今月、この曲

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きらきら星をオシャレに! ミュージックトレード社『Musician』2014年8月号 掲載コラム

 皆さんは夏休みの思い出というと、どのようなことを思い出しますか? 今月ご紹介する「きらきら星」を聴いた時、私は中学生の夏休みに長野県白馬村を訪れた夜、まるで星降るような満天の星空!! 地球はまるい!! と感動したことが、鮮やかに思い出されました。誰もが口ずさむことができる「きらきら星」のメロディーは、色々なテキストに使用されていますし、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」は、発表会で演奏された思い出がある方もいらっしゃることでしょう。
 モーツァルトはフランスで流行していたシャンソンの恋の歌(Ah,vousdirai-je,Maman)をピアノ変奏曲に作曲しました。その後、イギリスの詩人による替え歌"Twinkle,twinklelittlestar"が童謡として世界中に広まり愛唱されるようになったため、日本では「きらきら星変奏曲」と呼ばれることがポピュラーです。
 さて、轟千尋編「きらきら星」は、主題と5つの変奏からなる連弾曲です。モーツァルトの変奏曲とは、また違ったハーモニーが楽しめます。シンプルに主題が始まり、夜空に次々に星座が姿を現し輝くように、オシャレな変奏が続きます。第3変奏は編曲者が「ショスタコーヴィチ風」と話されていたように、緊張を伴う宇宙の異空間へ私達を連れて行ってくれる感じです。そして一度静まり、壮大な夜空に満天の星が輝くようなイメージの中で終わります。小さい生徒さん達だけでなく、大人もまた一味違った雰囲気を表現できる曲と思います。楽譜の中から、素敵な響のオシャレ和音を見つける事も楽しいことです。
 夏休みのレッスンに連弾を取り入れたり、発表会にもお薦めです。呼吸を合わせお互いの音を良く聴き合い、バランスやタッチを皆でコミュニケーションして、1つの音楽を作るアンサンブル体験は、ソロの演奏にも応用していけます。また、2人4手の楽譜を、3人4手、4人4手等アイディア次第でより豊かなアンサンブル体験が楽しめると思います。まずは、チャレンジしてみてはいかがでしょうか!

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