今月、この曲

22
ケルティック・ウーマン
『You Raise Me Up』
ミュージックトレード社『Musician』2012年6月号 掲載コラム

 先月は、カトリック教会では「聖母月」と言うことで、カッチーニのアベマリアをおすすめの1曲としましたが、今月は、ジューンブライド(June bride)。欧米では6月に結婚した花嫁たちは生涯幸せな結婚生活ができるという昔からの言い伝えがあり、数多くの女性たちにとって憧れの結婚月でもあります。これはギリシャ神話のヘラ(ローマ名ではユノ、英語ではJuno、June/6月)という女神の加護を受けられると言うのが由来です。
 コンサートでも勿論ですが、結婚式でも頼まれて演奏する機会の多い、大変人気の高い曲「You Raise Me Up」をご紹介しましょう。トリノオリンピック女子フィギュア金メダリストの荒川静香選手がエキシビジョンで使用し、更に有名になりました。
 ピアノソロでも良いですが、ピアノ弾き語りでも是非チャレンジしてみましょう。イントロは、素朴に民族的な音色を感じつつ、自由なテンポで弾きましょう。メロディが入って来ましたら、左手の4分音符は正確に刻みましょう。歌が始まるところは夜が白々とゆっくり明けていくように、想いは内に秘めてじわじわと感動が遠くからやってくるように演奏してみましょう。内声は控えめに、しかし和音の色を感じて。ピアノソロでは、メロディラインはくっきりと。弾き語りでは、ピアノのメロディは控えめに歌とのバランスを保ちましょう。この場合は楽譜にコードネームが書かれていますので、コードで気楽に弾き語りも良いでしょう。1番から2番にかけて調が変わったらクライマックスに突入し骨太の音楽を感じてエネルギーが体の底から湧き上がるように堂々と弾きましょう。
 「落ち込んで、心が疲れている時、あなたが支えてくれるから、私は山の頂に立てる。私は嵐の海も歩いていける、私は強くなれる、あなたが支えてくれるから。私はいつも以上に頑張れるの」
 歌詞も生きる勇気と希望を与えてくれ、新たな生活を決心し、一歩踏み出せるような新しい門出にふさわしい内容です。この6月も教え子が結婚しますのでこの曲を演奏します。

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