【実施レポ】「ヨーロッパのピアノ教育に学ぶ」 - 3/14仙台・ディアーヌ・アンデルセン先生

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2008/05/09

3月14日(金)、カワイミュージックショップ仙台にて、ピティナ・ピアノセミナー初の海外教授招聘セミナー、ディアーヌ・アンデルセン先生(ブリュッセル王立音楽院名誉教授、ヨーロッパピアノ教育連名会長)による、公開レッスンとレクチャー「ヨーロッパのピアノ教育に学ぶ」が開催されました。
当日は、公開レッスンとレクチャーの2部構成で行われ、レクチャーでは「ヨーロッパのピアノ教育に学ぶ」ということをテーマに、ヨーロッパのピアノ教育の現状について、今日本の中高生の年代に必要なことは何か、といったことをお話いただきました。当日の講座内容をお届けいたします。

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◆レクチャーより
1. ヨーロッパ(特にベルギー)におけるピアノ教育の現状
ベルギーには、基礎教育学校とプロフェッショナル養成のためのより高度な音楽学校(コンセルヴァトワール)の2種類の音楽教育機関があります。ヨーロッパ諸国ではすべての学校が共通の学位証書を発行しています。ただしこれはヨーロッパ中で同一の教育課程が教えられているという意味ではありません。ボローニャ宣言において、教育機関はその教育内容とスケジュールを自由に決定することを認められています。

2.子供に対する基礎教育について
音楽の基礎教育という意味なら、最初に行うべきは自分の体を認識すること(歌うこと、リズムを感じること、体を動かすこと)。次は他の人々と音楽を奏でることです。それにより集中力や社会性、音楽を楽しみ愛する心などが養われます。

3.生徒に対する家庭における精神面での配慮や支援について
人間は自分自身に責任を持たねばならないと早い時期に理解することが重要です。そうすれば様々な状況でどう振舞うべきかを学ぶことができ、安心の根拠となるのです。たとえば幼い子がステージに出るとき、先生はどんな状況が起こり、それに対処するにはどうすべきかを教えておいてやる必要があります。また、水泳など正確さや戦略的思考が必要となる運動をさせることも重要です。演奏家はすべての体の動きを意志の下で制御しなければならないからです。
もうひとつ重要なのは、あらゆる命に対して尊敬の念を持つことです。人を、もしその人が自分と違っていても尊敬することです。それが作曲家に対する敬意につながります。

4.ピアノを学ぶ際、勤勉さはどれほどの重要性を持つとお考えですか?
勤勉さは重要ですが、練習には論理性が必要であると同時に、生徒は自分の音を聴くことを身につけなければなりません。私はつねに「心の耳」を持つことの重要性を強調してきました。自分の心の内に耳を傾けることで、作り出したい音、適切なフレージングやテンポなどの要素をはっきり認識できるようになるのです。

5.日本人の学生は幼少期は非常によく弾きますが、青年期を過ぎると(大学以降)演奏面で大人になりきっていない、幼い、という評価を受けることが多くなるようです。この状況についてどのようにお考えですか?
日本人のピアニストについてはヨーロッパとの文化の違いを強く感じますが、立場が逆の場合にも似た問題が起こります。日本の曲を適切に弾くには、まず日本の音楽文化を理解し、日本人の心情や生活まで知り、さらに日本人のように感じる努力をせねばなりません。我々が日本文化を理解している度合いに比べれば日本の方は我々の文化をずっとよくご存知です。日本の小さなピアニストはまだヨーロッパの文化、少なくともヨーロッパの作曲家に対する理解を掘り下げる時間が足りないのです。演奏が幼いのではなく、どう弾くとよいのかよくわからないことが時々あるということです。それから、曲自体に関する分析が充分できるようになるともっとよくなるでしょう。


◆開催レポート
Part.1の公開レッスンにおいては、古典の作品ができた時代背景から、その演奏法まで弾きながら丁寧に指導して下さいました。楽譜通り忠実に弾くことの大切さや、フレージング、ニュアンスの違うタッチ、楽語の語源からその本当の意味まで色々な言葉を使いながら分かりやすく教えて下さり、先生の幅広い知識と教養に感動しました。受講者の中には、その場で通訳をして下さる会員の方がいらしてとても充実した内容になりました。
Part.2のレクチャーに入ると、活発に質問が出され、ヨーロッパでの音楽教育に対する関心の高さが伺われとても有意義なものとなりました。ベルギーの音楽教育を中心にEU連合での音楽教育の在り方、大学ではピアノだけを勉強するのではなく、キャリアを積む際間違いを起こさないように、法律やマーケティングなど実務的な面も含めて学習している様子など多岐にわたるものでした。また、子どもたちが自ら責任を持って音楽に取り組む事の大切さ、精神的自立のために必要なこと、アンサンブルの機会を沢山持たせて社会性を養うことなど、貴重な事をユーモアを交えて教えてくださいました。休憩も取らず2時間半に及ぶ講座が終わっても、受講された方々はヨーロッパの香りに包まれ浸って居たかったのでしょうか、名残惜しそうに会場を後にされていました。(Report/ 佐々木明美先生) 


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