【実施レポ】音楽総合力UPワークショップ2018 第7回 吉田秀先生

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2018/11/29
音楽総合力UPワークショップ2018 音楽総合力UPワークショップ2017
実施レポート
レポート:村上美紗子先生
  • 7
  • 吉田秀先生 (コントラバス奏者)(2018年11月15日(水):開催)
  • 音楽を支える「低音」の世界
「コントラバスで旋律を操る」

体全体で抱えるように演奏されるコントラバス。全長約180センチ、重さ15キロ程のどっしりとした見た目に似合う重低音。空気の振動を感じさせ、体の奥まで共鳴するその響きは、包み込まれるようでとても心地よいのです。

第7回のワークショップはNHK交響楽団の首席コントラバス奏者である吉田秀先生から、実際の演奏を用いながら低音の世界のお話を聞かせていただきました。前回の室内楽をテーマにしたワークショップでも弦の話題がでていましたが、今回は目の前で奏法を見ることが出来たので、より明確な理解がえられました。

コントラバスについて

オーケストラの中で最も低い音域を担当するコントラバス。旋律を支えるベース部分なので音の動きは少なめです。コントラバスの楽譜だけでは、どんな音楽になっているのかがわからないため、どのように演奏していくかは周りと一緒に演奏しながら見えてくるのだそうです。

「間」をつくる

コントラバスでは、弦を押さえている左手が上下に大きくスライドする動きを見かけます。ヴァイオリンなど高い音域の楽器に比べて、音と音の間に距離があるので、跳躍には時間がかかるのです。ここに「間」が生まれます。

「間」があることで人間の呼吸を感じさせ、音楽を機械的なものから生き生きとしたものに変えます。「間」がないと息苦しく感じたり、ありすぎると活力がなくなってしまいます。

ピアノ演奏の際、距離があるのに飛び込んでしまうことがありますが、コントラバスの立場で考えるとそれは不可能なのです。ピアノはオーケストラの高音から低音パートまでの幅広い音域を持つので、隣の音の鍵盤は指一つ分の位置にあり、コントラバスのように移動の時間はかかりません。ピアノ奏者が調度良い「間」を取るには感覚とセンスを養わなくてはなりません。

オーケストラでは「間」による一瞬の静寂の後は、高音パートは先に飛び出さず、低音パートから動きます。頃合いのよい「間」をとって、次へと誘導するのはコントラバスの役目です。

前へ前へと進める

どんどん前へ行きたい部分では、旋律を担当する高音パートから動きそうな気がしますが、ここでも低音パートのコントラバスが引っ張ります。

「コントラバスのアプローチで旋律が変わっていく。そんな曲作りの部分に参加出来るのがコントラバスの醍醐味なのだ。」と先生はおっしゃいます。

ピアノ曲のベースに焦点を当てる

ここで私達にとって身近であるブルグミュラー25の練習曲とソナチネを題材に、ピアノの部分は楽譜のままで、バス部分にコントラバスを重ねた演奏を聴きました。

コントラバスと共にベースを弾いていただいて、自然な間合いを感じました。また浮き出たベースラインでは、日頃の自分の演奏や生徒の指導と同じ方向性が目の前で具体化されるようでした。しかし、弦の響きの継続性やデュナーミク、四分音符の弾き方一つにしても、ピアノとは印象が違います。弦を軽快にはじいたり、勢いをつけて弓のスピードを変えたりして、色々な表情を出すのです。

ベースラインの表情の変化や動きに合わせて、旋律の弾き方も変わっていきます。旋律の歌い方にはバスが大きく関わっていると感じました。

最後にグリエールのインテルメッツォとタランテラの生演奏を聴きました。コントラバスのために書かれたこの曲は、その普段のイメージを覆すものでした。

インテルメッツォは男性が歌っているかのような表情豊かな響きが美しく、タランテラは弓を押さえる指がまるで蜘蛛のように動き回り、力強く跳躍します。コントラバスでこんなに細かく素早い動きが出来るのかと驚かされました。普段はオーケストラを静かに支えているコントラバスが、堂々とメロディックなラインを奏でている姿はとても格好よく素敵でした。

低音パートに焦点を当てた今回のワークショップを終えて、一人オーケストラと言われるピアノが、改めて気を配らなくてはならないことの多さを実感しました。オーケストラにある多数の楽器の音色や奏法を理解していくことは、私達ピアノ奏者の音色のバリエーションを豊富にするでしょう。

美しいハーモニーを作るにはそれぞれのパートの存在が必要です。旋律だけにとらわれず、その支えとなっているパートの役割に目を向けて様々なアプローチをすることで、今までと違った表情を見ることが出来るようになるでしょう。

受講生インタビュー
ゑ川史子先生

私自身も連弾でオーケストラの曲を弾くのですが、これまでぼんやりしていたイメージがはっきりしました。ベースからの音楽の作り方を見られて、演奏中の自分の立ち位置の決め方などの参考になりました。最後に聴いた演奏も素晴らしかったです。


こちらの講座は「音楽総合力UPワークショップ2018」のeラーニングコースでご覧いただけます。eラーニングコースは随時受け入れており、途中からでも2017年度すべての講座のご視聴が可能です!

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