【実施レポ】ピアノ教本、かしこく選ぼう 第3回 ブルクミュラーへの移行(山本美芽先生)

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2016/02/25
ピアノ教本、かしこく選ぼう 第3回 ブルクミュラーへの移行
文・加藤千里(ピアノ講師)

日程:2016年2月18日
会場:カワイ横浜店

横浜カワイで行われた山本美芽先生のセミナー「ピアノ教本、かしこく選ぼう」へ、第2回に続いて第3回に行ってきました。
とても現実味のある内容で、テンポのいいお話にも引き込まれ、途中ピアノ教室あるあるなど共感できる場面や、グループで曲例を弾きあい検証しあう時間も設けられ、充実したあっという間の2時間でした。

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何年か前までは、バイエルが終わったらブルグミュラー、というのが定番中の定番でしたが、今の時代は、様々な導入テキストが溢れるほどあり、方向性も違うものがあったり、選択肢がたくさんある分、悩みも増えました。共通しているのは、たいていの導入教本は、終えるとブルグミュラーレベルへ進むようになっていることです。
先生が事前にアンケートで実際の現場の先生方の声をまとめていてくださり、どの教本のどの辺でブルグミュラーに切り替えることが多いか、シリーズを全部終わってからが良いのか、併用が良いのか、入る前にどういう準備をしたら良いのか、等を、実際によく使われる4冊の教本から具体的に上げられました。

それから、グループに分かれ、それぞれ別の部屋でピアノで弾きながら、意見を出し合い、考えました。こういう時間は他のセミナーではなかなかなくて、講義を聞いているだけよりも、活動することで、はじめてお会いする先生方の前で初見でピアノを弾くドキドキ感もプラスして、とても印象に残ります。他の先生方のご意見も参考になりました。
検証の結果、やはり定番のバイエルが最強だという結論がでました。つまり、ブルグミュラーは、ある程度の読譜力、技術、練習する自主性、根気などを備えていないと弾けない、ということです。常々頼ってしまう、楽しさや弾きやすさを重視した教本では、そのままでは進めないということがわかりました。しかし、今のピアノ教育はその楽しさ、親しみやすさも不可欠、それならば、ブルグミュラーを弾くための準備として、スケールや指練習などをうまく取り入れながらレッスンしていくことが必要なんだということに達しました。
私はそこまで考えずに教本通りに進めていたことが多いので、実際のレッスンですぐにでもやらなくちゃと思うことばかりで、とても勉強になりました。

最後に先生のおっしゃった問題は、そもそもブルグミュラーに進むことだけを目標にして良いのか?ということ。憧れのショパン、リストにつなげるためには、やはり古典を勉強するのが一番だとは思いますが、古典以外の曲も導入教本では勉強してきたのに、ここで1期だけになってしまっていいのか、では古典でなければ何の教材があるのか?そう言われてみると、意外とこのレベルの教材が薄い感じがします。今度はぜひその辺の問題も勉強する機会があるといいなと思いました。
素晴らしいお話と楽しくよい経験をさせていただき、ありがとうございました。

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山本美芽

や まもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめ る。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。
『ムジカノーヴァ』『ジャズジャパン』等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友 社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続け、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接 取材した経験を持つ。中村菊子、呉暁、樹原涼子などピアノ教本の著者・訳者からは厚い信頼を得ている。2006年~2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。
帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。ピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。
2015年には「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを関東・関西・北陸など全国で行っている。あわせて指導者向けのブログライティング個人レッスンやセミナー、「21世紀へのチェルニー」なども開催中。
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加藤千里

武蔵野音楽大学音楽教育学科ピアノ専攻卒。 在学中、言語リズムや身体運動をもとにした音楽教育法を学び、モーツァルテウム、オルフ研究所夏期講習会に参加。 ピアノ、エレクトーンヤマハグレード4級取得。 PTNA全日本ピアノ指導者協会会員。 声楽や器楽の伴奏、バレエレッスンピアニスト、など演奏活動の他、幼稚園ピアノ教室にて導入期の教育、後進の指導にもあたる。


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