【実施レポ】バッハへの道 -現代のピアノで活かすためのバッハ語法を探る-(クラウディオソアレス先生)

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2018/01/10
バッハへの道 -現代のピアノで活かすためのバッハ語法を探る-
クラウディオ ソアレス

2017年12/18(月) 那覇新都心キリスト教会にて、「バッハ演奏と指導のハンドブック」の著者で、指導者として絶大な信頼を得ているクラウディオ ソアレス先生をお招きして「バッハへの道 -現代のピアノで活かすためのバッハ語法を探る-」と題したセミナーが開催され、多くの熱心な指導者が参加されました。

第1部「指導法講座」-良識あるバッハ演奏に導くために-
講座の最初に、ソアレス先生より前日行われたバッハコンクールの沖縄予選について、「真面目にテンポ通り、そして、とてもシャイな演奏が多いように感じました。ミスにとらわれ過ぎずもっと音楽を楽しんで欲しいです。バッハの音楽には時代の特徴をふまえたアゴーギクが重要です。」そしてバロック時代に多く使われていた和音を理解すること、終止の大切さを強調されました。「終止は赤信号!無視しちゃダメ」というユーモアたっぷりの先生の名言に会場も笑いに包まれました。

講座は、映像と音楽を織り交ぜた形で展開されバッハを勉強する上で大切な事を幾つかお話し下さいました。
1.現代のピアノでバッハの作品を演奏する場合、当時使われた楽器との違いを意識し、時代のスタイルを考慮しなければならない。
2.現代のカンタービレはイタリアオペラの影響を受けていて、なめらかな流ればかりが強調され、細かいアーティキュレーションを表現しないが、バロックのカンタービレはrecitativoで喋る音楽。言葉を喋るように歌っていく。
3.強拍弱拍のリズム、音程、和声的か非和声的、対位法、アウフタクト、シンコペーション等を考慮したフレージング。
4.運指について、バッハの時代までは親指をくぐらせる奏法が存在せず、音階は2,3,4,5又は4,5,4,5の指使い等、親指を使わず、旋律に音階が現れる時「不揃い」に弾くノートイネガル奏法を使う。

映像を通して、親指を使わず左右8本の指だけでのクラヴィコード演奏を見せて頂き、1の指を使わない奏法から引き出される当時のフレージングがより深く響と共に記憶に残るものとなりました。その他、インヴェンションを例に挙げ、演奏の聴き比べ等からも、バッハ音楽の表現の可能性を見せて下さいました。

第2部「公開レッスン」では、6名の生徒さんが、緊張の面持ちで臨みましたが、先生は、それぞれの良さ、問題点について指摘され、厳しくもユーモアある暖かいご指導に、次第に開放的な音へと変化していくのが聴き取れました。原点版の重要性についてもお話しされ、アーティキュレーションの可能性を先生ご自身の演奏で示して下さいました。ロマン派の作品では、身体の使い方、音の出し方、練習の方法等、丁寧にご指導下さり、「時代の特徴を踏まえての音楽作り、音のイメージを持つことが大事です。」と仰った事が印象的でした。

長時間に及ぶセミナーでしたが、ソアレス先生の教育に対するエネルギーと情熱に圧倒されると共に、常に指導者として研究し学び続けることの大切さを教えて頂きました。ソアレス先生、大変貴重な素晴らしいセミナーを有難うございました。

Rep:バッハコンクールin Okinawa 実行委員 長堂奈津子
 

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