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~出演者 水野 賢司さん(バリトン)にインタビュー~
水野賢司さん
御邊 典一さん
きっかけは「音楽高校に入りたかった」から。実は僕は作曲家になりたかったんですよ。広島の田舎に作曲を教えてくれる先生なんていなくて。それで歌だったら今からでもなんとか間に合うだろうって(笑)無事に音楽高校に入学後も、ちょっと先生に褒めていただいたことや、面倒臭がりな性格もあって作曲は自己流でするところに留まり、作曲科に変わらずにそのまま歌を続けているというわけです!
やはり日本人ですから日本語が一番感情も入ってきますし、想いを伝えやすいですね。実は自分で詞を書いて作曲をしてもらっている作品も多いんです!作詞をすることになったきっかけは、自分がコンサートをしようと思ったときに詞を探していたことがあったんですが、思っていたものが無かったんです。そしたら、ある尊敬する先生に「じゃあ自分で作れば?」って言われたのがきっかけで、もう30年くらいやってますね(笑)
有名なオペラアリアや歌曲に加えて、『犬のおまわりさん』などの童謡の作曲者として知られている大中恩先生の作品も何曲か歌う予定です。大中先生とは友人を介して出逢い、大中先生が「ちょっと面白い曲を歌ってみてくれない?」と面白がって言ってくださって、随分たくさんの作品を歌わせていただきました。今回演奏する『ところがトッコちゃん』と『タンクまんたん』は、あの『サッちゃん』の作詞を手掛けている阪田寛夫さん(大中先生とは従兄同士なんですよ!)が作詞していて、ユニークなタイトルどおり、子供っぽいかわいらしい歌になっています。
もう十数年一緒に演奏しています。彼と一緒にステージに立つと安心感があるというか、気持ちも音楽的にも委ねられるんですよね。何があってもフォローしてくれますし(笑)
クラシックのコンサートって堅苦しいイメージを持っている人が多いと思うんですけど(逆にその堅苦しさがいい!と思っている人もいるかもしれませんが)、僕の場合は何でも楽しんで聴いていただきたいと思って歌っていますので、皆さん会場に足を運んでくださりましたら嬉しいです。
日時:2012.1.12(木)10:30~
水野 賢司(バリトン)/御邊 典一 (ピアノ)
♪ シューベルト:"菩提樹" "魔王"
♪ カルディッロ:カタリ
♪ 大中恩:「ところがトッコちゃん」「タンクまんたん」
♪ ビゼー:歌劇「カルメン」より "闘牛士の歌"
♪ レハール:メリーウィドゥワルツ(ピアノ独奏)
♪ 他
~岡崎ゆみさん(ピアニスト)にインタビュー~
何かきっかけがあったのでしょうか?
岡崎ゆみさん(ピアノ)
私はハンガリーのリスト音楽院でピアノを学んでいたとき、当時決して豊かではなかったブダペストの市民が、夜になるとおしゃれをしてコンサートに出かけていました。ブダペストでは日本円で100円ほどで良い演奏が聴けたんです。
ところがバブルの絶頂に日本に戻ると、クラシック音楽のコンサートに出かける人はほとんどいませんでした。そのとき、「普段、聴かない人にクラシック音楽に触れてもらう活動をしよう」と決心したのです。
最初は演奏の合間におしゃべりをするコンサートを始めました。今でこそ珍しくありませんが、20数年前の日本では、演奏家が聴衆に語りかけるコンサートはほとんどなく、やっていたのは指揮者の山本直純さんくらいでしたね。
そんな演奏活動をして数年がたち、私も結婚、妊娠という経験をし知ったのは、お母さんと乳幼児が一緒に出かけられる文化的なイベントが少ないということでした。あるのは怪獣ショーや体操教室くらいで(笑)。
それで98年に始めたのが乳幼児も入場OKのコンサートでした。
大勢の赤ちゃんを1時間も引きつけるのはとても難しいです。行進曲で子供たちに手拍子や足踏みをしてもらったり、ワルツでスイングしてもらったりと、かなり試行錯誤しました。それに日本人は一般的にワルツが苦手なので、乳幼児に3表紙を感じてもらうのは、私なりの「日本人の国際化」でもありました。そんな活動を通して、音楽の大きな力を感じましたね。
アニメソングや童謡などを演奏する公演も多い中、私はクラシックと古典的ミュージカルやカンツォーネまで、という枠を守るようにしています。息子の音楽の教科書を見せてもらうと、近年のヒット曲がたくさん載っていてクラシックが減っています。だから私は聴く機会を作り、クラシックをもっと気軽に聴いて欲しいんです。本格的なコンサートホールを会場にして、親子に華やかな音楽体験をしてもらうことに意義を感じています。シャンデリアが飾られたロビーに100~200台のベビーカーが並ぶさまを見るのは、私にとってとても痛快なんです!
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。
日時:2011.11.8(火)10:30~
2011.12.17(土)10:30?
岡崎 ゆみ(ピアノ)
♪ チャイコフスキー:バレエ"くるみ割り人形"より 「花のワルツ」
♪ ショパン:華麗なる大円舞曲 作品18
♪ モーツアルト:きらきら星の主題による変奏曲 K265
♪ リスト:愛の夢 第3番
♪ ショパン:華麗なる円舞曲 作品34-1
♪ ショパン:華麗なる円舞曲 作品34-2
♪ ショパン:華麗なる円舞曲 作品34-3
吉川武典さん(トロンボーン奏者)・髙嶋圭子さん(作曲家)にインタビュー
第4回出演は吉川 武典さん(上・トロンボーン)、本多 昌子さん(下・ピアノ)
【吉川さん】中学校入学時にどの部活に入るか迷っていたときに、友達に誘われて吹奏楽部の新入生歓迎コンサートを聴きに行ったんです。本当はバスケットボール部に入ろうと思っていて、吹奏楽とかブラスバンドと言われても何のことかすらわからなかったんですが、コンサートに行ってみると『宇宙戦艦ヤマト』のテーマソングを演奏していて、これが僕にとってはすごい衝撃だったんです!初めて聴く吹奏楽の迫力に、バスケットボールは一気に吹き飛んでしまい、そのまま入部しました(笑)。
実は入部してから最初に振り分けられた楽器はクラリネットだったんです。怖い上級生のお姉さんたちに囲まれながら、放課後も真面目に練習したんですよ。そうしたらトロンボーンには新入生が入らなかったので、体が大きくて手の長い僕がトロンボーンの先輩に、♪ドナドナド~ナ~と売られていったんです(一同笑い)。
それで、最初にトロンボーンを持ったときにプ~と音が出て、「こっちの方が楽しいな」と思ったのは今でも覚えています。それにトロンボーンは7つのポジションだけ覚えてスライドさせるだけで、クラリネットみたいに複雑な指番号を全部覚えなくて良かったので、より好きになりましたね。スライドさせるのも、体がフリーになれる感じがして好きですね。
髙嶋圭子さん
【髙嶋さん】大学を卒業してから2~3年してからだったと思うんですが、たまたま知り合いを通じてお話があって、パリ・トロンボーン四重奏団の来日コンサートのアンコール用に『夕焼けこやけ』の編曲を提供したのが始まりで、その後来日されるたびに曲を書かせていただきました。
【吉川さん】そのパリ・トロンボーン四重奏団っていうのは、日本でも大変な人気だったんですよ。上野の石橋メモリアルホールの先に大行列ができるほどで、僕も何度も聴きに行きました。
【髙嶋さん】それまではトロンボーンという楽器には全く縁がなくて、取り上げたことがなかったんですね。音域が低い楽器なのでピアノとのアンサンブルを考えたときにやり辛いイメージ、それと失礼ながら表現の幅が他の楽器と比べて狭いような気がしていて・・・。
【吉川さん】そうなんですよね~。偉大な作曲家も低音楽器になればなるほど、名曲は少ないですから。モーツァルトもフルートやオーボエ、ホルンなんかはたくさん書いてくれているんですが、トロンボーンやチューバで名曲ってまず無いですね(苦笑い)。
【髙嶋さん】あとはやはりその楽器の奏者さんとの出逢いがないと、書くきっかけが無いんですよね。パリ・トロンボーン四重奏団との出逢いがきっかけで、トロンボーンという楽器について色々知ることになり面白い楽器だったんだなぁと思いはじめたんです。
【吉川さん】僕は何度もパリ・トロンボーン四重奏団のコンサートに足を運んでいて、髙嶋さんのことは勝手に「トロンボーンのための曲を書く日本の作曲家なんだ」と思っていました。その印象が強かったので、僕が20代のときにリサイタルを開く際に高嶋さんにピアノ伴奏とで演奏できるように編曲してくださいとお願いしたのが、僕と髙嶋さんとのお付き合いの始まりでした。
【髙嶋さん】まず、吉川さんに「どんな曲を書いたら良いですか?」と尋ねましたら、「ガッツリした曲にして欲しい」と言われたんです。
【吉川さん】楽章に分かれている、しっかりとしたソナタ形式に基づいた構成で書いていただきたいと思ったんです。というのも、音楽大学生やプロの演奏家がコンサートや卒業試験、コンクールなどで取り上げるような難易度の高いしっかりとした曲が日本人作曲家のものでは無いんです。若い人がどんどん取り組んでいける、未来へ繋がっていくような、そんな曲を書いていただけませんが、というようにお願いしたんです。髙嶋さんの作品はとても美しく親しみやすい曲ですよ。
【吉川さん】グルーベ作曲のワルツァ―ロンドは、大変知られていないマイナーな曲です(笑)。が、僕にとってはちょっとした思い出があって。昔、とあるコンクールに出たときに、課題曲が3曲あるうちの2曲はそれなりに難しい曲だったんですが、なぜか技巧的にもそんなに難しくもないただの楽しいワルツが課題の1曲に入っていたんです。僕はこのブンチャッチャ~という愉快な曲が気に入って演奏したら、優勝してしまったという思い出のある曲です。とても楽しくて親しみやすい曲です。
【吉川さん】トロンボーン1本での音はあまり聴く機会がないと思うんですが、悪くないと思うんですよ。今ちょっと控えめに言いましたけど。(一同笑い)。楽しいワルツに、皆さんよくご存知の白鳥の音色、そして髙嶋さんのトロンボーンの可能性という部分など、とても楽しんでいただけると思います。
また今回のコンサートは、10月26日に僕の人生初のソロのCDが発売となって初めてのコンサートで、もちろん髙嶋さんの作品も収録していて、とても思い入れがありますので、是非会場に聴きにいらしてください!
♯吉川武典さん出演コンサート情報
日時:2011.11.8(火)10:30~
出演:吉川 武典(トロンボーン)/本多 昌子(ピアノ)
髙嶋圭子:トロンボーンとピアノのためのソナタ「風花讃礼」
グルーベ:ワルツァーロンド
スパーク:アイナの歌
サン・サーンス:白鳥 他
村上敏明さん(テノール)にインタビュー
本格的に歌のレッスンを始めたのは、高校2年の3学期でした。両親が音楽教師で、特に父はテノール歌手のマリオ・デル・モナコの大ファンだったので、家ではデル・モナコのレコードがいつもかかっている様な環境でした。最終的に音楽大学の声楽科を目指すのは、自分の判断で決めましたが、親の影響は大きかったと思います。
イタリアに初めて留学したのが2000年でしたが、はじめのうちは、イタリア語で大分苦労しました。
言葉以上に、自分の意思をはっきり示さないと、相手が認めてくれない所があるので、その点も苦労しましたね。だいぶ性格も変わったと思います。もちろん、良い方向にですけど。(笑)
ちなみに、専門外のドイツ語やフランス語では、今でも苦労していますよ。
日本語と言うのは、アクセント=強拍というのがありません。音の高低で構成されているんですね。
でも音楽にすると、強調する部分に、どうしてもアクセントが生まれます。
そこを、どのように音楽的に、しかも言葉がはっきり伝わるように歌うかが、非常に大事になってきます。
実は、イタリアオペラでも同じで、相手に言葉をはっきり伝えるということは、非常に難しいんです。
お客様に、字幕の力を借りずに、音楽と共に「ことば」を伝えるのは、オペラ歌手としての使命です。
日本の踊りに欠かせないのは、笛と太鼓です。山田耕筰さんは、それをピアノで素晴らしく表現されています。
日本独特の香り、色、音、そんな物が表現できる演奏が出来ればと思っています。
今回のコンサートは、お昼前のコンサートです。気分よく、おいしいランチを召し上がって、素敵な一日にして頂けるような、清々しいコンサートにしたいと思っています。トークも交え、オペラの名曲から、現代の名曲まで、生のテノールの歌声を楽しんで下さい。私も、皆さんとお会い出来るのを、楽しみにしています。
日時:2011.9.14(水)10:30~
出演:村上 敏明(テノール)/藤原 藍子(ピアノ)
ジョルダーノ:オペラ「フェドーラ」より"愛さずにはいられないこの思い"
ヴェルディ:オペラ「仮面舞踏会」より"次の航海は無事だろうか"
プッチーニ:オペラ「トスカ」より"妙なる調和"
山田耕筰:松島音頭 小椋佳:愛燦燦 ララ:グラナダ 他
- 〈菅原さん〉
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実は小学生の時からトランペットをやっていたんですけれども、当時は女性がプロのトランペット奏者を目指す人はほとんどいなくて、トランペットの先生も「女性は弟子に取らない!」という主義だったんです。それでも、トランペットとして音楽高校に入ってしまったので、音楽家になりたいんだったら他の楽器に転科しないといけないという感じになってしまって、本当は全然やりたくなかったんですけれど仕方なくファゴットに...といういきさつだったんです。トランペットは大好きで吹いていたんですが、転科してからの高校時代はファゴットのことを好きだと思ったことは一度もないです!(笑)
でも、大学2年生のときに師事していた岡崎先生の演奏を初めて聴いて『すごい!!』と感動して、それがきっかけで気持ちが変わっていきましたけどね。ただやはり今でもトランペット奏者の女性は、他の楽器に比べると少ないですね。そういえば、水谷さんもご主人と息子さんがファゴットを吹かれるんですよね! - 〈水谷さん〉
- そ、そうなんです~...(照)実は菅原さんは私の大学の同級生でもあり、息子の先生で・・・・。息子も菅原さんと同じで初めはトランペットがやりたかったんですが、事情があってファゴットになってしまった、という類似点にも何だか不思議なご縁を感じています(笑)。
- 〈菅原さん〉
- 水谷さんは学生の時の私の伴奏者でした。それにしてもお家に二人もファゴット吹きがいるなんて、本当に珍しいですよね。そういう訳で、水谷さんは普通の人よりはファゴットについてはかなり詳しいと思いますよ。
- 〈菅原さん〉
- オーケストラの中で吹くことがメインなので、普段はピアノでいう左手の低音の部分を担当して、リズムを作る側なんですね。だからどうしても独奏曲というのは少ないですね。曲によっては最初から最後まで同じリズムで休みが全くなかったりするので、結構大変なんです。あと指使いも他の楽器に比べるととても複雑で、表に見えない部分で親指が奮闘しているんです。ファゴットの音色は、よく人の声に近い楽器だといわれています。意外とテレビやアニメなどの効果音で使われていることが多いんですよ。主人公がカッコイイ場面ではなくて、ドジをしてしまったときとか、ひょうきんな場面でよく使われますね(笑)ただ聴きなれていないと気付かないですけれどね。
- 〈菅原さん〉
- バーンスタインはもともとクラシックの指揮者ですから、とてもクラシックに近い部分はあるんですけれども、私個人的にはウェストサイド物語には思い入れがあって。大学卒業したての頃はミュージカルのお仕事もたくさんしていたんです。当時やらせてもらったお仕事で一番印象に残っているのが、NYのブロードウェイから有名な歌い手さんや演奏家がやってきて1カ月くらい全国を回ったんですね。その時、これまでのオーケストラとは違う吹き方、クラシックではやってはいけない吹き方を見よう見まねでやってみたり、NYから来たドラム奏者がノリノリで入ってきたりして、本当に楽しかったんです!今でもこの曲だったらミュージカルで1カ月やってもいいかなって思っています(笑)。
- 〈菅原さん〉
- ファゴットって意外と歴史が古いんですね。なので今回もヴィヴァルディまで遡って幅広くプログラムを楽しんでいただけたらと思い、選曲しました。
〈水谷さん〉 ドビュッシーの『亜麻色の髪の乙女』はピアノとファゴットの音色の聴き比べをしようかなと思っています。それで今回演奏するタンゴは、シリーズ共通のテーマでもある"舞曲"ですけれども、タンゴといえばアルゼンチンタンゴが最も有名ですよね。アルゼンチンタンゴは激しく情熱的な音楽と踊り!というイメージがあると思いますが、タンゴは元々スペインが発祥の地で、ゆったりとした音楽です。のんびりと優雅に、ファゴットの音色を楽しんで頂けたら!と思います。
- 〈水谷さん〉
- ファゴットという楽器のソロはなかなか聴く機会がないと思いますので、これをきっかけに街中でファゴットの音色がどのように使われてるのかを見つけていただけたらと思います。
日時:2011.7.5(水)10:30~
出演:菅原恵子さん(ファゴット)/水谷稚佳子さん(ピアノ)
ヴィヴァルディ:チェロソナタⅠ
エルガー:ロマンス、愛のあいさつ
アルベニス:組曲「スペイン」作品165より "タンゴ"
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
バーンスタイン:ウエストサイドストーリーより"何か起こりそう""アメリカ""マリア""ジャンプ""トゥナイト"
土井晩翠/詩 瀧 廉太郎/曲:荒城の月
林 古溪/詩 成田為三/曲:浜辺の歌
金子みすゞ/詩 中田喜直/曲:金子みすゞ詩による童謡歌曲集≪ほしとたんぽぽ≫より
つゆ/こだまでしょうか/みんなを すきに/わたしと ことりと すずと/たいりょう/わらい/こころ/ほしとたんぽぽ
レハール作曲:オペレッタ≪メリー・ウィドー≫より ヴィリアの歌
プッチーニ作曲:オペラ≪ジャンニ・スキッキ≫より 私のお父さん
高野喜久雄/詩 高田三郎/曲:くちなし
高野辰之/詩 岡野貞一/曲:朧月夜
シリーズ第3弾のスタートは、日本歌曲を中心とした公演で幕開けしました。佐藤さんの優しくて穏やかなトークが好評で、とても暖かい雰囲気のコンサートとなりました!
日本語の美しい歌詞に沿った美しいメロディーは、自然と私たち日本人の心に沁み渡りました。会場では懐かしい歌に身体を揺らしながら、ふっとその世界に吸い込まれるように聴き入っていらっしゃいました。
大きな震災に心を痛める人も多いと思いますが、そんな不安の中で少しだけほっとできるおうなひと時をお届けできたのではないかと思います。
次回は7月5日(火)ファゴットの響きでミュージカルを!
出演は、菅原恵子さん(ファゴット)、水谷稚佳子さん(ピアノ)です。
座席は全席指定席となっております。
チケットのご予約はお早目にどうぞ!
- (佐藤さん)
- やはり私たちが生まれ育った母国の言葉ですので、日本の歌は聴いていて一番心に入ってくるのではないでしょうか。今回歌わせていただく「荒城の月」や「浜辺の歌」は誰でも口ずさめる曲ですし、後世にも、ずっと歌い継がれてほしい曲です。また、「ほしとたんぽぽ」は私自身、金子みすゞさんが大好きで、声を通して日本語の優しい誰の心にも響く言葉を聴いていただきたいな、という思いで選びました。日本歌曲は、イタリア歌曲やドイツ歌曲などに比べると、まだまだあまり確立されていないジャンルというか...。でもお客さんにはストレートに伝わりますし、また一つの単語でも聴く人の感性によって様々な捉え方ができますよね。私たち歌い手は、お客さまに音楽を通して詩を伝えるという役割を持っていますので、例えば詩を朗読したり、様々な方法で時間をかけて言葉と向きあっています。日本語は母国語ならではの難しさもありますが、「日本語ってとても美しい言葉なんだ」と再認識する事も多く、そんな日本語の魅力を、音楽を通して伝えていきたいと思っています。
- (五味さん)
- 今回シリーズのテーマが舞曲ということですけれども、日本人には西洋音楽のリズム自体にあまり馴染みがないので、舞曲を演奏するというのは実はとても難しく、多少距離感を感じます。しかし日本歌曲は日本人が作っている音楽で、自然と身体に入っていくような気がしますね。もちろん言葉の理解度のこともありますけれど、演奏していてもリズムだけでなくハーモニー感やメロディに共感できる部分がとても多いんです。
- (佐藤さん)
- 今回は14曲から成る曲集『ほしとたんぽぽ』から8曲を歌わせていただきます。金子みすゞさんの詩って、綺麗な言葉の裏に暗い部分もあって、この『ほしとたんぽぽ』の歌詞は、自分の生きているときの気持ちを代弁した「遺言」とも言われているんです。憂いや悲しみが優しい言葉で書かれているので、そういった気持ちが共感できるんですよね。
私自身、山形県で生まれ育ったので、小さいときからとても馴染みがある同じ東北の地でこんなに大きな地震が起こってしまって、とても心を痛めているんです。プログラミングをするときは、まさかこんな大きな震災が起こるなんて予想もしていませんでしたけれど、今になって思うと金子みすゞさんの詩は様々な意味で気持ちが共有できてメッセージ性の強い素晴らしい詩だなぁと思います。
- (佐藤さん)
- 実は声楽曲で舞曲というのはなかなか難しくて...(笑)。一番に思い浮かんだのは、レハール作曲のオペレッタ『メリー・ウィドウ』でした。『メリー・ウィドウ』というのは「陽気な未亡人」という意味で、一番有名なのは主人公のハンナとダニロが歌う愛を確かめ合うロマンチックなワルツなんですけれど、今回歌わせていただくのはその有名なワルツのテーマも入っている「ヴィリアの歌」というアリアです。
オペラとの一番の違いは、台詞があることですね。オペレッタは日本語で言うと「喜歌劇」なので、全てハッピーエンドです。オペラよりも滑稽なストーリーであるということも特徴ですね。『メリー・ウィドウ』も最近ではよく日本語で上演されていますので、今回もわかりやすく日本語でお届けしようと思っています。
- (五味さん)
- 大学では学年が重なることはありませんでしたが、お仕事先でお会いしたのが最初です。実は佐藤さんには同じく歌い手さんである妹さんもいらして、彼女とはすでに知り合いだったりして。お互い驚きました。そこで意気投合してからは、関東をはじめ佐藤さんの地元、山形での音楽祭にも一緒に参加させていただいたりしています。もうお付き合いは4~5年になりますね!
- 日本語は美しく、奥深く、いろんな可能性を秘めています。「日本語って素敵だな」「日本歌曲って良いな」と思っていただけるように精一杯演奏いたします。詩と音楽の調和を楽しんでいただけたら嬉しいです。優しく柔らかく、ぬくもりのある時間をお客さまと共有できますよう願って、練習に励みます!
日時:2011.5.12(木)10:30~
出演:佐藤容子(ソプラノ)/五味ごずえ(ピアノ)
土井晩翠/詩 瀧 廉太郎/曲:荒城の月
林 古溪/詩 成田為三/曲:浜辺の歌
金子みすゞ/詩 中田喜直/曲:金子みすゞ詩による童謡歌曲集≪ほしとたんぽぽ≫より
つゆ/こだまでしょうか/みんなを すきに/わたしと ことりと すずと/たいりょう/わらい/こころ/ほしとたんぽぽ
レハール作曲:オペレッタ≪メリー・ウィドー≫より ヴィリアの歌
プッチーニ作曲:オペラ≪ジャンニ・スキッキ≫より 私のお父さん
高野喜久雄/詩 高田三郎/曲:くちなし
高野辰之/詩 岡野貞一/曲:朧月夜