【実施レポ】音楽総合力UPワークショップ2015 第4回 青柳いづみこ先生

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2015/07/23
  • 第4回
  • 2015年7月15日(水)
  • 青柳いづみこ先生
  • 「ミステリアスなドビュッシー~アッシャー家の崩壊~」

今回のワークショップはピアニストであり文筆家、そしてドビュッシー研究家の青柳いづみこ先生でした。講座はチャイコフスキーコンクールの「2人のルカ対決」にまつわるお話で始まりました。多くの先生方もネットで実際に演奏を聞いていらしたようで青柳先生の解説を興味津々でお聞きしました。その後は本題の「アッシャー家の崩壊」。今回初めて耳にすることばかりで最初は目を白黒させていた先生方も次第に引き込まれ、その独特の世界を堪能しました。

ドビュッシーが生涯手がけたオペラは2つ。ひとつは「ペレアスとメリザンド」であり、もうひとつがセミナーの話題の中心の未完のオペラ「アッシャー家の崩壊」です。
「アッシャー家の崩壊」はドビュッシーが耽読したエドガー・アラン・ポーの短編小説をもとに台本が作られ、晩年まで断続的に作曲に取り組んだものの遂に未完の絶筆となります。セミナーではイギリスのオーリッジが補筆しオーストリアのブレゲンツ音楽祭で上演されたDVDを見せていただき、そのおどろおどろした世界を皆で味わいました。

注目はその未完の作品に使われている様々なモチーフ。ドビュッシーが同時期に作曲したオラトリオ「聖セバスチャンの殉教」、DVDでも見せていただいたバレエ音楽「遊戯」、ピアノのための前奏曲「水の精、カノーブ」、「バイオリンとピアノのためのソナタ」などにそのモチーフが登場していることが紹介され、驚きとともに未完にも関わらずドビュッシーの「アッシャー家」への執心がわかります。

なぜドビュッシーがそんなグロテスクでドロドロした作品にこれほどまでに惹かれ情熱を傾けたのか。貧しい家庭で育った彼は、それゆえに貴族趣味に強い憧れを持ちます。その頃、最初の結婚生活を捨て上流階級の歌姫と再婚。傍目には幸せな生活を手に入れたようにも見えますが、段々と育ちの違うふたりの間には溝ができてしまいます。そんなどうしようもないドビュッシーの深い嘆きがこの作品に投影されているのではないかなど想像を膨らませると、これまでドビュッシーといえば上品な響き、繊細な和声、色調は淡いパステルだとばかり思っていたイメージが大きく変わりました。
青柳先生から「そんな彼の一面を知ることにより、これからドビュッシーの作品により親しみを持って解釈していただけるとうれしいです。」というメッセージで講座は幕を閉じました。

受講者インタビュー
田中 順子先生(指導者会員)

今日は青柳先生のお持ちの貴重なDVDで「オペラ・アッシャー家の崩壊」、そして「バレエ音楽・遊戯」を観せていただき、大変興味深かったです。私は声楽科出身ですが、音楽(歌)と動きがとてもバランスよくマッチしていて素晴らしいと感じました。
このワークショップでは普通は触れ合うこともないであろう分野の知識を得ることができ、毎回「学ぶ」ということを楽しみにしています。

岡崎 有美子先生(指導者会員)

決して幸せだったとは言えないドビュッシーの幼少時代、ボードレールへの傾倒、実生活での苦悩等。ドビュッシーがエドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」への創作に取り組む背景がわかりました。不勉強でドビュッシーのオペラ作品に触れたことがありませんでしたが、今回のワークショップで知らなかった面を学びました。青柳先生の生のお話とピアノの音に触れる場に参加できてよかったです。


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