【実施レポ】「はじめての室内楽 アンサンブルの魅力」 - 11/5三河・多喜靖美先生

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2007/11/16

blog_071105mikawa.jpg11月5日、刈谷市産業振興センター小ホールにおいて多喜靖美先生を講師にお迎えし、「はじめての室内楽 - アンサンブルの魅力と指導法 - 」と題してピティナ指導者セミナーを開催いたしました。
ヴァイオリンの澤田幸江先生、チェロの小縣歩先生にお越しいただき、3人の先生の素敵な演奏と、多喜先生の門下生である松本あすかさんの鍵盤ハーモニカによるアンサンブルのDVDを交えながら、アンサンブルの魅力とその効果についてじっくりお話しいただいた2時間でした。
 ピアノという楽器は、ある意味特殊な楽器で、誰でも鍵盤を押せば発音することができます。しかし、これが別の意味で難点になるのです。すなわち、発音した時点で演奏者はたとえその音が2分音符であろうと全音符であろうと、その音の行方を聴かずに次の作業に移ろうとします。自分で息を吹き込み続けなくても、弓を動かし続けなくても、指で鍵盤を押し続けてさえいればピアノの音はある程度の時間は鳴り続けるのですから。
そのピアノで他の楽器とアンサンブルをするには、ハーモニーを感じるだけでなく、ブレス(息)をし、耳を働かせて音の行方を聴き届けることが必要になります。それには、実際に発音の動きを目で見てとれ、ピチカートやビブラートなど音の出る構造が初心者にも解り易い弦楽器とのアンサンブルが室内楽の導入にふさわしいという事でした。ピアノを一人で弾くと、とかく独り言のような演奏になりがちですが室内楽では役割がはっきりとしているので、音で対話をして、音楽を共有する喜びも感じられます。
そして、その体験をソロの演奏をする際に生かして、今までとは違う耳の使い方、打鍵・離鍵のタッチに発展させることが可能となります。
多喜先生が役割分担の説明の際に、「曲あてクイズ」と称してブルグミュラーの『無邪気』を役割別(バスラインからメロディーラインまで)に順番に演奏されました。左手のパート(三和音)を全部弾かれても、それが何の曲なのか私には全くわかりませんでした。メロディーが入って初めて「あぁ!『無邪気』」とわかった次第です。こんなにも有名な曲に全く気付かないという事は、言い換えればいかにメロディーラインしか聴いていないか...という事になります。ピアノは一人オーケストラと言われる位、何役も受け持つことができます。そこに書かれた音の中の役割分担に常に耳を傾けられる事により、奏でられる音楽がより幅広いものになるというお話でした。
また、初心者が室内楽にチャレンジする際の注意点としては、
「ピアノのみの演奏能力の半分程度の難易度の物を選ぶことが大切である。」というお話でした。これは、全ての共演者の楽譜をスコアで見て演奏するのはピアノだけであり、同時に全体の音の動きに耳と目で気を配りながら演奏するためにはそれくらいの余裕が必要であるという事でした。
当日は、スケジュールの都合で、3人の先生方に事前の打ち合わせをして頂く事が出来なかったのですが(ぶっつけ本番!!)、多喜先生と弦奏者お二人の15曲にも及ぶ素晴らしい演奏を聴かせていただき、時間の過ぎるの忘れてしまうほど楽しく有意義なセミナーでした。
(Rep:三河シーサイドステーション/永井雅子先生)


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