【実施レポ】山本美芽先生 指導者のためのライティングセミナー

文字サイズ: |
2014/07/22
  
山本美芽先生
指導者のためのライティングセミナー
セミナーレポートの書き方~要約力をつける
文 ・ 池田敦子(ピアノ講師 : Perle(ペルル)ピアノ教室主宰)

日程 : 2014年7月14日 / 場所 : 杜のホールはしもとセミナールーム

●指導者にライティング能力が求められる理由とは?

ピアノ教室で、HPを持ったりブログを書いたりすることが普及している今、ピアノ指導者といえども、ピアノだけ教えていたのでは、生徒さんを集めることは難しい。

レッスン室の中で、どんなことが行われているかを開示したり、自分の想いを伝えるためにも、指導者に、ライティング能力が求められる時代となっている。

文章を書くために大切なことは、「客観性を持つこと」。

ピアノ講師は、これまでの長いピアノ学習経験により、大変素直な性格が形成されることが多いと、山本先生はご指摘された。これには、私も大きく頷くところがあった。

しかし、何事も「二面性」があり、片方だけの視点しか持たない無いのでは、もう片方を理解することは到底出来ない。例えば、高級志向・大衆志向とあったとすれば、どちらかにだけ偏っていれば、反対側の人々がどう受け取るかということが想像出来ない。

良い文章を書くためには、「注意深く、たくさん書き、読む」こと、自分の中に批判精神や鋭い眼を持つことが重要であると、山本先生は仰る。

また、文章では、ポジティブな方向に話を持っていった方が、読者にとって受け入れやすく、ネガティブなことをありのまま表現するのは危険もあるというお話もあった。

●「りんごは赤じゃない」の長文読解にチャレンジ!

山本先生の初期のご著書に、中学校の美術の先生の、独創的な授業の様子を描いた「りんごは赤じゃない」 という優れた本がある。

私は、初めて読んだ時、その美術教師の熱い情熱と、長い取材期間を経て形になったという内容の重厚感に、良書に出会った喜びを感じたものだ。

その本の一部が、私立中学の現代文の入試問題や模擬試験に使われており、受講者全員でその問題を解いた。

●セミナーレポートを書くときの留意点

ムジカノーヴァ1月号で、山本先生が語られたそうだが、「内容」と「感想」の違いという、興味深いテーマを伺った。

限られた紙面の中では、文字数の制約もあり、字が多すぎてはならない。

ポイントを書き出したその先にすべきことは、順番をつけて「選ぶ」という作業だ。

雑誌などオフィシャルなレポートと、自分のためのもので異なりはするが、基本的に、選ぶポイントは、「自分にとって、大切な箇所」で良いとご指摘された。

セミナーレポートでは、「内容」(先生が喋ったこと)、「感想」(自分の意見)にわけて、自分の頭を整理しなくてはならない。

●要約にチャレンジ

保科陽子先生のコーチングレッスン講座に関して書かれた、山本先生のセミナーレポートを課題に、要約にチャレンジ。

段落ごとにスペースが取られていたのだが、意外なことに、まず取り組むこととなったのは、段落に番号を振ることだった。この時点で、A4一枚の文章が、かなり整理された気になるのだから不思議だ。

一段落の中で、一つの文を選び、重要だと思われる場所に線を引く。更に、その中から3つ重要なポイントとなる文を選んだ。

参加者同士で、どこに線を引いたか話し合う時間が設けられた。同じ箇所だとほっとしたり、違っていたら、別の視点に学ぶところがあり、有意義だった。

普段から、TVで何かのニュースを見たり、折々で、頭の中で常に要約をするようにすると鍛えられるというアドバイスを受けた。

客観性と視点を持つというのは、レッスンにも役立つとのこと、本当にその通りだ。

参加者同士で、文章の悩みを共有し合い、書く力を向上させていけるのは、楽しみで、次回(10月予定)もぜひ参加したいと思う。


山本美芽

 音楽ライター。東京学芸大学大学院教育学研究科修了。
これまでに国内外の主要なピアノメソッドの著書・訳者、ピアニスト、演奏家、ピアノ指導者など、100人以上に直接取材を行う。
「もっと知りたいピアノ教本」「レッスンのハンドブック」(中村菊子)、「21世紀へのチェルニー」(山本美芽)、 「練習しないで上達する」(呉暁)などの単行本において、ピアノメソッドに関する原稿を執筆。
新鮮な視点と鋭い観察力に定評がある。2008年よりピアノ音楽誌「ムジカノーヴァ」にて書評をレギュラー執筆、2014年1月号より「ライティングセミナー」の連載を執筆。「ジャズジャパン」にも評論・インタビューを執筆中。 
2013年よりピアノ指導者向けのセミナーにおいて、講師として本格的に活動。最新刊「自分の音、聴いてる?」(春秋社)についての講座、ピアノ講師を対象にしたライティングセミナー、個別ライティング指導も行っている。
ホームページ
◆ メールマガジン「音楽センスを伸ばしたい!」配信中。
◆ facebook、twitterでも発信中。

池田敦子
ピアノ講師。福島県郡山市にて、Perle(ペルル)ピアノ教室主宰。武蔵野音楽大学音楽教育学科ピアノ専攻卒業。卒業後20年目の平成26年度、同大学別科在学中。現在は甲府在住。ピティナ指導者会員。
Perle(ペルル)ピアノ教室のBLOG
▲ページTOP

【GoogleAdsense】
ホーム > ピアノセミナー > ニュース > 02レポート> 【実施レポ】山本美芽...