスクリャービンの作品を聴いたり、巨匠と言われるピアニストの演奏を聴けば、もっとわかるかなと思いました。
音楽以外の教科は?
数学が好きです。
普段の過ごし方
ピアノ以外では、ゲームをしたり、色々息抜きしながら過ごしています。
中村優似さん・高3
邦人曲『ムジカ・ナラ』を選んだ理由は?
海外の先生方に見て頂ける機会なので、日本の良さをアピールできる機会になればと選びました。わらべ歌のような感じなど、日本人の私だからこそ表現できることが詰まっている曲だと思いました。ワーグナー=リスト『イゾルデの愛の死』は、以前ワーグナーの歌曲を伴奏させて頂く機会があり、その時にワーグナーを気に入ったのがきっかけです。
練習以外ではどのような勉強を?
歌劇『トリスタンとイゾルデ』のDVDで観たり、スコットランドについて調べたり、作曲の背景を勉強しました。
レッスンで印象に残ったアドバイスは?
メンデルスゾーンの幻想曲は、スコットランドの景色や気候を知っているオホラ先生に詳しく教えて頂いたので、風が吹く感じなど、具体的なアドバイスが参考になりました。
普段の過ごし方
普通の私立高校に通っています。私の学校は野球やサッカーが盛んでピアノを弾くことも応援してくれています。勉強は最低限やってピアノがきちんと取り組めるように配慮しています。学校では合唱コンクールの伴奏を進んでやったり、音楽の授業で自由に発表できる時間があったので、ピアノを弾いたことがあります。
好きな教科は?
地理が好きです。
これまで行ったことのある国は?
韓国、ドイツ、カナダ、カザフスタンに行きました。カナダ以外はコンクールです。授業日数が足りている限り、学校側も応援してくれます。
憧れのピアニストは?
ツィメルマンが細かいところまで気を配っていて、抒情的であったり、音が綺麗であったり、研究しつくされているのが好きでコンサートにもよく行っています。
次の目標は?
まだ勉強していない作曲家や大きめの曲、協奏曲はラフマニノフ1番を弾いてみたいです。
【3】審査員インタビュー
3名の審査員に、福田靖子賞選考会の印象や本国での音楽教育などについてお伺いしました。
●ロナン・オホラ先生(英・ギルドホール音楽演劇学校教授)
先生のレッスンでは音楽の「文脈」「物語」を見つけるように、というアドバイスが多く聞かれました。英国の音楽教育ではやはりその点を重視していますでしょうか。
英国が特別というわけではないと思いますが、確かに文脈を重視する傾向はあるかもしれませんね。でも大事なのはバランスです。まずテクニックなど身体面を鍛える時間が必要ですし、一方では偉大な芸術作品に向き合うために、作曲家が何を考えて曲を書いたのかを考える必要があります。英国では一般的に後者を重視する傾向にあると思いますが、日本でも同じような意識があると感じました。あと日本の皆さんはしっかり練習していますね。他の国では優れた音楽的な考えを持っているのに、きちんと練習せずに十分表現しきれていないケースも見受けられます。やはり大事なのは指の鍛練と想像力のバランスだと思います。これはどの国でも若いピアニストの課題と言えますね。例えばベートーヴェンのピアノ・ソナタを弾く時は交響曲を、モーツァルトは歌劇を聴くこと。ベートーヴェンは音楽を書いていたわけで、ピアノに限定して書こうとしたわけではありません。ピアノは独奏なので、室内楽奏者のように常に誰かと意見を交わせるわけではありません。ですから自分を律して、いつでも良い問いかけができるようにしておくとよいですね。
オホラ先生が教授を務めているギルドホール音楽演劇学校は、英国屈指の芸術複合施設バービカンセンターの隣にありますね。日々コンサートが行われていると思いますが、学生の皆さんに演奏会に行くように勧めていますか、それとも皆さんは自主的に足を運んでいますか? 「聴く」ことに関してはどのような状況にありますでしょうか。
録音を聴くのもいいですが、ライブの演奏会も聴くべきですね。学生にはそのように伝えています。パフォーマンスとは、コミュニケーションです。どうやって聴衆に聴いてもらうのか。優れた芸術家とは速く上手く弾けるということではなく、素晴らしい想像力をもち、聴衆を惹きつけ、心を強く揺さぶることができる人です。それがたとえ「嫌い」という感情でも、何らかの強い印象が残せるということなんですね。そして音楽だけでなく、他の芸術を知ることも大事です。美術を見ること、文学を読むこと、演劇を観ること。俳優もパフォーマンスの質を高めるために、どうコミュニケーションをとるのかという勉強を重ねています。パフォーマンスに携わる立場として、音楽家にも同じことが言えると思います。
ギルドホールには演劇科もありますね。音楽科とコラボレーションする機会はあるのでしょうか?
ええ。1年次の必修科目として協同プロジェクトがあります。コラボレーションすることで、学生同志がお互いに知り合い、相手の学科がどのように学んでいるのかを知ってもらいます。演劇科は身体を極限まで使うことや、個人ではなく団体で作業するなどの特徴があります。リハーサルの仕方も違います。最初から完璧を目指すのではなく、まずは役柄の感情を知るところから始め、リハーサルを重ねるうちに完成に近づけていきます。ですから最初は台本すら覚えないこともあるんです。一つのやり方に固執しているとそこから抜け出せなくなる可能性もあるからです。変えることができる柔軟性を持つことも大事です。人生も音楽も、変化を繰り返すことで進展していくものですから。
●ボリス・ペトルシャンスキー先生(伊・イモラ国際ピアノアカデミー教授)
まず福田靖子賞選考会のご感想をお願いいたします。2日間のレッスンと演奏会を審査されて、どのような印象をお持ちになりましたか?
子どもたちがとてもよく準備されていたのがまず驚きでした。情熱をもって練習をしていることが分かりました。技術的な点に関しては何の問題もなく仕上がっていたと思います。きっと長い時間をかけて準備されてきたことでしょう。普通大きなミスがあってもおかしくないですが、そういったことを誰からも感じることはありませんでした。それはポジティブな側面です。一方、それだけよく準備するということは、芸術的な観点から言うと、もしかしたら音楽家としての自由さを若干妨げているのかもしれません。私たちが賞の対象として選んだ方々はそういった枠を超えた、良い意味で衝動的かつ芸術的な面を持つところに可能性を見出しました。
もう一つ興味深く拝見したのは、ピアニストとして自分が思う通りに表現するために、自分の持っているピアニズムをどう使っているかということです。今回受賞された方々は、ピアノを表面的でなく鍵盤の底まで使って表現している、つまりピアノと深い一体感を持っている方々でした。
実演審査は30分間のステージでしたが、選曲に関してはどのようにお感じになりましたでしょうか。
面白いプログラムだったと思います。個人的な考えからいえば、ソナタは全楽章を弾いてほしかったですね。これは150年以上前の話なのですが、サンクト・ペテルブルグ音楽院試験でソナタの全楽章を弾かなかった学生がいまして、ある教授が「あの楽章は速すぎるんじゃないか」と言ったところ、アントン・ルビンシュタインが「全楽章弾いてないのになぜ速いと分かるのだ」と答えた、というエピソードがあります。全体を聴いて初めてその楽章が速いかそうでないかが分かるということです。ですから福田靖子賞を受賞された方も全楽章を弾いて下されば、もっと鮮やかな印象が与えられたのかなという気はします。デュティーユのソナタは例外で、第3楽章は独立した曲として世界中で弾かれていますが、古典派ソナタはやはり全楽章弾いて頂きたいと思います。
先ほど「(自由さを妨げる)枠を超えた衝動性や芸術性」というお言葉がありましたが、イタリアの10代についてお伺いしたいと思います。彼らのアイデンティティは、例えば音楽に向かう姿勢などに発揮されていますでしょうか?
ケース・バイ・ケースですね。イタリアで学んでいる子が皆個性的とは限りませんが、日本で学んでいる子供たちが標準的であるという傾向はあるかもしれません。それはコンクールでも福田靖子賞選考会でも感じました。でもそれはよく勉強している結果といえるでしょう。ポジティブとネガティブは表裏一体であり、勉強のプロセスとして肯定的な結果だと思いますが、一方で同じような曲を選び、同じような演奏になりがちという傾向はあるかもしれません。私はイタリア人だけでなく、留学生もたくさん教えていますので一言ではいえませんが、イタリアの一般的な傾向としては、あまり練習に時間をかけていないように思います。そして先生をそれほど要求しないし、要求することができないのではと。ただ彼らは非常に個性が強い。そして自分がどんなに臨んでも必ずしも現実化できるとも限らない、という観念も持ち合わせています。でもこの四半世紀ほど卓越したピアニストを輩出していますね。おそらく一番大きな違いというのは、欧米・ロシアも含めてですが、強い個性を持った人がプロフェッショナルに至るのではないでしょうか。一方日本では、素晴らしいテクニックや暗譜力などプロフェッショナルなものを持っている人に個性への道が開けるのではないかと思います。アプローチが逆ですが、最終的には同じところを目指しているのではないでしょうか。我々は生涯をかけて、そのポイントを目指しているのだと思います。
イタリアやロシアでは、音楽を含めた全ての芸術が相互に関連し、そして日常の中にある印象です。日本は西欧から輸入した芸術を学んでいるわけですが、レッスンや演奏を聴いていて、その文化的背景を学んでいるように感じとれましたか?
その人がどれだけ教養があるのかを見抜くのは難しいですね。留学生もイモラ音楽院に来た当初は、プーシキンもラファエロも知らない。ヨーロッパの文化に接しながら徐々に吸収していくのだと思いますが、残念ながらそれでは遅いと感じます。恐らくはそういった知識があるかどうかは演奏に影響してきます。やはり文学を読んでいるか否かによって、曲に対する心理的な深さや理解度が違ってくると思います。例えばプーシキンの『モーツァルトとサリエリ』を読んだことのない人にとっては、読んだことのある人よりモーツァルトを理解するのが難しいかもしれません。
イタリアではどの段階からそのような教養を身につけるのでしょうか?
まず学校の授業で触れる機会があると思います。また音楽を学ぶような知的なご家庭には本もあるでしょうし、小さい時から読書に親しんでいると思います。また子どもを美術館に連れて行ったり。教師もそれを進めていますし、歯を磨くのと同じくらい普通のこととして捉えられていると思います。もちろん理想化したくはありませんし、音楽家といっても色々な方がいると思いますが、このような傾向はあると思います。
●ジェローム・ローズ先生(マネス音楽大学教授)
福田靖子賞選考会2日間のレッスンと演奏会を審査されて、どのような印象をお持ちになりましたか?
大変素晴らしい演奏がいくつもあり、眼を閉じて聴いていると年齢が分からない、実年齢を超えた演奏だったと思います。先生方のご努力にも敬意を表したいと思います。決してお世辞ではなく、コンクールでも靖子賞でも素晴らしい演奏がいくつかあり、これからもぜひ良い勉強とキャリアを続けてほしいと思っています。成長することは、コンクールで勝つことよりも大事なことですから。
音楽を学ぶということは、芸術に携わるということです。コンクールはすでに日本の文化や社会の中に根付いていますね。ですが受賞するということはほんの一瞬の出来事です。もし受賞することが目的になってしまうと、それが達成できなかった時、アーティストになることの本質を見失ってしまうかもしれません。今15~16歳の子が30歳になりコンクールというものが目の前になくなった時、人生はどうなってしまうでしょう?ショパン、チャイコフスキー、エリザベート王妃、リーズ、クライバーン、浜松・・・世界には無数のコンクールがあり皆さんそれを目指して真剣に取り組んでいますが、真剣さも行き過ぎると自らのアイデンティティを壊しかねません。コンクールが、十数名の審査員が、あなたの人生を決めるわけではないのです。よく若い音楽家に言うのですが、あなた自身が自分の審査員なのです。自分の能力や運命を見定め、何を学ぶのか、何を知るべきか、自分の演奏にどう向き合うのか、何を自分の中に育てるのか、そういったことを知れば、他人の評価に惑わされることはありません。
自分自身が審査員、その通りですね。アメリカではそうした自信を高める考え方や教育があるように思います。
この地球上にいる全ての人間は、歴史の産物です。祖父母がいて父母がいて先生がいて友人がいて、国籍があって文化があって、誰もが自分が何者か、この地球のどこに当てはまるのかを模索しています。私が気に入っている言葉の一つに「芸術とはあなたが何をしているのではなく、あなたの生き様そのものなのだ」というのがあります。この世に生を受けてから、あなたは毎日自分自身の伝記を書き綴っているのです。そして10歳か15歳か20歳か、ある時点で自分の過去を振り返り、そこに自分を投影させることによって、自らのアイデンティティを進化させていきます。そして、他者とは違う自分の人生というものを追求していくわけです。だから若い人には教育が必要なのです。日本人は先祖や歴史に対して、とても高い意識をお持ちですね。若い方々もそれをよく知り、学ぶことが大事です。唯一無二のあなた自身なのですから、10数名の審査員が出した結果に人生を左右されることはありません。私はコンクールの意義は、若い音楽家を応援することだと思っています。
【4】10代の才能をさらに伸ばすために~3つのポイント

見応えある高いレベルの競演が繰り広げられた2013年度福田靖子賞選考会。将来ピアニストを目指す精鋭たちが、今後さらに潜在能力を発揮するにはどうしたらよいでしょうか。審査員の先生方のレッスンやインタビュー等から、ポイントを3つ挙げてみました。

(1) 音楽の全体像を知ること
作曲家を囲み、新曲課題についてファイナリスト12名がディスカッション。 (2013エリザベート王妃国際コンクール) 作曲家を囲み、新曲課題についてファイナリスト12名がディスカッション。 (2013エリザベート王妃国際コンクール

今回どの先生方も共通して仰っていたのは、「音楽全体の流れを見極めること」「フレージングをよく考えること」でした。昨今の国際コンクールでも、曲全体を見る力、それを踏まえて楽想を膨らませる力は、大変重視されていると感じています。

音楽には多くの場合文脈が存在しますが、文脈というのは曲全体から導き出されるものです。皆さんが高校で習う国語に置き換えて考えてみましょう。文脈を見出すためには、曲の最初から最後までを見渡した上で(文章を最初から最後まで読む)、フレーズ(一文)はどこまでか、それがどう連なっていくのか、ディナーミクはどうか(語調)、和声はどう変化しているのか(文のニュアンス)、調性の変化(段落と段落の関連性)などを見ていきます。

「言葉の意味は、部分的には辞書的に決まりますが、最終的には文脈の中で決まるものです。(中略)文章が全体として一つのメッセージを伝達するためには、一文一文を独立したものと考えず、それぞれが意味的に関連したものとして紡ぎ続ける読み手の努力も不可欠です。意味というものは存在するものではありません、読み手の努力で見出すものなのです。」(石黒圭著『「読む」技術~速読・精読・味読の力をつける』より)

音一つにしても、それが全体の中でどのような意味を持つのかによって、音量、音質、音色、音の深さ、鋭さ、方向性などが変わります。強弱のつけ方も、どこからどこまでを山と捉えるか、例えばp(ピアノ)からf(フォルテ)といったディナーミクの変化が、2小節なのか、4小節なのか、10小節に渡るのかでも変わります。また音楽の頂点が常に強勢等にあるわけでなく、ppなど静けさの中に内的衝動の高まりが極限に達することもあります。高らかに情熱的に心情を訴えかけるだけでなく、物語の核心となる秘密を小声でそっと打ち明ける、心の痛みを静かに伝える、という状況にも大変な緊張感があります。

音楽は抽象的な世界だけに、解釈を深めるのには想像力が必要になります。抜群のテクニックや音楽用語などの基礎知識をもつ皆さんにとって、「楽譜をいかに読み解くか」という段階への準備は十分整っているでしょう。

ちなみにロナン・オホラ先生が教授を務めるギルドホール音楽演劇学校の初見クラスでは、2~3分位の曲を20分間で暗譜してから弾くという課題があるそうです。間違えずに弾くことが目的ではなく、いかに全体の流れを把握するかの訓練になるとのこと。ぜひ一度トライしてみてはいかがでしょうか。

(2) 曲の背景を知ること

ボンにあるベートーヴェンの生家

ベートーヴェンの胸像を見ながら演奏するリスト。
傍らにはパガニーニ、ロッシーニ、サンド、バイロン等の姿まで描き込んである。

「この曲はあの文学(または美術)の影響を受けている」という例がよくあります。ベートーヴェンやショパンなどの大作曲家も、先達の作品に触れたり、同時代の芸術家・知識人との交友の中で生きていたわけで、その中から少なからず影響を受けていたことは想像に難くありません。またたとえばバロック、ロマン主義(ロマン派)、新古典主義、印象派のように、文学、建築、美術界を席巻していたある芸術思潮が、音楽にも影響を与えるということはよくありました。ペトルシャンスキー先生は、作曲家が影響を受けた文学なり美術を知っているかどうかは、「曲に対する心理的な深さや理解度が違う」と仰います。先生の門下であるフェデリコ・コッリさん(2012年度リーズ国際コンクール優勝、2010年度モーツァルト国際コンクール優勝)はかつてモーツァルト国際コンクールを受けるにあたり、モーツァルトの歌劇を全て観て、台本も原語で読み、台詞の感情表現が音楽とどう関連しているのかを勉強したそうです。

また今回ローズ先生やオホラ先生のレッスンでは、当時の楽器構造から奏法を考えたり、オーケストラの楽器になぞらえて音色を膨らませるという場面がありました。またアイロニー(皮肉)やユーモアなどの表現も出てきましたが、作曲家自身の思想や作曲語法の特徴、当時の社会背景などの知識も助けになるでしょう。前掲のギルドホール音楽演劇学校では、推薦図書リストを学生に渡しているそうです(ハインリヒ・ノイハウスの著書がよく推薦されているそうです)。研究書の他、作曲家自身の書簡集なども大いに参考になるでしょう。

「なぜ?」「もっと知りたい」という好奇心が、自分の解釈を深めてくれます。今は様々な文献をインターネットで調べたり質問できる時代ですから、そうした好奇心にどんどん応えてくれる環境になっています。特に次世代は「情報化時代から知識創造時代へのシフト」と言われています(神田昌典著『2022―これから10年、活躍できる人の条件』)。新しい社会環境を生かせるとよいですね。


先輩もどんどん海外へ!2009年度福田靖子賞の阪田知樹さん(コモ湖アカデミー

2009年度優秀賞の中村芙悠子さん(ベルギー・室内楽フェスティバル
(3)海外を視野に入れること
(ア) 外国語を学ぶこと

福福田靖子賞の目的は、海外で音楽経験を積むことにあります。特に今回は表彰式において、参加者9名全員を福田靖子財団の奨学生として、海外渡航やマスタークラスのサポートをすることが発表されました。英語を始めとする外国語は、コミュニケーションツールとしてますます重要になるでしょう。またグローバル化が進み、将来の活躍の場が海外へ広がる可能性も増えてきています。ここで外国語の勉強法を2つご紹介しましょう。
一つはシャドーイングという方法で、5~10分くらいのネイティブのスピーチなどを聴きながら、同時に口で繰り返します。単なるリスニングではなく、影(シャドウ)のように耳と口を連動させることで、英語のフレーズやイディオム、リズム・発音・イントネーション・スピード感なども自然に体験できます。教材にはクラシック音楽のウェブラジオ(英クラシックFM米PRI)やTED等を利用してもいいですね。
もう一つはQ&Aで、ある質問に対して1~2分の文章(できる方はもう少し長く)を暗記して返答します。文章は日常の出来事や興味ある分野など何でもよいですが、1問1答ではなく、1段落にするのがポイントです。※これはあるアジア系の小学生が、欧州の観光列車内で行っていたトレーニング法でした。

(イ) 様々な音楽観の中で、切磋琢磨すること

様々な音楽性や芸術観を持つピアニストの卵が集まる場に身を置くのは、大変勉強になります。国際コンクールもその一つです。将来目指している方はこちらもご参考下さい。
ジュニア国際コンクールの今
国際コンクールの今

(ウ) 世界にいる同世代と接点をもつこと

世界中で開催されている音楽祭にも10代学生のためのプログラムがあり、様々な音楽体験が得られます。参考記事はこちらへ。

一流アーティストとの交流やアルバイト体験も(アメリカ)
ミケランジェリに愛した土地でピアノを研鑽(イタリア)
2週間で室内楽6曲に挑戦!(ベルギー)
1週間生オケで協奏曲を学ぶアカデミー(ポーランド)

取材・文◎菅野恵理子
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